特発性造精機能障害(原因不明により精子の数が減ったり動きが悪くなったりすること)の多くは、体内の酸化ストレスが関係していることから、抗酸化サプリメントによる改善について様々な研究がなされています。
そこで今回インドの研究者たちは、300人の男性不妊患者を対象に、抗酸化サプリメントが精液検査の結果やDFIの値に与える改善効果について調査しました。
研究では、参加者をランダムに2つのグループに分け、一方のグループには抗酸化サプリメントを、もう一方のグループにはプラセボ(偽の粒)を90日間投与し、精子の状態について比較しました。
抗酸化サプリメントに含まれていたのは、ビタミンA 375μg、ビタミンE 10mg、ビタミンD 10μg、ビタミンC 40mg、葉酸 100μg、ビタミンB6 2mg、ビタミンB12 1μg、亜鉛 7.5mg、セレン 40μg、鉄 5mg、銅 1mg、マンガン 2mg、コエンザイムQ10 50mg、L-カルニチン 50mg、L-アルギニン 10mg、L-グルタチオン 2.5mg、リコピン 2mg、朝鮮人参エキス 10mgでした。
試験の結果、総精子数の改善率はプラセボ群の11%に対し、サプリメントを摂取したグループでは42%でした。
これは、試験前に測定した総精子数が低い場合も高い場合も同じく、サプリメントによる改善効果が見られたとのことです。
さらに、40歳以上の被験者では、その効果がより大きかったということです。
運動率については、プラセボ群もサプリメント摂取群もどちらも改善が見られましたが、特に40歳以上の参加者に関してはサプリメント摂取群であきらかに改善が見られました。
正常形態率や精子DFIについては、プラセボ群でもわずかに改善が見られましたが、サプリメント摂取群では、あきらかな改善が見られたとのことです。
以上の結果から、特に40歳以上の男性不妊患者は、抗酸化サプリメントを摂取することで精子DFIや精液検査の結果が改善されることがわかりました。
*精子DNA断片化率(DFI):精液中にDNAの損傷した精子が含まれる割合
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精子DNA断片化率(DFI)は、精液中に存在するDNAの損傷した精子の割合で、精子の質をはかる指標となり、年齢とともに上昇することがわかっています。
精子のDNAが損傷してしまうと、受精率の低下や、胚の正常な発育にマイナスの影響を及ぼします。
DNAが損傷してしまう主な原因は酸化ストレスによるもので、今回の研究では、さまざまな抗酸化成分を配合したサプリメントが、特に40歳以上の男性でDFIや精液検査の結果の改善につながったというものです。
お子さんを望む40歳以上の男性は、抗酸化サプリメントの摂取を検討してみてもよいかもしれません。