脂肪酸摂取と子宮筋腫リスクの関係

生活習慣・食事・サプリメント

2020年12月16日

Fertil Steril 2020; 114: 837

オメガ3脂肪酸の摂取は子宮筋腫の発症リスク低下に、反対にトランス脂肪酸の摂取は子宮筋腫の発症リスク上昇に影響することがアメリカで実施された大規模前向きコホート研究で明らかになりました。

フレッド・ハッチンソン癌研究センターの研究所を中心としたグループは、大規模前向きコホート研究「Nurses' Health StudyⅡ(看護師健康調査)」に登録の女性看護師を対象に脂肪酸摂取量や赤血球中の細胞酸と子宮筋腫発症リスクの関連を調べしました。

赤血球中の脂肪酸のレベルを測定したのは、血中の脂肪酸レベルは数日から数週間の食事からの脂肪酸摂取量が反映されるのに対して、赤血球中脂肪酸は数ヶ月間の摂取量が反映されることから、脂肪酸摂取量の指標としてより適切であると考えられるからです。

1991年から2009年までの18年間、4年毎に食物摂取頻度調査票を用いた食事調査を実施し、脂肪酸摂取量を、1996年と1999年には採血し、赤血球中の脂肪酸組成を、それぞれ、調査し、子宮筋腫の発症との関連を解析しました。

研究期間中に81,590名を追跡した結果、被験者数×追跡期間は1,536,355人に上り、その中で、超音波検査や子宮摘出術によって子宮筋腫と診断された被験者は8,142名でした。

総脂肪酸摂取量や個々の脂肪酸摂取量と子宮筋腫リスクは関連しませんでした。

その一方、赤血球中脂肪酸組成を調べた553名中、子宮筋腫と診断されたのは56名でしたが、オメガ3脂肪酸の摂取量は子宮筋腫のリスク低下と関連し、最大三分位群は最小三分位群に比べて、調整後オッズ比は0.41(95% CI 0.19-0.89)でした。また、反対にトランス脂肪酸摂取量は子宮筋腫リスク上昇に関連し、同様の調整後オッズ比は3.33(95% CI 1.50-7.38)でした。

このことからトランス脂肪酸やオメガ3脂肪酸の摂取量は子宮筋腫の発症リスクに影響を及ぼすことが示唆されました。

コメント

食事内容は、ホルモンバランスや炎症反応の影響を介して子宮筋腫の発症リスクと関連する可能性があります。たとえば、トランス脂肪酸はIL-6等の炎症促進サイトカインを上昇させることが知られており、慢性炎症は子宮筋腫の発生を促進するとの意見もあります。

反対にオメガ3脂肪酸は炎症抑制作用を有することが知られていますが、これまで脂肪酸組成と子宮筋腫のリスクの関連は十分に検討されていませんでした。

そこで、今回の研究が実施され、トランス脂肪酸やオメガ3脂肪酸の摂取量は子宮筋腫の発症リスクに影響を及ぼすことが示唆されました。

食生活から言えば、肉類やパン、油、洋菓子、外食は多くなり過ぎないようにし、魚や野菜、豆・ナッツ類を中心にし、積極的に食べるのがよいということになります。