ドクターにインタビュー

vol.25

精索静脈瘤と男性不妊 〜精子の質を高めてパートナーの治療成績の改善を図る

菅藤 哲 先生(かんとうクリニック院長)

菅藤 哲

【1】精索静脈瘤とは? 〜"よくある"にもかかわらず治療機会が得られにくい疾患

細川)
精索静脈瘤とはどのような病気なのでしょうか?

Dr.)
陰嚢の精巣がある周辺に静脈の拡張したこぶが出来てしまう状態を精索静脈瘤といいます。

細川)
足にできる下肢静脈瘤はよく聞きますが、陰嚢にも静脈瘤ができるのですね。

Dr.)
そうです。

細川)
なぜ、陰嚢に出来るのですか?

Dr.)
精巣から心臓に戻る静脈の血流の逆流によるものです。

細川)
静脈が逆流する。

Dr.)
そうです。通常であれば静脈弁が逆流を防いでいるのですが、精索静脈瘤では弁の機能が低下しているために血液の逆流が起こり、その結果、精巣周辺に血液が滞り、たまってしまいコブが出来るのです。また、解剖学的な理由から特に左側に発生しやすいことが知られています。

細川)
なるほど、よくわかりました。ところで、精索静脈瘤はどれくらいの頻度で起こるのでしょうか?

Dr.)
一般男性の15%にみられ、乏精子症や精子運動率低下の男性不妊患者では少なくとも35%は精索静脈瘤が原因であるとされています。

細川)
意外に高い頻度ですね!

Dr.)
そうなのです。精索静脈瘤は最も一般的な不妊原因なのです。また、二人目不妊の78%は精索静脈瘤が原因です。

細川)
それは驚きです!なぜ、二人目不妊になるとそんなに多くなるのですか?

Dr.)
それはとてもシンプルな理由で精索静脈瘤は進行性の病気だからです。

細川)
なるほど!一人目の時には問題なくても、二人目のお子さんの妊活を始めるころには静脈瘤が進んで、不妊の原因になることが多いということですね。

Dr.)
はい。若い時にはたとえ静脈瘤があってもマイナスの影響を打ち消すことができるだけの力がありますが、年齢が上がってくるに従って抵抗力が落ちてくるということもあるのもしれません。

細川)
進行性の病気であるということと男性の年齢による抵抗力の低下で、二人目不妊の原因になることが多くなると。

Dr.)
とても多いですね。ところが、このように、精索静脈瘤は最も一般的な不妊原因で、かつ、治療可能な男性不妊原因であるにもかかわらず、治療の機会が得られにくい疾患なのです。

細川)
一人目不妊でも、二人目不妊でも、精索静脈瘤という不妊原因があることを知らずにいる男性が相当いるということですね。

Dr.)
はい。精液検査はたいていのクリニックで受けることが出来ますが、男性不妊を専門とする泌尿器科医による診察を受けられる機会は限られているからです。

細川)
精索静脈瘤への治療がなされないまま、女性へのART(体外受精、顕微授精などの高度生殖補助医療のこと)が行われているということですね。

Dr.)
その通りです。男性不妊への原因探索や治療が適切になされていないことは日本のART成績が低い要因の1つになっているのかもしれません。

細川)
よくわかりました。

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