ドクターにインタビュー

vol.19

40代の不妊治療について考える

辰巳賢一 先生(梅ヶ丘産婦人科院長)

辰巳賢一

【3】40歳以上だからといって必ずしも体外受精が必要というわけではない

細川)
実際のところ、梅ヶ丘産婦人科では40歳以上の患者さんは、どれくらいの確率で妊娠されていらっしゃるのでしょうか。
Dr.)
平成3年から平成25年の間に19,758名の患者さんがこられました。初診時年齢の内訳は、30歳未満が14%、30〜35歳未満が39%、35〜40歳未満が35%、そして、40歳以上が12%です。
細川)
35歳以上が半分弱で、40歳以上の方が12%いらっしゃるのですね。
Dr.)
初診時40歳以上の妊娠率、出産率をみてみますと、40歳では最終的に35%が妊娠され、22%の方が出産されています。41歳では、それぞれ、25%、15%、42歳になると出産された方が10%、43歳になると8%になります。
細川)
40歳以上の方でもそれ相応に妊娠、出産されていらっしゃるのですね。
Dr.)
次に、40歳以上の妊娠例における妊娠方法ですが、タイミング法などの一般不妊治療が30%、人工授精が21%、そして、ARTが49%(新鮮胚移植25%、凍結胚移植24%)でした。ただし、凍結胚移植妊娠は妊娠時ではなく、凍結時に40歳以上であったケースだけを対象としています。
細川)
40歳以上でも、タイミング指導で30%、人工授精で21%と、半分以上は人工授精までで妊娠されているのには驚きました。
Dr.)
この傾向は41歳以上でも、ほとんど変わらず、自然妊娠が約30%、人工授精が約20%、そして、約50%がARTによるものです。
細川)
人工授精までの治療と体外受精とが半々ということになりますね。これは世間で思われている印象とはずいぶん違うように思います。
Dr.)
そうですね。40歳超えたので、体外受精でしか妊娠するのは難しいだろうからと、多くの先生方から患者さんをご紹介いただくのですが、40歳を超えたからといって、必ずしも体外受精でないと妊娠できないということはありません。
細川)
これまでの認識が変わりました。
■この章のポイント
40歳以上だからといって、必ずしもARTが必要であるというわけではない。

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