step4ストレスとうまく付き合う

ストレスに強い体質と環境をつくる

避けることができないストレスならば、ストレスをマネジメントする方法について考えてみましょう。

「ストレスをマネジメントする」という考え方

ストレスの原因は排除できないとしても、ストレスに強い体質をつくることは可能です。それが「ストレスをマネジメントする」という考え方です。

まず、何よりも大事なのは、正しい情報に触れることです。間違った情報による誤解や思い込みが、不安や心配の元になっていることは少なくありません。正しく知ることで不要な心配を回避しましょう。大切な時間やエネルギーのムダ使いも避けられます。

ここでは、カラダの中でココロの安定をつくり出すものについて取りあげます。


●血糖値を安定させる食習慣
「血糖値」とは、血液中のブドウ糖の濃度のこと。血糖値が急な上昇・下降を繰り返すと、ココロの状態が不安定になって、イライラしたり、キレやすくなる、またうつ病にかかりやすくなるとされます。血糖値の急激な上昇は、大量のインスリンの分泌を招き、それが急激に下降すると低血糖状態に陥ります。これを繰り返すとインスリンの効き目が悪くなり、糖尿病や不妊にも影響を及ぼします。

血糖値を安定させるために気をつけたいこと
・砂糖を多く含む食品や清涼飲料水を避ける。
・穀物は精製度の低いものを選ぶ。
・血糖値をすぐに上昇させる食品(高GI食品)よりも、ゆるやかに上昇させる食品(低GI食品)を選ぶ。
・食事の際に食べる順番は、低GI食品から、中GI食品、最後に高GI食品の順で。
・空腹時のお菓子やケーキなどを避ける。

[低GI食品]野菜、海草類、豆類、肉類、魚類、全粒粉のシリアルなど
[中GI食品]うどん、玄米、ライ麦パン、さつまいも、そば、パスタなど
[高GI食品]白米、餅、食パンなど

●セロトニンの量とバランスを保つ
「セロトニン」は、脳内の神経伝達物質です。 脳にはたくさんの神経が張り巡らされていて、その神経の先端からセロトニンドーパミンやノルアドレナリンといった化学物質が放出されて、神経に情報を伝達しています。これらの脳内神経伝達物質が不足したり、バランスが崩れると、不安が高まったり、イライラすることが知られています。

この脳内神経伝達物質は、体内で独自に合成されるのではなく、食事から取り入れたアミノ酸をビタミンやミネラルの働きによって変換させ、さまざまな伝達物質に合成しています。

セロトニンの減少を防ぎ、脳内神経伝達物質のバランスをよくするには、毎日の食事が大切です。まず、バランスよく食べること。良質なたんぱく質、ビタミンやミネラルなどの栄養素を過不足なく摂ることが大事です。また、合成の際には、腸内細菌が深くかかわっています。食物繊維や発酵食品を豊富に摂って、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えることも大切です。


脳内神経伝達物質の原料となるアミノ酸
フェルニアラニン、トリプトファン、グルタミンなど

代謝・変換にかかわるビタミン・ミネラル
葉酸、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンC、鉄、銅、マグネシウムなど

●不飽和脂肪酸「オメガ3脂肪酸」などのバランスをよくする
脂肪の構成成分である脂肪酸のうち、必須脂肪酸のオメガ3脂肪酸は、細胞膜の材料になります。脳内の神経伝達物質も例外ではなく、これらの必須脂肪酸の量とバランスが、脳の機能にも強く影響します。

とくに重要となるのが、オメガ3脂肪酸です。うつ病の緩和や神経状態の安定に寄与すると研究報告が相次いでいます。現代に特有の食生活では、オメガ6脂肪酸が過多になり、オメガ3脂肪酸が不足しがちだといわれています。

オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスをよくするには、揚げ物や炒め物などの加熱調理には、エキストラヴァージンのオリーブオイルを使うことです。サラダのドレッシングなど、加熱しない場合は、亜麻仁(あまに)油やしそ油、エゴマ油などを使います。また、週3回はサバやサーモンなど、脂ののった魚を食べるようにしましょう。トランス脂肪酸を含むマーガリンや、ショートニングを使った加工食品やスナック菓子、ファーストフードなどは、極力避けるようにしましょう。

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