ドクターにインタビュー
vol.23
[1]よりよい医療を提供するための院内情報共有システム
林 伸旨 先生(岡山二人クリニック理事長)

[1]よりよい医療を提供するための院内情報共有システム
- 細川)
- 岡山二人クリニックは、完成度の高い情報共有システムを構築されているということで全国的に有名です。
- Dr.)
- 不妊治療、うちでは『望妊治療』と呼んでいますが、望妊治療を受けるのもやめるのも、患者さんが決めることですね。
- 細川)
- はい。
- Dr.)
- 患者さんが治療や治療方針を選択するためには、まず患者カップルが正しい最新の情報を得る必要があります。この情報提供を「私たち医療機関はきちんとやらなければならない」ということで、今年の5月で開院20年になりましたが、いろいろなツールをつくり、試行錯誤を繰り返しながら、これまで創り上げてきました。
- 細川)
- 具体的にはどのようなものなのでしょうか。
- Dr.)
- ホームページはもちろんのこと、各種説明書、同意書、DVD「望妊治療」作成、大型モニターでのサイネージシステムなどを作ってきました。また説明会をおこなったり、説明会の動画資料も作成していますが、患者さんの理解度も異なりますし十分とは言えません。
- 細川)
- はい。
- Dr.)
- このため院内に30台のパソコンを置き、一方的な情報提供ではなく、患者さんが自分が知りたい情報を見に行ける、また患者さんが疑問や意見を書き込み、それに対するお応えを掲載して、その患者さんでなく他の方にとっても理解を深めることができる情報共有システムの構築を目指しました。検索機能もついていますので、自分が知りたい情報を簡易に見ることができるようになっています。このシステムをつかって、「アンケート調査」や患者さん意見交換の「Free Talk Note」も運用しています。
- 細川)
- なるほど。診察室では個別に対応できる時間が限られている分、IT技術を使い、双方向のやりとりが可能なシステムによって補完されているわけですね。
- Dr.)
- また、このシステムは、現在クラウド化して、院内パソコンだけでなくスマートフォンや自宅パソコンでも見たり書き込めるようになっています。もちろん、セキュリティには万全を期しています。
- 細川)
- これにより、自宅や外出先からでもシステムにアクセスできるというわけですね。情報共有システムが充実しているだけでなく、クラウド化までされているとは驚きました。
- Dr.)
- 双方向とは言っても、やはり、対面による個別対応が必要であると考え、通常の受付とは別に相談受付を設置し、不妊症看護認定看護師をはじめ、生殖医療コーディネーターや臨床心理士、管理栄養士などの相談部の専門スタッフが相談や説明補完にあたっています。
- 細川)
- よくわかりました。
ドクターに訊く
ドクターにインタビュー
- 第25回 精索静脈瘤と男性不妊 〜精子の質を高めてパートナーの治療成績の改善を図る
- 第24回 子宮内膜症と不妊治療
- 第23回 納得のいく選択や決断のための“情報共有”について考える
- 第22回 老化促進物質AGEをターゲットにした不妊治療
- 第21回 不育症を正しく理解する~不妊症と不育症はひと続き
- 第20回 栄養と妊娠力
- 第19回 40代の不妊治療について考える
- 第18回 不妊治療の終結について考える
- 第17回 栄養と生殖機能の関連研究の第一人者に聞く
- 第15回 オーダーメイドの不妊治療とは?~あるべき不妊治療を考える
- 第14回 30代後半、40代からの不妊治療
- 第13回 不妊治療には、なぜ、“対話と物語”が大切なのか?
- 第12回 妊娠前からの食生活が子どもの一生の体質をつくる
- 第11回 妊娠しやすい思考ってあるのでしょうか?
- 第10回 クラミジア感染症と不妊 ~検査と治療についての正しい知識
- 第09回 ストレスフリーの不妊治療を目指して
- 第08回 体が本来持っている妊娠する力を取り戻す
- 第07回 酸化ストレスと男性不妊
- 第06回 質のよい卵を育むための生活習慣
- 第05回 不妊治療でなかなかよい結果が得られないとき
- 第04回 体外受精の後悔しない病院選びについて
- 第03回 ちゃんと知っておきたい薬のこと
- 第02回 妊娠しやすい夫婦生活とは?
- 第01回 不妊予防という考え方