ドクターにインタビュー

vol.12

【4】すこやかな新しい命を育み、紡ぐために知っておくべきこと

福岡 秀興 先生(早稲田大学総合研究機構研究院教授)

福岡 秀興

【4】すこやかな新しい命を育み、紡ぐために知っておくべきこと

細川)
お子さんを望むカップルが気をつけるべきことはどのようなことでしょうか?
福岡先生)
妊娠前、妊娠中はやせないようにしてください。BMI(*)を目安に、自分の適正体重を知っておくといいでしょう。
細川)
そのためにも食生活が重要になりますね。
福岡先生)
基本はバランスのとれた1日3食の食事です。ご飯やパン、麺などの主食、野菜やきのこ、いも、海藻などの副菜、肉や魚、卵、大豆などの主菜、乳製品、果物などをバランスよくとるといいですね。胎児の細胞分裂にかかわる葉酸は、食事だけでは不足しがちなので、食事に加えサプリメントを利用して下さい。
細川)
つまり、ビタミン・ミネラルを含む5大栄養素を取り入れた、毎日の当たり前の食生活が、とても大切だということですね。
福岡先生)
その通りです。妊娠前に栄養環境をととのえることは、まず母親になる自分の健康を保つことであり、受精の瞬間から始まる正しい遺伝子の発現、つまり"命"を育み、そして、紡ぐために、とても重要です。積極的に妊娠を望む方は、妊娠に気づく前から取り組んでいただきたいと思います。それはさまざまなリスクを回避することにもつながります。ぜひ、食生活の見直しをしてみてください。
細川)
次世代のためにも、社会的にもっと注目されてもいい情報ですね。
福岡先生)
こうしたことは本来、社会全体で取り組むべきですが、残念ながら日本はこの分野で遅れているため、母親になる皆さんが正しい知識を身につけて、子どもに伝えていくことが大切になります。お子さんが生まれたら、食育にもぜひ気を配ってください。それが世代を超えて、すこやかな命を紡いでいくことにつながります。産婦人科医として、一人の人間として、次世代の子どもたちに健康に育ってほしいというのが、私の願いです。
細川)
本日は大変貴重なお話しをいただきましてありがとうございました。
(*)BMI(=Body Mass Index)とは?
BMIは、体重(キログラム)を身長(メートル)の二乗で割って算出。BMIが20以下はやせ、20~25は適正、25以上は肥満。「22」のときに最も病気にかかりにくくなることから、BMIが22となる体重を標準体重としている。

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