ドクターにインタビュー
栄養と妊娠力
佐藤雄一 先生(産科婦人科舘出張佐藤病院院長)
今回のテーマは、「栄養と妊娠力」です。
現代の日本は「飽食の時代」と言われています。ところが、それは食べ物の「量」が多いということであって、厚労省の国民栄養・健康調査などをみると、個人、特に若い女性にとっての栄養的な充足に繋がっているとは言えません。多くの選択肢の中で、正しい食べ方がなされていないということが窺えます。
その一方で、妊娠、出産に際しては、妊娠前からの栄養状態が、「妊娠しやすさ」や「妊娠、出産時のリスク」に影響を及ぼすだけでなく、出生児の成人後の体質にまで影響を及ぼすことが多くの研究でわかってきました。
そのため、お子さんを望む女性、将来、母親になる女性にとって妊娠や出産にふさわしい食生活をはじめとするライフスタイルを意識することが、ますます、大切になってきます。
その際に、「なにをどのように食べるべきか」について、拠り所にすべき研究報告が、年々、増えてはいますが、そのほとんどはアメリカやヨーロッパからのもので、日本では栄養と生殖についての疫学研究や臨床研究はそれほど行われていません。
栄養や食生活については、そもそも、食文化や人種、地域の違いが反映されるため、なにをどのように食べるべきかを考える場合、海外の研究報告については、そのままの内容を受け止めるわけにはいかないところがあります。
そこで、産科婦人科舘出張佐藤病院院長である佐藤先生にお話しをお伺いしました。
佐藤先生は、お産や不妊治療の臨床に携わりながら、「現在の日本人女性の栄養状態はどうなっているのか」を調べるべく、順天堂大学医学部との共同研究「卵巣年齢プロジェクト」をはじめ日本人女性の栄養と生殖機能との関連についての多くの研究を実施され、さらには、女性の健康のためのさまざまな啓蒙、啓発活動にも携わっておられる方です。
多くのカップルの参考にしていただけると思います。
vol.20 インデックス
- [1]卵巣年齢プロジェクト
- [2]日本の女性のやせ傾向や栄養不足が浮き彫りに
- [3]体格や食習慣とAMH(アンチミューラリアンホルモン)値の関係
- [4]ビタミンDと生殖機能の関係
- [5]亜鉛不足と甲状腺機能低下症の関係
- [6]プレプレグナンシートリートメント=プレマターナルトリートメント
産科婦人科舘出張佐藤病院院長。高崎ARTクリニック理事。
順天堂大学医学部大学院卒業。順天堂大学付属病院勤務を経て、平成12年より産科婦人科舘出張佐藤病院勤務。生殖内分泌や腹腔鏡手術が専門。医学博士。順天堂大学産婦人科非常勤講師。日本産婦人科学会専門医。日本生殖医学会生殖医療専門医。日本産婦人科内視鏡学会技術認定医。
ドクターに訊く
ドクターにインタビュー
- 第25回 精索静脈瘤と男性不妊 〜精子の質を高めてパートナーの治療成績の改善を図る
- 第24回 子宮内膜症と不妊治療
- 第23回 納得のいく選択や決断のための“情報共有”について考える
- 第22回 老化促進物質AGEをターゲットにした不妊治療
- 第21回 不育症を正しく理解する~不妊症と不育症はひと続き
- 第20回 栄養と妊娠力
- 第19回 40代の不妊治療について考える
- 第18回 不妊治療の終結について考える
- 第17回 栄養と生殖機能の関連研究の第一人者に聞く
- 第15回 オーダーメイドの不妊治療とは?~あるべき不妊治療を考える
- 第14回 30代後半、40代からの不妊治療
- 第13回 不妊治療には、なぜ、“対話と物語”が大切なのか?
- 第12回 妊娠前からの食生活が子どもの一生の体質をつくる
- 第11回 妊娠しやすい思考ってあるのでしょうか?
- 第10回 クラミジア感染症と不妊 ~検査と治療についての正しい知識
- 第09回 ストレスフリーの不妊治療を目指して
- 第08回 体が本来持っている妊娠する力を取り戻す
- 第07回 酸化ストレスと男性不妊
- 第06回 質のよい卵を育むための生活習慣
- 第05回 不妊治療でなかなかよい結果が得られないとき
- 第04回 体外受精の後悔しない病院選びについて
- 第03回 ちゃんと知っておきたい薬のこと
- 第02回 妊娠しやすい夫婦生活とは?
- 第01回 不妊予防という考え方