ドクターにインタビュー

vol.23

[3]プロセスこそ大切

林 伸旨 先生(岡山二人クリニック理事長)

林 伸旨

[3]プロセスこそ大切

細川)
治療を開始するにあたっての事前説明、その後のプロセスの説明も徹底されていますね。

Dr.)
そもそも、望妊治療ではいくら頑張っても生産率はせいぜい3割くらいで、このことは日本産婦人科学会の全国集計データからも明らかです。

細川)
生殖医療の宿命とも言えるところですね。

Dr.)
カップルと目標を共有して妊娠を目指しても、どうしても限界があります。妊娠出産は結果であり、私たちが提供できるのは安全で確実な医療的支援です。

細川)
そうですね。

Dr.)
なので、私たち医療者は、ひとつ1つの治療プロセスを安全に確実に積み重ねていくしかなく、そのことを大切にするしかないと考えています。

細川)
なるほど。きちんとしたプロセスで治療を進めることによって、より高い妊娠率を目指すということですね。

Dr.)
治療方針や治療の進め方など医療についてはもちろんのことですが、『予約制であっても待ち時間は発生しますよ』、『当院医師は同じ医療が提供できるような体制を確立しており、土日祝も分担して診療にあたっていますので医師の指名はお受け出来ませんよ』といったことから、『診察に際しては患者さんの名前を呼び出したり掲示したりせず、お持ちの端末機にマナーモードメールでお呼びしますよ』、『診療後の会計はその都度の支払いではなく、引き落とし支払いを可能にしてますよ』というようなことまで、最初にこられた時に書面をお渡して、納得了承いただければ夫婦の署名をいただくようにしています。

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細川)
事前に説明し、了解を得てからスタートすることは、納得のいく治療を受けるためのベースになるものだと思います。そのためか、お伺いする度に待合室が静かでゆったりしているという印象があります。

Dr.)
待ち時間を短くするためにできること、待ち時間と感じられないようにできないか、ずっと取り組んできた成果だと思います。まずは職員間で情報を共有し、組織知識として蓄積していますので、患者さんから質問やクレームがあった場合でも「院長に確認してみます」というようなことではなく、その場で直接職員が対応できるようにしていることもその一つです。このため毎年、職員は全員、望妊治療や組織知識の習熟度試験を受けています。

細川)
なるほど。

Dr.)
診療にあたっては、それぞれの患者さんの検査や治療の内容、結果、履歴など、治療についてのあらゆる情報やデータはすべて一元管理され、診療システムとして構築し、運用しています。

細川)
この診療システムによってそれぞれのプロセスの情報が、職員間だけでなく、患者さんとの間でも共有化され、可視化されているのですね。

Dr.)
望妊治療の場合、1回の治療で妊娠出産できれば、それに越したことはありません。ただ、現実の妊娠率や生産率をみれば、やはり、何回か繰り返して、妊娠出産を目指すことが多くなります。

細川)
はい。

Dr.)
その場合、患者さんが次の治療法を選択する際には、それまでの検査や治療の結果を分析し、治療方針を説明し患者カップルに選択していただく必要があります。情報共有があってこそ、カップルが自分たちで選択し、決定する環境が整うと思います。

細川)
なるほど、それまでの治療経過がすべて時系列、かつ、一目で見られ、共有化できているからこそ、効率よく、確実に治療が進められるというわけですね。

Dr.)
転院されてこられた患者さんの場合は、以前の施設での検査データや治療結果もここに出てくるようになっています。

細川)
それも共有化され、反映されているというのは安心ですね。

Dr.)
もちろん、ラボ(培養室)の記録も時系列など一元化入力されたデータをいろいろな見やすい形式にしたものが表示されます。岡山二人クリニックでは医師の指定はできないのですが、施設としての治療方針を共有していることは、もちろん、この診療システムで患者さんの個別情報を共有できているので同じ医療行為ができるのです。

細川)
この診療システムのおかげで、個人ではなく、組織で対応できるようになっているということですね。

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