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VOL.913 妊娠前の男性の健康状態と流産リスクとの関係

2020年12月20日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.913                       2020/12/20
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:妊娠前の男性の健康状態と流産リスクとの関係
・お知らせ
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

 サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2020年12月19日 曇り時々雨、のち晴れますように
不妊治療助成金から生殖補助医療法まで
https://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20201219.html
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2020年12月16日 最新ニュース
脂肪酸摂取と子宮筋腫リスクの関係
https://www.akanbou.com/news/news.2020121601.html
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最新ニュース解説 Dec.2020__________________________________________

 妊娠前の男性の健康状態と流産リスクとの関係
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パートナーの女性の妊娠前の男性の健康状態が、流産リスクの上昇に関連することがアメリカで実施された研究で明らかになりました(1)。

妊娠前の父親になる男性の肥満や糖尿病、高血圧、脂質異常は、パートナーの女性の流産のリスクの上昇と関連するというのです。

驚きました。

母親になる女性の健康状態が流産リスクに関連するというのは、直感的に理解できます。

胎児は母体から酸素や栄養を取り込んでいますからね。

ところが、父親になる男性の健康状態、それも、パートナーの女性が妊娠する前の健康状態が流産のリスクに関連するというのですから。

◎どんな研究だったのか?
スタンフォード大学の研究チームは、事業主提供の健康保険の加入者の外来や入院患者の受診医療費請求データセットから2009年から2016年の958,804例の妊娠を対象に、妊娠前の父親の健康状態と流産リスクとの関係を調査しました。

◎どんな結果だったのか?
全体の22%にあたる172,995例が調査期間中に子宮外妊娠や流産、死産に終わっていました。

そして、妊娠前に父親になる男性が、肥満や糖尿病、高血圧、脂質異常のメタボリックシンドロームのどれか1つを患っていたパートナーの女性は、どれも患っていなかったパートナーの女性に比べて流産のリスクが10%高く、どれか2つでは15%、どれか3つかそれ以上になると19%上昇しました。

このように妊娠前の男性の生活習慣病が流産リスク上昇に関連することがわかりました。

◎精子DNAを介して影響するのかもしれない
前述の通り、妊娠前の男性の健康状態が流産リスクと関連することは、にわかに信じがたいことですが、今回の研究結果は、あくまで、関連があったということが示されたに過ぎません。

この研究だけでは、関連性のメカニズムまではかかりませんし、ましてや、妊娠前の男性の生活習慣病が流産を引き起こすことがわかったわけでもありません。

ただ、男性の「不健康」が、精子のDNAに痕跡を残し、その痕跡は、そのまま受精卵、胚に引き継がれ、胎盤の形成に影響し、妊娠の維持にマイナスの影響を及ぼしたのではないかとの推測が成り立つとしています。

◎卵子と精子から受精卵や胚が形成される
いずれにしても、胎児は母親になる女性の子宮内で成育するわけですから、女性の健康状態が胎児の発育にダイレクトに影響を及ぼすことは間違いありません。

ただし、その元となる受精卵や胚は、卵子由来DNAと精子由来DNA、半々から成り立っています。

そのため、それぞれのDNA、厳密に言えば、遺伝子そのものもさることながら、女性と男性の遺伝子発現機構が引き継がれ、胎児の健康状態に密接に関与するわけです。

◎妊娠前からふたりでカラダを整える
流産の原因のほとんどは胎児側の染色体異常によるもので、そのリスクは母親の年齢が高くなるに従って、高くなることが知られています。

このことは、女性の年齢が高くなるに従って妊娠率が低下することと本質的には同じメカニズムによるものです。

そして、自分たちにはコントロールできないものです。

ただし、カップルの健康状態は、年齢の影響を大きくしたり、反対に小さくしたりすることも多くの研究でわかってきました。

大切なことは、女性の健康状態だけでなく、カップルの健康状態が影響するということです。

このことを妊活カップルは知っておいたほうがよいと思います。

文献
1)Hum Reprod 2020 Advance Article doi:10.1093/humrep/deaa332

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お知らせ____________________________________________________________

日本生殖医学会学術講演会/市民公開講座
「働く女性の不妊治療 ― withコロナと保険導入の時代を見据えて ― 」

今年の日本生殖医学会はコロナ禍でウェブ開催となり、現在、オンデマンド配信がなされています。そこで一般向けに市民公開講座も配信されていて、誰でも無料で視聴可能です。テーマは「働く女性の不妊治療 withコロナと保険導入の時代を見据えて」で、タイムリーで興味深い内容です。

名称:第65 回日本生殖医学会学術講演会・総会 市民公開講座
演題:「働く女性の不妊治療 ― withコロナと保険導入の時代を見据えて ― 」
日程:2020 年12 月3 日(木)~23 日(水)
形式:オンデマンド配信(事前登録不要・参加費無料)

以下からご覧になれます。
http://www.congre.co.jp/jsrm65/shimin/


当社製品&サービス________________________________________________

・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
 https://babyandme.jp/

・翻訳書:妊娠しやすい食生活
 http://www.akanbou.com/shoku/

・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
 http://www.akanbou.com/bookguide/


編集後記____________________________________________________________

老化現象は避けられませんが、その程度は、日々の積み重ねの「結果」ですね。


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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]             VOL.913
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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◎発行部数
・自社配信: 1,494部
・まぐまぐ: 2,452部
・合計部数: 3,946部(12月20日現在)
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