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VOL.470 不育症をどう受け止め、どうすればいいのか?

2012年06月17日

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 妊娠しやすいカラダづくり 第470号  2012年6月17日発行

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 お子さんを望まれるカップルを応援します。

 なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、悩みを克服する
 ために、"二人で話し合い、考えを整理"して、"自分たちにふさわし
 い答えを出す"上でのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な
 視点で、毎週末、配信しています。


━[今週のテーマ]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼今月の特集
流産を繰り返してしまうことをどう受け止め、どうすればいいのか?

▼ヤングのコーナー
これからの季節こそ、「冷え」を見直そう!

▼編集後記


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 今 月 の 特 集
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 流産を繰り返してしまうことをどう受け止め、どうすればいいのか?
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望んでいるにもかかわらず一定期間以上妊娠しない状態を「不妊症」と言い
ますが、妊娠はするけれども流産を繰り返すことを「不育症」と呼んでいま
す。

ただ、反復流産や習慣流産と呼ばれることがあったり、専門医が少なかった
り、その上、医療機関によっては検査の内容や治療方針なども異なったりす
ることがあります。

そのため、流産による精神的な痛手だけでなく、「これからどうすればいい
のか?」ということについての戸惑いも大きいと思います。

これまで、私たちは流産や不育症について特集してきました。

◎流産について正しく理解する(2007/10/1)
http://akanbou.com/topics/topics/002.html
◎不育症を正しく知り、理解する(2010/12/17)
http://akanbou.com/topics/topics/034.html

その後、不育症の専門医による厚生労働省の不育症研究班から患者向けの新
たな情報も発信されていますので、妊カラでも情報をアップデートすること
にしました。


【不育症とは?】

= 不育症とは?

妊娠がするけれども、流産や死産を繰り返して子どもをもてないことを「不
育症」と呼んでいます。一方で、流産を2回繰り返すことを「反復流産」、
3回以上繰り返すことを「習慣流産」と呼ばれていますが、不育症は、反復
流産や習慣流産、さらには、妊娠22週以降の死産や生後1週間以内の新生
児死亡をも含み、最も広くカバーしています。

= 不育症はよくあること?

まず、流産は妊娠全体の10〜20%くらいの割合でおこります。そして、
妊娠したことのある女性の約40%は流産の経験があります。ただし、女性
の年齢が高くなればなるほど、流産率は上昇します。35〜39歳では25
%、40歳以上になると51%との報告があります。

不育症の頻度については、日本の疫学調査では、2回以上の流産の経験のあ
る女性は4%、3回以上は0.9%と、流産も不育症も決して珍しいことで
はありません。

= 化学流産は?

子宮内の胎嚢(赤ちゃんの袋)が見える前に妊娠検査薬で陽性反応が出たの
だけれども月経がきてしまったという、いわゆる「化学流産」は何の異常も
ないカップルでも30〜40%の確率でおこっているとされています。この
ようなケースは通常は自覚されないものであり、胎嚢が確認された後に妊娠
が継続しなくなることを流産とされていますから、化学流産が2回以上続い
たとしても不育症とはみなされません。


【不育症でも妊娠、出産できるの?】

最も気にかかるのは、流産を繰り返した後でも、妊娠、出産できるのかどう
かだと思いますが、知っておいて欲しいことは、不育症と診断された場合で
も、80%以上のカップルが、その後、妊娠、出産に至っているという事実
です。これまで日本で行われた調査研究で明らかになっています。

もしも、不育症検査で異常がなければ特別な治療を受けなくても、そして、
異常がみつかればそれに対する適切な治療を受ければ、ほとんどのケースで、
その後、妊娠、出産できるということです。


【不育症の原因は?】

= 多くのケースは「たまたま」

初期流産のほとんど(約80%)は、胎児(受精卵)の染色体異常が原因と
されています。このことは、両親側に何の問題もなくてもある割合で起こり
得ることで、異常なことでも、病気でもありません。言ってみれば「たまた
ま」起こってしまったことで、防ぎようもありません。

= 2回、3回と続くのは?

1回の流産では、ほとんどがたまたま起こったしても、2回、3回と続いて
も、やはり、「たまたま」起こってしまったというケースは少なくなく、2
回続けて流産した場合でも64%、3回でも51%が、何の異常もないのに
起こってしまうと言われています。

ただし、そうは言うものの、2回、3回と流産が続いた場合、両親の側にな
んらかの流産になりやすい原因がある確率は高くなるわけです。

= 不育症の原因は?

女性側では、胎盤の血流障害が約10%、子宮形態異常(子宮奇形)が約8
%、甲状腺の異常が約7%、糖尿病などの内分泌異常が約5%、両親のどち
らかの染色体異常が約5%、そして、本当の原因不明が20%弱と言われて
います。

= 不育症の原因についてどう理解すればいい?

不育症には100%不育症になるという絶対的な原因はありません。たとえ
ば、女性の無排卵や両側卵管閉塞、男性で言えば無精子症は不妊症の絶対的
な原因になりますが、不育症ではそのような原因は存在しないというわけで
す。つまり、不育症の原因は全て流産を引き起こしやすくするという相対的
なもので、その要素は、絶対的原因ではなく、リスク因子になるのです。

ですから、たとえ、治療のしようがない両親の染色体異常でさえ出産に至る
可能性は十分にあり、思っている以上に高い確率で出産できるのです。不育
症と診断されても「あきらめない」ことが大切だと言われるゆえんです。


【不育症の検査】

= 検査のタイミングは?

1回の流産、あるいは、化学流産が続いても、何らかの異常を心配する必要
もありませんし、検査を受ける必要もありません。

もしも、流産(胎嚢が確認された後に妊娠が継続できない)が2回続いた場
合は、両親のどちらかに流産のリスクを高める原因がある場合があるので、
不育症の検査を受けることが勧められています。

ただし、前述の通り、流産が2回続いたとしても胎児側の染色体異常と考え
られるケースが60%以上もあるわけですから、流産が続いたからと言って、
必ずしも検査を受けなければならないというわけではありません。女性の年
齢や健康状態などを総合的に判断するのがよいと思います。

= 不育症の検査はどんなもの?

基本的な検査には、カップルの染色体異常を調べる血液検査、甲状腺機能や
糖尿病を調べるホルモン検査、子宮の形態を調べる超音波検査や子宮卵管造
影検査、胎盤の血流障害を調べる抗リン脂質抗体検査などがあります。


【不育症の治療】

= 治療方針は?

もしも、不育症の検査で異常がなければ、特別な治療なしで、自信をもって
次の妊娠にチャレンジします。

異常がみつかった場合は、それぞれに適切な治療を受けることになります。
ただし、子宮形態異常(子宮奇形)の場合は、奇形の種類と程度によっては、
必ずしも、治療(手術)が有効であるとは限りません。また、カップルの側
に染色体異常があった場合は治療のしようがありません。その場合は専門医
から正確な説明やカウンセリングを受けることが大切です。

一方、胎盤の血流障害については、薬物療法が有効で、適切な治療を受ける
ことで高い確率で出産に至っています。

= 流産回数別次回妊娠成功率

流産を2回繰り返した場合、次の妊娠で出産まで至る確率は72%、染色体
異常を除いた成功率は80%です。同様に、3回の場合、それぞれ、73%、
80%、4回で61%、65%、5回で53%、59%です。

ただし、6回以上になると顕著に低下してしまい、ぞれぞれ、23%、29
%、7回では46%、55%、8回で33%、33%です。


【テンダー・ラビング・ケア】

= カウンセリングは最も有効な治療法

これまでの内外の不育症に関する文献で、最も印象的で、驚くべきことは、
「テンダー・ラビング・ケア」、すなわち、優しく、愛情をもって、接し、
いたわることが、最も有効な治療法だということです。

実際に厚生労働省の不育症研究班による治療成績をみても、リスク因子があ
ろうとなかろうと、カウンセリングを受けることで出産に至る確率が高くな
ることは一目瞭然です。

また、ストレスは流産のリスクを高くすることも、これまで動物実験などで
確かめられています。

流産を繰り返すことによる精神的なダメージは大きく、不育症という状態は
とても複雑で理解しにくく、そして、不妊症と同様、先の見通しが見えにく
いわけで、最初のボタンを掛け違えば、マイナスのスパイラルに陥ってしま
いかねません。

ところが、現実には不育症と診断されても、80%以上は、その後、出産に
至っているのです。

不育症を正しく理解し、適切な精神的なケアや心理カウンセリングを受ける
ことはとても大切だということでしょう。

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= もっと知りたい方へ
 
厚生労働省不育症研究班によるサイトです。今回の特集は全てこのサイトを
参考に作成しました。不育症研究機関のリンクもあり、どこに相談すればい
いのかが分からない方の参考になります。

◎フイクラボ
〜不育症治療に関する再評価と新たなる治療法の開発に関する研究
http://fuiku.jp/index.html
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特集についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


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 ヤングのコーナー 〜 これからの季節こそ、「冷え」を見直そう!
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こんにちは、この梅雨が終わるといよいよ夏到来!!でも、どうしよう、、、
汗かきで悩むヤングです。

暑くなると、ついつい冷たい飲み物やアイスが欲しくなりますよね。冷房も
夏を快適に過ごしやすくしてくれる、これから欠かせないものですよね。

しかし、ちょっと待って、この時期だからこそ、改めて「体の冷え」が及ぼ
す影響や「血流の大切さ」について見直してみませんか?

ヤングは、最近、「冷えとり健康法」で著名な進藤義晴先生の著書をまた読
み、改めて、体の冷えが及ぼす影響や女性の健康にとって、やはり「冷え」
は天敵という事を認識した次第です。

これから本格的な夏に向けて体を「冷やす」行為が増えてくる時期だからこ
そ、体を冷やさない過ごし方を工夫・実践し、いつコウノトリがきても受入
体制はバッチリ!!!としたいところです。

改めて、「冷え」って体にどんな影響を与えるのでしょうか?

進藤先生によると、「冷え」があると血管が痙攣して縮み、そのことで血液
の流れが悪くなり、酸素やその他の栄養が末端に届かないということになる
とのこと。

そうすると、末端の細胞が活動してできた二酸化炭素やいろいろな疲労物質
が出て行かないことになり、その結果、血行が不良になり、老廃物や疲労物
質が体の外に出て行かないという状況になるというわけです。

また、「冷え」により血液の巡りが悪くなると古血(ふるち)があちこちに
溜まった状態になるというのです。

新鮮な温かい血液が送られてこないので、その部分は温度が下がらざるを得
なくないので、さらに冷えてしまうという悪循環に陥ってしまいますね。

特に、女性はおへそから下に手を当てると冷たい人が多いそうです。

女性の下腹部にはご存じの通り子宮や卵巣があり、男性の下腹部より臓器が
多く構造も複雑です。そのため古血が溜まりやすくなる宿命にあるようです。

さらに、「冷え」の為に古血が溜まると性器の働きが悪くなり、また古血が
できるというのです。

さらに、冷え症は、「冷え」で古血が溜まった状態ですから、肩がこる、頭
が痛い、腰が痛いなどさまざまな体調の崩れが現れてきます。

妊娠しやすいカラダづくりには、「冷え」は天敵としかいいようがない!!

妊カラでも「冷え」や「血液循環」についての記事があるので、この機会に
「冷え」を見直して、この夏は冷やさないカラダづくりを一緒に目指しませ
んか?

私も休戦中だった「冷え取り大作戦」をまた再開する事を決意しました!次
号では、「冷え取り大作戦」の具体策を紹介したいと思います!

■「冷え」、「血流」に関する記事をPickUp!

・血液の循環をよくして妊娠しやすいカラダをつくる
http://www.akanbou.com/topics/topics/040.html

・冷えないカラダのつくりかた
http://www.akanbou.com/topics/topics/009.html

・冷え性を改善して自然妊娠
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2005122201.html

・通院をやめて冷え性対策に専念して自然妊娠できました
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2005111501.html

・気功で生理痛や冷えが改善され、3度目の人工授精で
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2008012101.html

<参考文献>
◎「病気にならない「冷えとり」健康法〜温めれば内臓から元気になる」
  進藤義晴著

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young@akanbou.com


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 株式会社パートナーズ運営サイト
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私たちはお子さんを望まれるカップルを応援しています。

▼不妊に悩む夫婦の自己決定を支援する情報サイト
→「妊娠しやすいカラダづくり」
http://www.akanbou.com/

▼妊カラ・男性不妊編
→「男性不妊 〜 ふたりで知っておきたいオトコのこと」
http://www.akanbou.com/dansei-funin/index.html

▼医師がサポートするサプリメントセレクトショップ
→「ネイチャーズギフト」
http://www.nature-g.com/

▼ドコモ、au、ソフトバンク公式携帯サイト
→「おしえて!不妊ナビ」
http://funinavi.edia.ne.jp/index.html

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でもない研究報告やトピックなども紹介しています。よければフォローくだ
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 編 集 後 記
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いろいろな抽選やら、プレゼントやらに、やたらに当たる人っていると思い
ますし、実際に周りにもいます。たいていは、「強運の人」とか、「もって
いる人」と思われのですが、確かに理屈ではない、なにか、ということもあ
るのでしょうけど、そんな人たちに共通していることがあります。

マメに、しつこく、応募していることです。まるで、応募すること、そのも
のが楽しみであるかのごとくに、です。

論理的に考えれば、どんなくじでも当たる確率は人によって変わることはな
いはずで、たくさん当たっている人は、やはり、たくさん、くじを引いてい
るということになります。たくさん、打席に入っているということですね。

妊娠すること、出産することも、ある意味では「確率論」です。

そういう意味で言えば、たくさんチャレンジすること、チャレンジし続ける
ことが、ベースとして大切なことなのかもしれませんね。

もっと言えば、たくさんチャレンジし、それを続けるための環境のほうが大
切なのかもしれません。

なぜって、頑張ったけどうまくいかなかったことより、頑張りたいけど頑張
れない、頑張り方がわからないことのほうが辛いように思うからです。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.470
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com
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◎配信部数:5,202部(6月17日現在)
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