ドクターにインタビュー
30代後半、40代からの不妊治療 ~“後悔のない治療”にするための専門医からのアドバイス
吉田 仁秋 先生(吉田レディースクリニック院長)
ドクターに訊く、今回は、「30 代後半、40 代からの不妊治療」というテーマで、30代後半、40代から不妊治療を受けて妊娠を目指そうとされるカップルへのアドバイスをお伺いしました。
30 代後半、40 代から不妊治療を受けて妊娠を目指すカップルが多くなっています。この年齢で不妊治療を受けているカップルの多くは、いわゆる、原因不明です。つまり、妊娠しづらくなっているのは、主に年齢による卵巣の働きの低下によるものだということです。
女性は、日々、精子をつくり続けている男性と違い、全ての卵子をもって生まれていますので、卵巣の役割は卵子を保管すること、そして、卵子を成熟させ、排卵させることです。
そのため、女性の年齢が高くなるに伴い、卵巣内の卵子の総数が少なくなるうえに、残っている卵子も一緒に年をとります。「卵子の老化」です。
さらに、卵巣が卵子を育てる働きが不安定になったり、弱くなったりします。その結果、20代や30代前半頃に比べると、特に、不妊の原因がなくても、妊娠しづらくなってしまうわけです。
ただし、卵巣内の卵子がすぐになくなってしまうわけではありませんし、妊娠に求められるのは、卵子の「数」ではなく、「質」です。また、卵子の老化と言っても、個人差が大きいもので、同じ人でも卵巣内の卵子によって老化の進み具合は異なります。
そのため、30代後半、40代から不妊治療を受けて妊娠を目指す場合、それぞれの状況に応じた治療方針で臨むことがとても大切になってくるわけです。
そこで、40代の体外受精や顕微授精の治療成績で、全国平均を上回る良好な結果を出していらっしゃる仙台市の吉田レディースクリニック院長の吉田仁秋先生にお話しをお伺いしてまいりました。
vol.14 インデックス
吉田レディースクリニック院長。東北大学医学部産婦人科臨床准教授。医学博士。
1980年獨協医科大学卒業後、東北大学医学部産婦人科学教室入局、不妊・体外受精チーム研究室へ。1991年、米国マイアミ大学生殖内分泌学講座留学。1993年、竹田総合病院産婦人科部長、東北公済病院医長をへて、1998年に吉田レディースクリニック開設、現在に至る。
ドクターに訊く
ドクターにインタビュー
- 第25回 精索静脈瘤と男性不妊 〜精子の質を高めてパートナーの治療成績の改善を図る
- 第24回 子宮内膜症と不妊治療
- 第23回 納得のいく選択や決断のための“情報共有”について考える
- 第22回 老化促進物質AGEをターゲットにした不妊治療
- 第21回 不育症を正しく理解する~不妊症と不育症はひと続き
- 第20回 栄養と妊娠力
- 第19回 40代の不妊治療について考える
- 第18回 不妊治療の終結について考える
- 第17回 栄養と生殖機能の関連研究の第一人者に聞く
- 第15回 オーダーメイドの不妊治療とは?~あるべき不妊治療を考える
- 第14回 30代後半、40代からの不妊治療
- 第13回 不妊治療には、なぜ、“対話と物語”が大切なのか?
- 第12回 妊娠前からの食生活が子どもの一生の体質をつくる
- 第11回 妊娠しやすい思考ってあるのでしょうか?
- 第10回 クラミジア感染症と不妊 ~検査と治療についての正しい知識
- 第09回 ストレスフリーの不妊治療を目指して
- 第08回 体が本来持っている妊娠する力を取り戻す
- 第07回 酸化ストレスと男性不妊
- 第06回 質のよい卵を育むための生活習慣
- 第05回 不妊治療でなかなかよい結果が得られないとき
- 第04回 体外受精の後悔しない病院選びについて
- 第03回 ちゃんと知っておきたい薬のこと
- 第02回 妊娠しやすい夫婦生活とは?
- 第01回 不妊予防という考え方