子宮筋腫の遺伝子療法

不妊改善・生殖医療関連

2004年12月07日

the American Journal of Obstetrics and Gynecology Nov.2004VOL.191 1621-1631

子宮筋腫のエストロゲン受容体を不活性化させる遺伝治療が筋腫を小さくすることが、マウスを使った実験で確認され、医学誌「American Journal of Obstetrics and Gynecology 11月号」に発表されました。これは、女性の妊孕性(妊娠する力)を損なうことなしに、子宮筋腫を治療する方法として期待できるものであると研究者は指摘しています。

子宮筋腫は悪性の腫瘍ではないものの、深刻な痛みや出血を伴い、妊娠の経験がなく、これから子づくりを考えている女性の間で増えているとされています。
問題は、最新の治療とされている"子宮摘出"や"子宮動脈塞栓術"は、場合によっては、将来の妊娠の可能性を奪ってしまうことがあることです。

今回、報告された実験は、筋腫を移植して2~3週間の実験用マウスの筋腫の細胞に、遺伝子操作したエストロゲン受容体を移植したところ、1週間で、対象のグループに比べて、明らかに腫瘍が小さくなりました。

コメント

文中にもあるように、子宮筋腫は良性の腫瘍で、命に影響を及ぼすものではありませんが、程度や状態によっては、子宮内膜に影響を及ぼし、着床を阻害し、不妊の原因になる場合もあります。
筋腫が発生している場所や大きさから、治療に要不要、そして、必要であれば、どんな治療が適切かを判断します。
治療を必要としない筋腫も多いようですし、薬で一時的に生理を止めて小さくする場合もあります。

手術が必要な場合でも、子宮を温存するために、子宮筋腫核出術という子宮筋腫のみを核出する方法をとります。
手術といっても、開腹せずに 腹腔鏡によるものが多くなっています。

今回、報告された遺伝子治療は、マウスの実験で有効性が確認された段階ですので、実際に治療法として確立されるまでにはかなりの時間が要するものと思われます。

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「子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ」
子宮筋腫と内膜症の患者の会、自助グループです。

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