ドクターにインタビュー
vol.15
オーダーメイドの不妊治療とは? ~ あるべき不妊治療を考える
安部 裕司 先生(CMポートクリニック院長)
【5】あるべき不妊治療を目指して
- 細川)
- 安部先生のお考えになっておられる「オーダーメイド治療」について、理解が深まりました。
- Dr)
- 結局、〇〇クリニック方式や○○メソッドではなく、私の不妊治療を提供したいという思いでやっているということなんですね。そして、そのほうが妊娠が困難と思われた患者さんに妊娠していただいた時の喜びもより大きいように思うのです。もちろん、それは私一人の力ではなく、スタッフ全員の真摯な努力があってこそのことですが。
- 細川)
- はい。
- Dr)
- ただし、この方法が完璧な方法だとは、決して、思っていません。やはり、デメリットもあります。
- 細川)
- どのようなことでしょうか?
- Dr)
- たとえば、いろいろなドクターがいれば、いろいろな目があるということですので、私には思いつかなかったよりよい方法を提案してもらえる可能性があります。
- 細川)
- なるほど。
- Dr)
- また、患者さん、一人、一人に異なった手順の治療を提供するわけですから、ワンパターンやり方よりも間違いが起こるリスクも高くなります。もちろん、ミスが起きないようにしたり、起きても影響を最小限にとどめる備えや仕組みは構築していますが。
- 細川)
- そうですね。
- Dr)
- また、これが完成形だとも思っていません。技術も日々進んでいますし、患者さんの考え方も時代とともに変わっていきます。ただ、基本的な方針で常に患者さんに気持ちに寄り添った医療を提供していきたいということは変わらないと思います。
- 細川)
- よくわかりました。ところで、そもそも、最初からこのような治療方針を掲げていらっしゃったのでしょうか?
- Dr)
- いいえ。不妊治療医としたスタートした大学病院、その後、東邦大学医療センター大森病院婦人科リプロダクションセンターの設立、運営に携わった経験から培われたものだと思います。
- 細川)
- これまでのご経験から、安部先生がベストと考えられる治療環境をつくってこられたということですね。
- 今日はありがとうございました。
ドクターに訊く
ドクターにインタビュー
- 第25回 精索静脈瘤と男性不妊 〜精子の質を高めてパートナーの治療成績の改善を図る
- 第24回 子宮内膜症と不妊治療
- 第23回 納得のいく選択や決断のための“情報共有”について考える
- 第22回 老化促進物質AGEをターゲットにした不妊治療
- 第21回 不育症を正しく理解する~不妊症と不育症はひと続き
- 第20回 栄養と妊娠力
- 第19回 40代の不妊治療について考える
- 第18回 不妊治療の終結について考える
- 第17回 栄養と生殖機能の関連研究の第一人者に聞く
- 第15回 オーダーメイドの不妊治療とは?~あるべき不妊治療を考える
- 第14回 30代後半、40代からの不妊治療
- 第13回 不妊治療には、なぜ、“対話と物語”が大切なのか?
- 第12回 妊娠前からの食生活が子どもの一生の体質をつくる
- 第11回 妊娠しやすい思考ってあるのでしょうか?
- 第10回 クラミジア感染症と不妊 ~検査と治療についての正しい知識
- 第09回 ストレスフリーの不妊治療を目指して
- 第08回 体が本来持っている妊娠する力を取り戻す
- 第07回 酸化ストレスと男性不妊
- 第06回 質のよい卵を育むための生活習慣
- 第05回 不妊治療でなかなかよい結果が得られないとき
- 第04回 体外受精の後悔しない病院選びについて
- 第03回 ちゃんと知っておきたい薬のこと
- 第02回 妊娠しやすい夫婦生活とは?
- 第01回 不妊予防という考え方