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VOL.171 流産について考える

2006年09月02日

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           妊娠しやすいカラダづくり 

            2006年9月2日 第171号
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━不妊に悩むカップルを応援します!━━━━━━━━━━━━━━━━━

このメールマガジンは、
お子さんを望まれるカップルに向けて、
有益と思われるさまざまな情報を提供しています。

妊娠しやすいココロとカラダをつくるための自然な療法について、
また、不妊の悩みを克服するために、
二人で話し合い、考えるうえでの道筋を整理したり、
自分たちで答えを出すためのヒントになるような情報を、
出来る限り客観的な視点で、毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。

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01 今週のコラム:不妊治療助成制度拡充決定に思うこと
02 更新情報
03 今週の特集:流産について考える

---[CONTENTS]-----------------------------------------------------

━01━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    今週のコラム
              VOL.171
   不妊治療助成制度拡充決定に思うこと
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最新ニュースでもお知らせしていますが、8月28日の産経新聞は、
体外受精や顕微授精への助成金制度の拡充が決定したと伝えています。
http://www.akanbou.com/news/news.2006082801.html

具体的な拡充の内容は、5月9日の日本経済新聞の記事にあります。
http://www.akanbou.com/news/news.2006050901.html

それによりますと、来年の4月実施を目処に、
現在1世帯あたりの助成金の上限を年間10万円から20万円に倍増し、
適用期間を5年から7年に延長するとともに、
所得制限についても、
現在の夫婦合算年収650万円未満から860万円未満に引き上げられるようです。

不妊治療、特に、体外受精や顕微授精ともなると、
1回で授かるという保証はどこにもないわけですから、
ほとんど、通帳とにらめっこ状態が続くことになり、
かかる費用を、いかに、捻出するかは、本当に、切実な問題です。

ところが、これまでの上限額の10万円といい、
夫婦合算の年収が650万円未満という所得制限といい、
とにかく、"使えない"という声が多かったようですから、
まずは、朗報と言えます。

ただし、不妊治療にチャレンジ、
或いは、チャレンジしょうとしている方々の悩みに、日々、接していると、
どうも、国として、費用のバックアップだけでは、
片手落ちのように思えてならないのです。

なぜなら、切実な問題は、決して、費用のことだけではないからです。

例えば、病院のこと、です。

助成金を受けるためには、
指定医療機関、すなわち、日本産科婦人科学会への登録施設で、
治療を受けることが条件になっているにもかかわらず、
学会への登録には、何の審査もなく、フリーパスで、
その後も野放し状態なのです。

ですから、現在、全国で600以上ある登録施設の設備のレベルや治療実績、
さらには、それに伴って、医療技術レベルには、
相当な格差があるのが現実なのです。
http://www.akanbou.com/news/news.2006081401.html

さらには、高額な費用を始めとして、
さまざまなリスクを抱えて臨まざるを得ないにもかかわらず、
患者には、治療を受ける前に、
そのような病院間の格差を知る術はほとんどありません。

患者は、なんと、弱い立場におかれているのでしょう!

要するに、費用的なバックアップもさることながら、
最も肝心な治療環境を整備すること、
言い替えると、患者の立場を守ることに、国は、もっと、尽力すべきです。

でなければ、不妊治療の助成金が、
貧弱な不妊治療を推進するというような、
"逆効果"になってしまいかねません。

具体的には、助成金を出す治療へのガイドラインの設定、
指定医療機関への施設基準や監査制度の導入、
また、違反した施設への罰則、
さらには、施設の治療成績の公開等です。

ただ、私たちは、ここで、青年の主張をするのが目的ではありません。

皆さんには、現状を少しでも正しく認識して頂いて、
そして、それぞれの努力で"賢い消費者"になっていただきたいのです。

それが、このコラムの目的です。

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ご意見、ご要望等は、下記のアドレスにお寄せ下さい。
news-master@akanbou.com


━02━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今週の更新情報
http://www.akanbou.com
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2006年9月2日 最新ニュース
肥満と男性不妊との関係
http://www.akanbou.com/news/news.2006090201.html
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2006年9月1日 Q&A
子宮筋腫核出術と卵管閉塞の手術を受けました
http://www.akanbou.com/qa/qa.2006090101.html
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2006年8月31日 Q&A
半年に2回の流産、次も流産するのではと不安です
http://www.akanbou.com/qa/qa.2006083101.html
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2006年8月30日 Q&A
安易に人工授精に頼っていいものかどうか
http://www.akanbou.com/qa/qa.2006083001.html
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2006年8月29日 Q&A
毎月落ち込み自分を責めてしまいます
http://www.akanbou.com/qa/qa.2006082901.html
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2006年8月28日 最新ニュース
不妊治療助成の金額が倍増、所得制限も緩和」
http://www.akanbou.com/news/news.2006082801.html
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上記の記事についてのご質問等は、下記のアドレス宛お寄せ下さい。
news-master@akanbou.com


━03━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
         今週の特集
               20060902
            流産について考える
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今週は、特集として、流産について考えてみたいと思います。
読者の皆さんからのご要望の多いテーマです。

流産について、正しい知識を得ることは、
同時に、妊娠するということについての正しい認識につながります。

なぜなら、人間の妊娠率が意外に低いのは、
拡大解釈した流産の割合が高いと言えなくもないからです。

いずれにしても、
流産について正しく知ることは、
とても、大切なことです。

★流産はどれくらいの頻度でおこるのか?

流産とは、妊娠21週までに、
何らかの原因で妊娠が終了してしまうことをいいますが、
そのほとんどは、妊娠11週までにおこる初期流産です。

どれくらいの頻度でおこるのかといいますと、
全妊娠の約15%の割合であると言われています。

ただし、この割合は、決して、一律のものではありません。

さまざまな要因によって影響を受けます。

たとえば、母親の年齢です。

30代前半で、約15%、30代後半では約18%、
40代になると、約30%に高まります。

また、体外受精を受けた場合の妊娠あたりの流産率の平均は、
2004年度では、21.3%になっています。

⇒ 流産することは、決して、珍しいことではない

★流産はどんな原因でおこるのか?

初期流産の約70%は胎児の染色体異常によるものです。

大切なことは、胎児の染色体異常は偶然に発生することであって、
両親の問題ではないということです。

因みに、卵子の段階での卵子の段階で染色体に異常がある割合は25%、
精子の段階では10%、受精のプロセスでは8%、
そして、受精の結果として生じた胚には、
約40%に染色体異常があるとされています。

それが、着床前には25%になりますから、
15%が誰にも知られずに流産している計算になります。

さらに、妊娠初期には10%とされていますから、
私たちが流産とするところの割合が15%となるわけです。

このように、流産は、自然の淘汰の力が働いた結果であると言えます。
要するに、ほとんどの流産は、必然的におこる現象であって、
それを阻止することは不可能で、阻止する必要もないとのです。

⇒ 流産することは、そのほとんどは、
  自然の淘汰の結果であって、親のせいではない

★流産の後の子作りは?

流産の後は、1〜2ヶ月以内に月経が再開します。
流産後は、月経が2回程きてから、次の妊娠を目指すようにします。

⇒ 流産後は、月経が2回きてから子づくりを

★流産が続いたら?

流産が2度、さらには、3度と続いた場合は、
どうしても、深刻に考えてしまうものです。

実際に、流産の頻度は約15%でしたが、
それが、2回続く確率となると2.3%、3回続くのは0.34%となります。

現実問題として、2回までであれば、
偶然の結果、要するに、特に問題はないと片付けられますが、
3回続くとなると、両親のいずれかに、
何らかの問題があるのではと考えざるを得なくなり、
習慣性流産として、その原因を精査する必要があるとされています。

⇒ 流産が3回続くと、習慣性流産とされ、
  詳しい検査が必要とされている

★流産が、2回、3回続いても・・・

ただ、連続して流産してしまったとしても、
必ずしも、両親のどちらかに問題があるとは限りません。

なぜなら、流産の頻度は15%、
そして、その70%に胎児の染色体異常があるということは、
15%の70%ですから、
全ての妊娠の約10%に染色体異常がある計算になります。

ですから、2回続けて、
"偶然にも"染色体異常のある胎児を妊娠して、
そして、そのことが原因で流産してしまう確率は1%になります。
ということは、2回続けて流産(割合は2.3%)しても、
それが、胎児の染色体異常が、たまたま、2回続いたのは、
その内の43%もの割合なのです。

そして、3回続けて流産した場合はどうでしょう。
3回とも、偶然の胎児の染色体異常が原因で流産してしまうのは、
0.1%ということになりますから、
3回流産が続いた場合の約3割は、たまたま、ということになります。

いかがでしょうか?

⇒ たとえ、2回、3回と連続して流産が続いたとしても、
  まだまだ、偶然におこった割合は、
  それぞれ、4割、3割もあって、
  必ずしも、母親か父親に問題はあるとは限らない

★流産が、2回、3回と続いた後、無事に出産できる確率は?

それでは、2回、或いは、3回続けて流産した場合、
次ぎの妊娠が流産しないで出産まで至る確率はどれくらいなのでしょうか。

2回流産が続いたケースでは、
約75%が流産しないで出産に至ります。

3回流産が続いたケースでも、
約55%は流産しないで出産に至るのです。

⇒ たとえ、流産を繰り返しても、
  次の妊娠で、流産せずに出産まで至る確率は50%以上

★最後に

流産は、もちろん、辛く、悲しい経験です。

また、特に、女性は、自分のせいで流産してしまったのではないかと、
自分を責めてしまうケースが少なくないようです。

ところが、ほとんどの流産は、偶然のもので、誰のせいでもありません。

それどころか、自然の淘汰の力が働いたもので、
考えようによっては、私たちを守ってくれている力によるものと、
いえなくもありません。

まずは、流産を正しく認識することが大切です。

次に、流産が、2度、3度と繰り返されるケースでは、
次も、また、流産してしまうのではないかという不安を、
抱いてしまいがちです。

ところが、この場合も偶然でおこった流産が少なくないのです。

そして、想像以上に次の妊娠で、無事、出産に至る確率も高いものです。

ただし、2回流産が続いた場合は、
やはり、何らかの問題が、両親のいずれかにある可能性もあります。

ですから、2回続いた時点で、
念のためということで、検査を受けることをお勧めします。

もしも、何らかの問題があったとしても、
それに対する治療を施しておけば、
次の妊娠で出産に至る確率はもっと高いものになるからです。

尚、習慣性流産の原因やその治療法は別の機会に特集することにします。

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ご意見、ご要望等は、下記のアドレスにお寄せ下さい。
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■編集後記 
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コラムで触れたように、
日本では、不妊治療を受ける病院を探し、選ぶ際に、
また、特に、高度な治療を受ける際に、
その見通しや治療の成績に関して参考になるような、
客観的なデータなり、情報は存在しません。

ところが、です。

大勢の方は、本当に、苦労しながらも、
いい病院を探して、治療を受けておられます。

なぜなら、やはりというか、結局は、
質の高い医療を提供されている施設や先生のところに、
患者さんが集中している現実も、一方ではあるからです。

ただ、そのご苦労には、頭が下がる思いです。

環境が、もっともっと、整備されることを願うばかりです。

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■ブログ「Happy aging のススメ」
http://d.hatena.ne.jp/nature-g/

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]   No.171
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・まぐまぐ: 4,953部
・合計部数: 5,963部(9月2日現在)
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【監 修】 西川 浩(医師・心斎橋中央クリニック院長)
荻田浩司(医師・医学博士)  
【WEB】 http://www.akanbou.com
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