ドクターにインタビュー

vol.08

【6】細胞のアンチエイジングが治療の本質

出居 貞義 先生(大宮レディースクリニック院長)

出居 貞義

【6】細胞のアンチエイジングが治療の本質

細川)
出居先生のお話しをお伺いし、特別な原因がないのにも関わらず、 なかなか授からないカップルにとって、何が大切なのかが理解出来ました。
Dr.)
卵巣や子宮、ホルモン値など、部分だけでなく、 まずは、健全な成熟卵を育む環境である女性の体の健全性を見ることが大切です。
細川)
そもそも、先生は、不妊治療を始められた頃からそのようなお考えに立たれて、 患者さんに食生活や生活習慣の改善指導に取り組んでおられたのでしょうか?
Dr.)
いいえ。はじめは半信半疑でした。 きっかけになったのは、平成16年10月に二人目のお子さんを希望して当院を初診した患者さんで、 お一人目のお子さんは4年5ヶ月のあいだに顕微授精を4回して、 やっと授かったという34歳の方でした。
その方が第2子希望にて、当院で顕微受精を受けられましたが、 採卵数も3個と少なく、2個受精卵を戻しましたが妊娠できませんでした。 その時の落胆されたご様子から、2度目の顕微授精ではなんとしても、 妊娠をさせてあげたいという思いがこみ上げてきました。 そこで考えついたのが、玄米発酵食品による体質改善です。
細川)
最初は苦肉の策だったというわけですね。
Dr.)
そうなのです。なぜ玄米だったのかというと、私の長男がアレルギー性鼻炎でして、 薬では全く改善しないためレーザー治療を勧められたのですが、 玄米発酵食品服用でほぼ治癒したという経験があったからです。 その頃は手探りでしたが、玄米発酵食品をこの患者さんに、 一日3包、6ヵ月服用してもらい、再度顕微授精を行いました。 すると採卵数も6個と改善が見られ、2個胚移植して妊娠が成立し、 H18年4月に待望の2人目を正常分娩されました。
細川)
玄米発酵食品を半年続けることで、発育卵の数が増え、質もよくなったと。
Dr.)
そうです。それ以来、この経験をもとに、 ホルモン検査で女性ホルモンが少ない患者さんや低体温の方、月経不順の方にも勧めてみたところ、 体質改善により、簡単に妊娠される方が出てきました。 このような経験から、玄米食が本来の未病の状態を改善し、 その人本来の健康が戻る事により、自然に妊娠が成立しうるのだという結論に至ったわけです。
細川)
よく分かりました。
Dr.)
妊娠は「健康な人に許される自然の恵み」です。
細川)
健康な人に許される自然の恵み・・・。
Dr.)
そうです。 ところが、それを排卵誘発や人工授精、体外受精しか治療法がないとするのは、 まるで「癌治療は手術と抗がん剤、放射線治療しかない」と考えている日本の医療の寂しい姿に似ています。
細川)
はい。
Dr.)
私たちの体に癌細胞がないのではなくて、毎日2000~3000個のがん細胞は絶えず生まれているが、 それをリンパ球などの自己免疫細胞が毎日見つけて退治している事を忘れているのと同じなのです。
細川)
まずは、私たちに備わった妊娠する力を取り戻すことから取り組むことが大切だというわけですね。
Dr.)
細胞のアンチエイジングが治療の本質です。
細川)
本日は大変貴重なお話しをお伺いできました。本当にありがとうございました。

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