排卵誘発剤の使用と子宮ガン発症リスクとの関連

不妊治療のリスク

2009年12月03日

American Journal of Epidemiology

不妊治療で排卵誘発剤を使うことで、その後の子宮ガンの発症リスクが高まることは、概ね、ないと言えますが、使用する排卵誘発剤の種類や量、期間によっては、子宮ガンの発症率が少し高くなることが、デンマークの大規模な調査で明らかになりました。

デンマークガン協会の研究チームは、1965年から1998年のデンマークの不妊クリニックに通院する不妊症と診断された、54362名の女性を対象に排卵誘発剤の使用とその後の子宮ガンの発症について、長期(平均16年)に渡る調査を実施しました。

その結果、2006年迄に83名が子宮ガンと診断されましたが、排卵誘発剤の使用との関連性はみられませんでした。

ただし、ゴナドトロピン製剤を10年以上使用したり、クロミフェン、hcgを6周期以上した後、子宮ガンの発症率が高くなることが分かりました。

コメント

排卵誘発剤と婦人科系のガンの発症リスクの関連性については、これまでもいくつかの大規模な追跡調査を実施しています。

それらの結果は、概ね、心配する必要はないというものです。

お薬を使用することは、症状が改善されるというメリットとともに、副作用というデメリットも合わせて得るということです。

それでも、あえて、メリットを得たいと判断される場合に使うわけです。

ただし、ガンの発症は、複数の要因が複合的に影響するものです。排卵誘発剤の使用だけでは決してありません。

ですから、不必要なお薬は使わないことに越したことはないとうこと、また、使用する量が少なくて済むような努力や工夫をすることは大切なことでしょう。