step1生活習慣を見直す

運 動

日頃から運動することは、私たちが思う以上にカラダのバランスを整えるのに効果的です。

人間はカラダを動かすようにできている

「健康で長生きするためには適度な運動をしましょう」と多くの医師や専門家がすすめています。実際に、生活習慣病と呼ばれる病気のほとんどは、長年の運動不足が原因の一つになっています。

猿人類から進化した人間は、その時点の生活スタイルに適合するように、カラダができているといわれます。その頃の人間は、捕食者から逃げ、食物を獲得するため必然的に激しい運動をしていたことでしょう。また、100年くらい前の日本を考えてみても、農耕や日々の移動など、カラダを使うことが当たり前でした。

ところが、その頃に比べて、カラダを動かす必要がさほどない現代の生活は、カラダにとっては異常なことといえるのかもしれません。その上、それに輪をかけるのが、高カロリーで偏った食生活です。運動不足で筋肉が減少・衰弱、代謝が低下しているのに加えて、血液中にコレステロールやトリグリセリド(脂質)、グルコース(ブドウ糖)、インシュリン(ホルモン)が増加した結果、動脈硬化や高血圧、糖尿病などの生活習慣病や体調不良が起こりやすくなってしまいます。

本来、カラダに備わった機能が低下している状態ならば、「これといった原因がないのに妊娠しにくい」というのも、なんら不思議はないでしょう。


運動はホルモン分泌や自律神経を安定させる

私たちのカラダの機能が正常に働き、生命が維持できるのは、内分泌(ホルモン)系、神経系、免疫系という3つのネットワークが、互いに連携して、絶妙なバランスを保ちながら全身の細胞を統括するというメカニズムが働いているからです。

これらのネットワークの精巧なメカニズムは、日々の運動によって適度な刺激を与えると、より活性化するといわれ、それによりホルモンの分泌や交感神経と副交感神経、免疫機能が安定します。

妊娠・出産にあたっては、卵巣と子宮だけが働いているわけではありません。妊娠から出産に至る一連の生殖活動のすべてのプロセスでは、ホルモン系、神経系、免疫系のネットワークが複雑に影響し合い、それぞれの役割を果たしています。カラダの機能の正常な働きは、自然なリズムでそのバランスが保たれてこそ活発になります。 定期的な運動は、こうしたカラダのメカニズムの維持に役立ちます。


運動は適度がポイント。激しい運動は逆効果になることも

気をつけたいのは、運動もその程度や取り組み方によっては、逆効果になる可能性があること。

激しい運動は酸素の消費量を増やし、多くの活性酸素を生み出すことがあります。活性酸素による細胞の損傷が、老化の一番の原因とされているので、激しい運動は老化を早めることになりかねません。「怠け者ほど長生きする」という学者もいるくらいです。

これは、生殖機能においても同様で、激しい運動は女性の月経サイクルを乱したり、生理や排卵が止まってしまうこともあります。
妊孕性(妊娠する力)を低下させるほどの運動とは、マラソンやトライアスロンなどの耐久スポーツ、ジョギングやエアロビクスなどを過剰にやりすぎた場合です。運動においても、適度が大事ということです。

過剰なスポーツが生殖機能を低下させる原因は、明確にわかっているわけではありません。最近の研究によると、脳の視床下部や甲状腺等のホルモン分泌器官の働きに、異常を引き起こすためではないかと考えられているようです。


妊娠しやすいカラダづくりのための運動

運動しようと思っても、ついついラクなほうに流されてしまいがちです。そうならないためには、意識して計画的に取り組みましょう。

妊娠しやすいカラダづくりのための運動という観点では、妊娠しないことで感じるストレスを発散できるメリットも期待できます。そのためにも、楽しんで運動しましょう。「やらなければ」と義務的になったり、難行・苦行としての運動は、楽しくないし、続きません。


運動の習慣がない人にもおすすめのウォーキング

これまで運動の習慣がなく、これを機会に定期的な運動を始めてみようという人におすすめなのが「ウォーキング」です。
歩くだけで、特別な道具もいらず、いつでも手軽に、自分のペースで無理なく始められます。

歩くことは、いいことづくめです。
まず、生体リズムが整い、ホルモン分泌が正常化されます。また脳からエンドルフィンという快感物質の分泌が促され、ストレスを発散、気分を爽快にします。さらに、血行がよくなることで体内の酸素の巡りがよくなり、疲労を軽減して、老廃物の排泄を促します。

歩く時間帯はいつでもかまいませんが、できれば朝がおすすめです。
朝食前に歩くことで、気持ちいい1日のスタートをきることができます。そして、新鮮な空気をカラダに取り入れ、朝の光をしっかりと浴びることによって、"体内時計"がリセットされ、生体リズムが整います。


<効果的なウォーキング>

[1] ウォーミングアップ
ストレッチと複式呼吸による深呼吸を行います。

[2]運動の頻度とレベル
1日に30〜40分間を週に3~4回程度。または、20分間のウォーキングを2回に分けてもよい。
運動中の脈拍は1分間に110回くらいに保つのが理想的。

[3]終了時はクールダウン
ウォーキングを終えた時には、ウォーミングアップと同様に、呼吸法とストレッチを行う。

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