ドクターにインタビュー

vol.22

[4]AGEと卵巣機能の関係

神野正雄 先生(ウィメンズクリニック神野院長)

神野正雄

[4]AGEと卵巣機能の関係

細川)
神野先生のところでは、AGEが卵巣機能や体外受精の治療成績と関連することを世界に先駆けて示され、論文として発表されていますね。
Dr.)
はい。AGEが蓄積している患者さんほど体外受精や顕微授精の成績が悪かったことから、AGE の蓄積は卵巣機能の障害や妊孕性の低下に重要な役割を果たすことを直接的に示し、その論文がヨーロッパ生殖医学誌(M. Jinno, et al.; Hum Reprod, 26:604-610, 2011)に掲載されました。
細川)
アメリカでも、ヨーロッパでも注目されたようですね。
Dr.)
論文への引用回数が上位だったとの連絡がありました。
細川)
どのような研究だったのでしょうか?
Dr.)
体外受精を受けている患者さんの採卵時に血液と卵胞液中の3種類のAGE「TAGE・ペントシジン・カルボキシメチルリジン(CML)」を測定したところ、それぞれのAGEのレベルが高い患者さんほど、卵胞発育や受精、胚発育が不良でした。
細川)
そうなのですか。
Dr.)
AGEが溜まっていない患者さんは30代後半まで卵が十分採れ、40代になると減り始めるのですが、AGEが溜まっている患者さんではもっと早く30代半ばから急激に採れる卵の数が減ってきます
細川)
AGEの蓄積が卵巣機能を低下させているわけですね。
Dr.)
妊娠率は、もっと、顕著にあらわれ、AGEが溜まっている患者さんでは30代前半からすでに妊娠率が著しく低下しています。
細川)
AGEが卵の質を低下させるのですね。
Dr.)
そう考えられます。AGEが卵巣や卵子の老化スピードを早める証拠だと思います。 そこで、このAGEをなんとかできないかと考え、AGEの生成を阻害する働きがあるとされるビタミンB1誘導体のベンフォチアミンやインスリン抵抗性を改善させるメトホルミン、そして、食後血糖値を下げるシタグリプチンなどのお薬を使ってARTを実施しました。
細川)
糖尿病の治療薬ですね。
Dr.)
そうです。いずれもART反復不成功の高齢の患者さんに飲んでもらった結果、卵胞液中のAGEが下がり、良好胚が増え、継続妊娠率が増加しました。この結果から、高齢で、難治性の不妊患者さんにはAGEをターゲットにした治療戦略が有効であることが確かめられました。

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