ドクターにインタビュー

vol.23

[5]信頼は情報の共有から

林 伸旨 先生(岡山二人クリニック理事長)

林 伸旨

[5]信頼は情報の共有から

細川)
林先生がこれだけ情報共有化にこだわって取り組んでこられた動機をお聞かせいただきたいです。

Dr.)
もちろん、根本的には「よりよい医療を提供するために何をすればよいか」ということなのですが、私自身、自分で責任を取れる生殖医療を提供したいと思っています。でも、自分が責任を取るためにはチーム医療ができてないといけない。責任がとれる医療チームで医療を提供したい、よい医療チームを創りたい。

細川)
そうですね。

Dr.)
そもそも、このクリニックを立ち上げる前から、『信頼は情報の共有から』と考えていましたので、開院当初から『信頼は情報の共有から』というスローガンを掲げてきました。

細川)
信頼関係を築くには、情報を共有することから始めなければならないということですね。そう言われれば、全くおっしゃる通りだと思います。

Dr.)
結局、チームで情報を共有しようというのは、『チーム間の信頼関係を築いていきましょう』ということであって、それが実現してはじめて患者さんにも安心してもらえる医療が提供できるようになると思うのですよ。

細川)
なるほど。

Dr.)
また、よりよい医療とはなにかと考えた場合、先ほども言いましたが、望妊治療ではいくら頑張って治療しても成功率はせいぜい3割です。そのため、私自身、「うちのクリニックは高い妊娠率の医療を提供しますよ」というふうには言えなくて。そんなことは誰も保証できないわけですから。

細川)
はい。

Dr.)
そのため、私たちは妊娠の成立そのものではなく、治療のそれぞれのプロセスを評価してもらいたいと思っているのです。

細川)
妊娠成立そのものではなくプロセスを大切にしたいと。

Dr.)
それで、最近、アンケート調査の質問内容も変更しました。以前は「当院の医療に満足ですか?」とお聞きしていました。

細川)
患者さんの満足度調査ということですね。

Dr.)
そうです。ところが、「満足いただけましたか」と聞くと、患者さんからは、やはり、「これで妊娠出産できたら満足なんですけどね」という言葉になってしまいます。

細川)
なるほど。

Dr.)
私たちは「より自然でより早い妊娠成立」を治療方針に掲げていますし、患者さんの望みも妊娠出産することなのですが、患者さんに満足してもうおうとすると、どうしても限界があります。

細川)
そうですね。

Dr.)
であれば、私たちは、『患者さんの満足度よりも信頼度を指標にしたほうがよいのではないか』と考えたわけです。

細川)
満足度よりも信頼度を。

Dr.)
そうです。満足という言葉は医療においては使わない方がよいのではないかと思いだして、アンケートの質問の仕方も、「当院の提供する医療に信頼はおけますか?」、「こういう医療環境で待ち時間が発生していますが、私たちの取り組みに対して信頼はおけますか?」というふうに変えさせてもらいました。

細川)
なるほど。患者さんに信頼される医療であるためには、スローガン通り、まずは、患者さんへきちんと情報を提供し、共有されて、初めて、可能になるということですね。そして、その結果として高い妊娠率を目指したいと。

Dr.)
そうです。情報の共有は私と患者さん、当院の職員と患者さんとの共有はもちろん、私と職員とのテーマでもあるでしょうし、職員間、組織間もあるでしょう。それぞれ、満足できる関係というよりも、信頼できる関係になれるかどうかということが大切だと思っています。

細川)
満足できる関係よりも、信頼しあえる関係になろうと。

Dr.)
はい。そのための情報共有システムなのだと、そういう発想で20年間やってきたということです。

細川)
よくわかりました。

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