ドクターにインタビュー

vol.14

30代後半、40代からの不妊治療 ~“後悔のない治療”にするための専門医からのアドバイス

吉田 仁秋 先生(吉田レディースクリニック院長)

吉田 仁秋

[1]いつからはじめ、どんなペースで治療に臨めばいいのか

いつからはじめ、どんなペースで治療に臨めばいいのか

細川)
30代後半、40代から妊娠を目指すカップルからのご相談で多いのは、いつから治療をはじめればいいのかというものです。通常、夫婦生活があるにも関わらず、1年から2年、妊娠しなければ受診を勧められますが、30代後半、40代ではどうなのでしょうか?
Dr.)
日本不妊予防協会*1)の久保春海先生もおっしゃっていますが、基本的には、女性の年齢が35歳以上であれば、半年間、妊娠に至らなければ受診することをお勧めします。なぜなら、その頃から妊娠率の低下や流産率の上昇に拍車がかかるからです。
細川)
35歳を過ぎる頃から、より妊娠しづらくなり、流産しやすくなると。
Dr.)
そうです。その背景には卵子の染色体異常の割合が増え、いわゆる、卵子の老化がはじまるということがあります。そのため、女性にとって35歳が生殖年齢の一つの区切りになっているのです。
細川)
35歳を目安に、なるべく早めに行動を起こすことが大切だというわけですね。最近は、40歳を過ぎてからお一人目のお子さんの妊娠を目指すカップルからの相談も少なくありません。
Dr.)
もしも、40歳を超えていらっしゃるのであれば、半年を待たなくてもいいと思います。
細川)
年齢が高くなれば、なるほど、早いほうが得策だということですね。
Dr.)
そういうことです。また、子宮内膜症や子宮筋腫など、卵管障害や卵質の低下、着床障害を招くような婦人科系疾患が増えるのも、30代後半からなのです。
細川)
はい。
Dr.)
程度にもよりますが、子宮内膜症や子宮筋腫は自覚できる症状が伴わないことが少なくありませんので、そういう意味からも早めに受診するに越したことはありません。
細川)
よくわかりました。次に、治療のペースについてアドバイスいただけますでしょうか?
Dr.)
女性の年齢が高くなるほど、治療のペース、すなわち、ステップアップのタイミングも早めることが重要です。もちろん、患者さんの希望もあると思いますが、不妊治療の目的は妊娠することですから、漫然と同じ治療を繰り返すうちに、結果として妊娠のチャンスを逸してしまうことは避けなければなりません。
細川)
はい。
Dr.)
そのため、当院では、1年以内に妊娠を目指しますので、35歳以上では3ヶ月サイクルで進めています。いわゆる、3ヶ月間のタイミング指導で妊娠に至らなければ、人工授精を3周期、それでも妊娠に至らなければ体外受精で妊娠を目指すことをお勧めしています。そして、40歳以上であれば、そのサイクルが1、2ヶ月になります。
細川)
35歳以上になれば3ヶ月サイクル、40歳を越えれば1、2ヶ月サイクルで進めるのが望ましいと。
Dr.)
はい。ただし、これはあくまで目安です。年齢だけではなく、それぞれの患者さんの、いわゆる、卵巣年齢も考慮に入れる必要があります。
細川)
個人差があるということですね。因みに、卵巣年齢はどのように調べるのでしょうか?
Dr.)
前胞状卵胞数やAMH(アンチミューラリアンホルモン)、そして、FSH(卵胞刺激ホルモン)を測定します。そして、患者さんの卵巣機能を見極め、ぞれぞれの患者さんに応じた治療のペースを決定します。
細川)
それらはどのような検査で調べるのでしょうか?
Dr.)
前胞状卵胞数は超音波検査、AMHやFSHは血液検査を行います。ただ、個々の卵巣年齢を把握し、それに基づいて治療方針を立てることは、35歳以下の患者さんにも言えることです。
細川)
よくわかりました。

[この章のポイント]
35歳以上になれば卵子の染色体異常の割合が増え、妊娠率の低下や流産率の上昇が急速になるため、夫婦生活をもっても半年間妊娠に至らなければ受診するのが望ましい。もしも、40歳以上であれば半年を待たなくてもよい。また、年齢が高くなるほど早めに次の治療に移行すべき。その際には、卵巣年齢の目安になるAMHやFSHの値も参考にする。

*1)NPO法人日本不妊予防協会
不妊原因の研究、治療法の開発等に関する事業を行うとともに、これらの進歩と発展をとおして、健全で健康な生殖保持と増進を促し、以って、少子化対策、医療費削減など、国民の医療福祉に寄与することを目的とした団体。

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