ドクターにインタビュー

vol.22

[5]抗糖化食品「トウビシ果皮抽出物」の体外受精妊娠率改善効果

神野正雄 先生(ウィメンズクリニック神野院長)

神野正雄

[5]抗糖化食品「トウビシ果皮抽出物」の体外受精妊娠率改善効果

細川)
昨年の日本受精着床学会で、反復不成功の患者さんに対し、抗糖化機能性食品である「トウビシ果皮抽出物」のサプリメントを飲んでもらうことで体外受精や顕微授精が、妊娠率を著しく改善したという臨床試験の結果を発表されました。
Dr.)
機能性食品であるトウビシ果皮抽出物には、糖化、すなわち、AGEの形成を抑制するだけでなく、できてしまったAGEも分解してくれる働きがあると示されています。そこで、普通に体外受精をやっても、妊娠できない難しい患者さんに説明と同意のもとでトウビシ果皮抽出物飲んでもらい体外受精を行いました。
細川)
そもそも、トウビシ果皮抽出物というのはなんですか?
Dr.)
中国や東南アジアなどの湖沼や溜め池、水路に生息する、ヒシ科の水草であるトウビシの皮の抽出エキスです。トウビシは果実がクリに似た味がすることから茹でてそのまま食べられたり、乾燥させ刻んだものがヒシ茶として飲まれたりしています。健胃、滋養強壮、女性機能改善等の効能があるといわれています。日本では、古くから北九州の特産品として有名です。
細川)
トウビシ果皮抽出物の抗糖化活性成分は、果皮抽出物に多量に含まれるポリフェノール類と考えられているようですね。
Dr.)
そうです。化粧品メーカーも注目しているようです。AGEを分解するわけですから、美肌にも有効だからです。
細川)
アンチエイジング成分ということですね。それが高齢で難しい不妊患者さんに有効であったと。
Dr.)
はい。被験者は、平均年齢は42歳で、84%は40歳以上です。皆さん、数回、多い方で10数回体外受精を繰り返しても妊娠に至らなかった方々なのですが、トウビシ果皮抽出物を1〜2ヶ月飲んでもらいました。
細川)
どのような結果だったのでしょうか?
Dr.)
75%の患者さんで卵がよくなりました。もちろん、変わらなかった方もいらっしゃいましたが、ほぼ4人に3人は改善されました。そして、30人の中から6名が妊娠に至りました。難しい患者さんですから「驚くべき」と評してもよいと思います。
細川)
はい。
Dr.)
そこで、半年前からトウビシ果皮抽出物の有効性をランダマイズの臨床試験(無作為前方視的比較対照試験)を行っています。現在も進行中です。
細川)
被験者は、現在も募集されていますね。
Dr.)
はい。また、AGEの一種であるCMLを測定したのですが、AGEが高い方はトウビシ果皮抽出物を飲むことで低下しました。そういう方は妊娠に至る確率が高かったですね。つまり、AGEの高い患者さんはAGEを下げることで妊娠率が回復してくるようです。
細川)
高齢不妊の患者さんにはトウビシ果皮抽出物は大いに期待できそうですね。
Dr.)
インスリンの感受性をよくして、食後の血糖を下げ、AGEを下げると不妊の克服が期待できるということです。

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