ドクターにインタビュー

vol.02

妊娠しやすい夫婦生活とは?~タイミング法にまつわる誤解を正す

辰巳 賢一 先生(梅ヶ丘産婦人科院長)

辰巳 賢一

【2】 最も妊娠しやすいのは実は排卵日ではありません

細川)
妊娠できる日は6日間あるということなのですが、タイミング法というと、排卵日を狙って性交のタイミングを合わせるというイメージがあります。
Dr.)
そうですね。専門の先生でも排卵日に性交するように指導されることが多いようです。ところが、最も妊娠しやすいのは排卵日ではありません。妊娠の可能性のある6日間の中でも、排卵の4日前から妊娠の可能性は高くなるのですが、排卵日の2日前から排卵日前日が最も妊娠しやすくなり、排卵日当日にはすでに妊娠率は低下してしまうのです。
細川)
最も妊娠しやすい日は排卵日ではなく、排卵の2日前や前日なのですね。
Dr.)
そうです。性交した日と妊娠率の関係を調べた2つの研究があります。周期中に1回性交した場合、排卵日の1日前が最も妊娠率が高くなっています。また、周期中に複数回性交した場合には、排卵日の2日前が最も妊娠率が高くなっており、いずれも排卵日には妊娠率が低下しています。
細川)
なぜ排卵日当日よりも、その前日や前々日のほうが妊娠率が高くなるのでしょうか?
Dr.)
それは、頸管粘液が精子の貯蔵庫として働いているからではないかと考えられています。
細川)
頸管粘液が精子の貯蔵庫になるのですか?
Dr.)
そうです。射精された精子は頸管粘液の中に入っていき、そこでいったん貯えられてから、順次、卵管へ送り出されるというイメージです。ですから、排卵日よりも、その前に性交したほうが妊娠しやすくなるのです。
細川)
ということは、何が何でも性交のタイミングを排卵日ジャストにあわせる必要はないということですね。
Dr.)
そういうことです。排卵の4、5日前から妊娠可能になるわけですからね。
細川)
よく分かりました。

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