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VOL.198 代替医療について考える

2007年03月18日

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           妊娠しやすいカラダづくり

  2007/3/18 No.198
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http://www.akanbou.com
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このメールマガジンは、不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、
二人で話し合い、考えるうえでの道筋を整理したり、
自分たちで答えを出すためのヒントになるような、
そんな不妊に関するさまざまな情報を、出来る限り客観的な視点で、
毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。

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》今週のコラム:代替医療について考える
》今週の更新情報
》今週のトピックス:体外受精における受精卵の移植数の制限について
》妊カラ実践セミナー
》編集後記

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            今週のコラム
               VOL.198            
           代替医療について考える
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不妊に悩むカップルの多くは代替医療を利用しているとの調査結果が、
オーストラリアとニュージーランドの専門誌の最新号で報告されています。

不妊専門病院に通院している夫婦の3分の2は、
何らかの代替医療を併せて利用していて、
そして、代替医療を併用している方々の約7割は、
主治医には、そのことを報告していないというのです。

おそらく、日本でも同じような状況にあるのではないでしょうか。

このことについて、
必ず、主治医に報告、相談して、
アドバイスを仰ぐべきであると結論づけています。

最近は、補完医療とか統合医療とも呼ばれたりしているようですが、
代替医療とは、いわゆる西洋医学以外の治療法のことで、
たとえば、鍼灸や漢方薬、指圧、整体、カイロプラクティック、
リフレクソロジーやホメオパシーやアロマセラピーのような伝統的な療法、
また、さまざまな民間療法や宗教的なヒーリングまで、
基本的に薬や手術などに頼らないありとあらゆる治療法のことです。

代替医療やサプリメントの利用については、
必ず、医師に相談して下さいということはよく言われることです。

確かに、代替医療の中には、怪しげなものもたくさあります。
反対に、鍼灸のように、その有効性を示す臨床報告も出てきたり、
ハーブについては、ドイツで、
リフレクソロジーについてはイギリスで、
その有効性を科学的な手法で検証し、健康保険医療に組み込まれていたり、
アメリカでは、日本の厚生労働省にあたる機関が、
補完代替医療センターを設立して、研究や啓蒙活動にあたっています。

また、日本でも代替医療に理解を示す医師が以前よりは増えてきてはいます。

ところが、とにかく医師に相談しなさいというアドバイスは、
どうも違和感を抱かざるを得ません。

なんて言うか、単にその場限りで、
責任逃れ的なアドバイスに聞こえてならないのです。

なぜなら、多くの相談に接していて感じるのは、
本当は、先生に相談すべきだとは思うし、相談したいのは山々なんだけど、
とっても言い出せない雰囲気を感じるという方がほとんどだからです。

それは、いつも忙しそうにしているということもあるかもしれませんが、
おそらく、代替医療を否定、あるいは、無視されそうに感じてしまう、
まだまだ、そんな先生がほとんどのようで、
自分の提供する医療以外は認めないと言えば言いすぎかもしれませんが、
とにかく、科学的なエビデンス(証拠)がないものは、
信用できないということのようです。

決して、主治医を信頼していないわけではなく、
単純に、あとあと後悔するのは嫌なので、
良いとされているものであれば試してみたいという思いです。

要するに、西洋医学であろうが、代替医療であろうが、
エビデンスがあろうがなかろうが、
自分に結果が出さえしてくれればいいわけで、
或いは、たとえ、結果が伴わなくても、
この、"現在進行形の不安"を少しでも緩和させてくれるものであれば、
それはそれで、その人には取り組んでみる価値はあると思うのです。

ヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)の子宮内膜症の診断治療ガイドラインでは、
ガイドライン作成グループは以下のような見解を示しています。
http://guidelines.endometriosis.org/coping.html

「ホメオパシーやリフレクソロジー、漢方薬やハーブによって、
 子宮内膜症の痛みが緩和されたいう女性は多数います。
 確かに、それらの療法が子宮内膜症の治療に有効であるとする、
 そんな無作為対照試験によるエビデンスは存在しませんが、
 もしも、それらの療法によって痛みが緩和され、
 日常の生活や仕事に従事するうえで、自分に有益であると感じるならば、
 決して、否定されるべきではありません。」

私たちは、不妊や不妊による悩みを克服するためには、
医学における洋の東西や方法の新旧、スタイル、思想にとらわれることなく、
その夫婦の体の状態や価値観に照らして、
何が必要で、何が不要なのかという観点のみで、
全くのフリーハンドで方法を取捨選択すべきだと考えています。

先に紹介したESHREのガイドライン作成グループのような、
患者の立場に立った見解をもたれる不妊治療医もたくさんおられますし、
反対に、西洋医学を親の仇のごとく、
否定される代替医療に従事する先生も少なくありません。

また、広告や宣伝は、売り込みが目的ですから、
ほんの一面を誇大に表現されてしまいがちなものです。

大切なことは、自分で情報を収集して、勉強すること、
そして、自分の責任のもとに、方法や専門家を取捨選択することです。

そんな"見る眼"を養うことこそが、
怪しげな療法や広告の誇大さや嘘を見抜いたり、
自分たちにあった専門家と出会うためだけでなく、
混沌とした世の中をサバイバルするために最も大切なことだと思います。

それと、ですね。

何が相応しいのかを探し、選択する"外を見る眼"だけでなく、
自分たちは、何が問題なのか、そして、自分たちはどうしたいのかを知る、
そんな"内を見る眼"を養うことが、
実は、一番大切なことかもしれませんと、最近、思ってもいます。

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             今週の更新情報
            http://www.akanbou.com
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2007年3月17日 最新ニュース
受精卵移植数を年齢に応じて制限(日本生殖医学会)
http://www.akanbou.com/news/news.2007031701.html
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2007年3月15日 最新ニュース
フランス海岸松樹皮エキスは子宮内膜症の痛みを軽減する
http://www.akanbou.com/news/news.2007031501.html
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2007年3月14日 Q&A
排卵誘発剤の将来的な副作用が心配です
http://www.akanbou.com/qa/qa.2007031401.html
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上記の記事についてのご質問等は、下記のアドレス宛お寄せ下さい。
news-master@akanbou.com

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             今週のトピックス
          〜生殖医療関連ニュース解説〜
       体外受精における受精卵の移植数の制限について
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最新ニュースでご紹介していますが、
http://www.akanbou.com/news/news.2007031701.html
日本生殖医学会は、体外受精時の受精卵の移植数を、
患者の年齢や治療歴に応じて、1〜3個に制限する方針を決定しました。

■受精卵の移植数とは?

体外受精時に、子宮内に移植する受精卵の数のことです。

体外受精は、正確には、体外受精−胚移植(IVF−ET)のことで、
女性の卵巣から卵子を採りだして、
体の外で精子を一緒にして、受精(IVF)させ、培養し、胚に育てた後、
子宮内に移植(ET)して、着床、妊娠を期待する治療法です。

■なぜ移植する受精卵の数を制限する必要があるのでしょうか?

多胎妊娠を予防するためです。

これまでも日本産科婦人科学会では、
多胎妊娠の予防にために、
移植する胚の数は3個までに制限されてはいました。

ところが、それでも、体外受精では、
自然妊娠の10倍以上の割合で多胎妊娠になっていました。

本当は、移植する胚の数を1つに制限すれば、
多胎妊娠の割合は限りなく、
自然妊娠のそれに近づくはずなのですが、
治療の目的は妊娠することですから、
多胎妊娠が減っても、
同時に妊娠率が下がってしまっては本末転倒なわけです。

妊娠率を高めるためには移植する胚が多ければ多いほど良いのですが、
そうすれば、体外受精の最大のリスクである多胎妊娠率が高くなるという、
体外受精という治療法のジレンマなのです。

■ところで、そもそも多胎妊娠はそれほどのリスクが大きいのでしょうか?

はい。

なかなか妊娠しづらかったわけですから、
授かることが出来るのであれば、双子でも嬉しいし、
もっと言うと、双子の方が嬉しいという気持ちも人情ではあります。

ところが、多胎妊娠は、
妊娠合併症や未熟児や早産になるリスクが高くなります。

要するに、母子ともに健康リスクが大きくなるのです。

ですから、妊娠しさえすれば、
多胎妊娠でもいたし方ないという考え方は、
決して、患者本位の質の高い生殖医療とは言えないわけです。

■それでは、今回の制限は妊娠率の低下につながらないのですか?

受精卵を5日目の胚(胚盤胞)まで育てれば、
単一胚移植でも、妊娠率は下がらないと言われています。

多胎妊娠を防止するために、
要するに、質の高い生殖医療を実現するために、
胚盤胞による単一胚移植は、世界的なトレンドになっています。

1個の胚移植でも妊娠率が下がらないようにするためには、
出来るだけ生命力の強い胚を移植することが最大のポイントです。

生命力の強い胚かどうか、
要するに、質のよい胚かどうかを見分けるのは、
胚の形態をチェックするのですが、
そのような"見た目"だけでは、実際のところ、不十分でした。

ところが、培養技術が高くなってきたこともあって、
5日目の胚盤胞まで、順調に分割して成長するに至った胚が、
すなわち、生命力の高い胚であると考え、
また、本来であれば、
着床する直前の5日目まで体外で培養して移植するのが、
タイミング的にも理想的であるとして、
5日目の胚を移植して高い着床率を得ようとする、
胚盤胞移植法が開発されたのです。

ただ、この単一胚移植が全てのケースで最善の方法ではありません。

母親になる女性の年齢が高いとか、
過去の体外受精で妊娠できなかったというケースでは、
これまで通り、2個、あるいは、3個までの制限としています。

★最後に

現在、体外受精における最大の問題点は多胎妊娠の増加ですが、
単一胚移植が広まることによって、
大きく解消されるであろうことは間違いありません。

それは喜ばしことではありますが、手放しでは喜べません。

多胎妊娠の予防という観点から言いますと、
たとえ、タイミング法や人工授精の際にも、
妊娠率を高めるために、排卵誘発剤によって、
複数の卵を排卵させることも極力避ける必要があります。

また、私たちの予測ですが、
今後、35歳以下で初めての体外受精において、
単一胚移植が一般化してくると、
よりクリニック間の治療成績の格差が広がる可能性があります。

なぜなら、受精卵をより長く培養するためには、
それ相応の培養技術が要求されるようになるからです。

妊娠率を下げずに、多胎妊娠の予防を実現するためには、
一重に、質の高い受精卵を得ることに尽きます。

そのためには、高い培養技術や胚の選別のノウハウが必須です。

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編 集 後 記
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あいかわらず、毎週土曜日に、
妊娠しやすいカラダづくりのための気功を開催しています。
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やっと、授かったと聞いては一緒に喜び、
でも、最近は、流産して、再度、復帰という方もちらほらと、
仕方ないこととはいえ、一喜一憂しています。

ところで、気功は、まさに、伝統療法になりますね。

今回の「代替医療について考える」は、
1年半、毎週やってきて、感じたことでもあります。

代替医療については、現実の問題として、
不妊のことをよくわかっていて、
経験の豊かな信頼のできる先生が、まだまだ、少ないということです。

鍼灸の先生でも、リフレクソロジーの先生でも、アロマの先生でも、
私が知っていて、頼りにしている先生は、
皆さん、不妊のことをよく勉強されているのですが、
驚くほど、患者さんとの関係が深いというか、
治療のことも含めて、
よいナビゲーターの役目も果たされているように思います。

決して、妊娠にフォーカスしていないのです。

なんていうか、健全な母親、健全な女性、健全な人間観を皆さんお持ちです。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] No.198
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◎発行部数
・自社配信: 1,002部
・まぐまぐ: 5,216部
・合計部数: 6,218部(3月18日現在)
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http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000116311
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[妊娠しやすいカラダづくりプロジェクト]
【編集長】 細川忠宏(不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
【監 修】 西川 浩(医師・心斎橋中央クリニック院長)
荻田浩司(医師・医学博士)  
【WEB】 http://www.akanbou.com
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