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VOL.321 ヨーロッパ生殖医学会から(その2)

2009年07月26日

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 妊娠しやすいカラダづくり VOL.321 2009年7月26日配信
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                      http://www.akanbou.com
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じぶんたちにあったこたえをだすために・・・

なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
悩みを克服するために、"二人で話し合い、考えを整理"して、
"自分たちにふさわしい答えを出す"ためのヒントになるような情報を、
出来る限り客観的な視点で、毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。

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▼今週の更新情報一覧
7月20日から7月25日までのサイト版「妊娠しやすいカラダづくり」

▼今週の特集
第25回ヨーロッパ生殖医学から(その2)

▼妊カラ運営会社からのお知らせ

▼編集後記

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           今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2009年7月22日 編集長コラム
お子さんを望まれる男性の皆さんへ
http://www.akanbou.com/column/main.html
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上記の記事についてのご質問等は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
news-master@akanbou.com

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             今 週 の 特 集

       第25回ヨーロッパ生殖医学会から(その2)
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6月28日から7月1日までオランダのアムステルダムで、
第25回ヨーロッパ生殖医学会の年次総会が開催されました。

学術集会では、
さまざまなテーマで、
最新の研究成果の発表がなされましたが、
318号に引き続き、
読者の皆さんのお役に立ちそうな報告をピックアップして、
ご紹介したいと思います。

今回の学術集会では、
患者と医療従事者とのコラボレーションによって、
不妊治療の質を向上させることに貢献している事例として、
Fineの代表である松本亜樹子さんがゲストスピーカーとして招待され、
日頃の活動を発表報告されました。
http://j-fine.jp/prs/eshre0906.html

松本さんたち、Fineの活動は、
世界的にも注目されているということですね。

さて、前回のライフスタイル編に続いて、今回は不妊治療編です。

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これからの見通しを立てるのに参考になる研究報告
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思い切って不妊治療を受けてみても、
すぐに授かるとは限りません。

不妊治療を受けていて最も気になることの一つは、
『これからどうなるんだろうか・・・』、
つまり、"いつ頃、どんな方法で授かることができるのか"、
ということでしょう。

大切なことは、見通しを持つことです。

治療のスタートからゴールまでの全体の流れの中で、
自分たちは、今、どのあたりにいるのかを、
おぼろげながらでも、常に、意識しておくことです。

その場合、知人や友人などの個々のケースと自分を比較することは、
さほど意味がありません。

出来るだけ大きな母集団でみることが大切です。

そのために参考にしてもらえるような2つの報告をご紹介します。

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不妊治療クリニックで通院を始めた946組の患者のその後
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2001年から2003年の3年間に、
オランダの大学病院で通院をはじめた946人組の患者さんのその後です。

追跡不能が53組で、
893組のうち165組が、
ドロップアウト(治療を途中で中止)しています。

また、946組のうち229組は、
何らかの事情で通院をしなくなった等の理由で、
妊娠、妊娠していないにかかわらず診断が確定できませんでした。

★不妊原因の割合は?

診断が確定した717組の不妊原因の内訳とその割合は以下の通りです。

・男性不妊  240組(33%)
・排卵障害  162組(23%)
・卵管因子   65組(9%)
・肥満※1   65組(9%)
・頸管因子   48組(7%)
・肥満※2   14組(2%)
・子宮内膜症  11組(1%)
・性交障害    9組(1%)
・子宮因子    6組(1%)
・原因不明   97組(14%)

※1)女性が肥満。
※2)肥満のうちダイエット後その他の原因がみつかったケース

単一の不妊原因は男性不妊が最も多く、
排卵障害と卵管因子をあわせて、
全体の7割近くを占めます。

★自然妊娠できた患者さんの割合は?

893組のうち299組(33%)が自然妊娠しています。

そして、不妊原因別に自然妊娠した患者さんの割合が高かったベスト3は、
以下の通りです。

・肥満   26組(40%)
・原因不明 31組(32%)
・排卵障害 32組(20%)

★治療法別の妊娠率(妊娠した患者の割合)は?

治療法別の妊娠した患者さんの割合が高かったベスト3は、
以下の通りです。

・タイミング法 263組(59%)
・体外受精   101組(59%)
・AID      7組(59%)

■The fate of 946 consecutive patients visiting a fertility clinic:
diagnoses, treatments, drop-outs, live birth rates
J.A.Land at el

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妊娠しづらいカップルにとって体外受精はどれくらい役に立つのか
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最近は、体外受精が不妊治療の主役であるかのような印象を受けますが、
生殖医療技術が進歩したからといて、
決して、すべての不妊カップルに必要であるとは限りません。

2つ目の報告もオランダの追跡調査の結果です。

2002年1月から2007年1月の間に、
かかりつけ医に妊娠しづらい(subfertility)と診断された、
1391名のカップルの2008年12月時点です。

72%の1001組のカップルが妊娠しています。

★どんな方法で妊娠に至ったのか?

・自然妊娠(自然周期) 45.6%
・自然妊娠(過排卵)  19.2%
・人工授精       14.0%
・体外受精       21.2%

全体の65%は自然妊娠です。

★体外受精の貢献度は?

体外受精を受けた患者の60%が妊娠に至っていますが、
不妊原因別に体外受精で妊娠に至った割合をみてみると、

卵管因子や子宮内膜症、男性不妊では、
それぞれ、45%、45%、37%でした。

一方、原因不明や排卵障害では、13%、4.5%と、
体外受精の貢献度はそれほどでもありません。

■The relative contribution of in vitro fertilization to the
cumulative ongoing pregnancy rate in subfertile coiples
J.A.m.Kremaer at el

▼関連するコンテンツ

・不妊治療でどこまで妊娠できるのか?
http://archive.mag2.com/0000116311/20070610023438000.html
・人工授精は何回まで続けるべきか?
http://www.akanbou.com/topics/topics/010.html
・人工授精を見直す
http://www.akanbou.com/topics/topics/017.html
・体外受精を受けて我が子を抱ける可能性はどれくらいなのか
http://www.akanbou.com/topics/topics/014.html

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治療方針を検討するのに参考になる研究報告
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自分たちに必要な治療にはどんな選択肢があって、
そのうちで、自分たちに相応しい方法を選択するのは、
言うほど簡単なことではありません。

客観情報を得ることが大切です。

さて、治療方針を検討する際に、
それまでの検査で不妊の原因がみつからない、
すなわち、原因不明不妊の場合には、
どんな治療をどれだけ続けるのかについて悩むところだと思います。

具体的にはどの時点で体外受精にステップアップするのかということです。

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IVF(1個胚移植)の治療効果は過排卵を伴うAIHの3周期分に相当
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原因不明不妊、軽度の男性不妊の117組のカップルを、
1周期の単一胚移植による体外受精を受けるグループ(59組)と、
3周期の過排卵を伴う人工授精を受けるグループ(58組)に分けて、
4ヵ月の範囲で治療成績を比較、分析しました。

その結果、体外受精を受けた59組のうち13組(22%)が妊娠し、
人工授精を受けた58組では12組(21%)が妊娠しました。

このことから、原因不明不妊や軽度の男性不妊のカップルにとって、
体外受精を1周期受けることの治療効果は、
人工授精3周期受けることに相当するとしています。

ただし、過排卵を伴う人工授精の場合は、
単一胚移植による体外受精に比べて多胎妊娠のリスクが増加することは、
考慮に入れる必要があることを付け加えています。

体外受精1周期と人工授精3周期では、
採卵に伴う身体の負担や経済的な負担は体外受精が大きいものの、
人工授精でも過排卵を伴う場合には、
排卵誘発剤を使うことの身体への負担や多胎妊娠のリスクが伴います。

このようにそれぞれのプラス面とマイナス面が客観的に評価できます。

■IVF with elective single embryo transfer versus IUI-COH in couples
with unexplained subfertility and a poor prognosis:
a multicentre RCT
B.W.Mol at el

▼関連するコンテンツ
・原因不明不妊ではクロミフェンや人工授精の有効性は認められない
http://www.akanbou.com/news/news.2008081101.html
・原因不明不妊の治療方針について
http://www.akanbou.com/news/news.2006071401.html

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             妊カラニュース

              2009/7/25
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梅雨明け宣言されたにもかかわらず、
梅雨に逆戻りしたような不安定な天気が続いています。

皆さん、体調を崩さないようにご注意ください。

さて、私たちの活動報告です。

★オールアバウト不妊治療ガイド池上氏を招いての勉強会を開催しました。
http://www.akanbou.com/fertilelesson/seminar.html

7月25日の土曜日、ファーティリティレッスンの7月のセミナーとして、
オールアバウト不妊治療ガイドで、不妊治療ジャーナリストである、
池上文尋さんを講師を囲んで、
「不妊治療病院の選び方、失敗しない不妊治療の受け方」をテーマに、
勉強会を東京、赤坂のレッスンスタジオにて開催しました。

現在、ファーティリティレッスンに会員として登録されている方々の中で、
これから不妊治療を受けようとされている、
もしくは、再開されようとされている、
また、既に、不妊治療を受けておられて治療方針を検討されていらっしゃる、
8名の女性が参加されました。

前半は、池上さんからの講義として、
さまざまな観点から妊娠するためのコツ、
そして、ドクターや医療機関とうまく付き合い、活用するための方法を、
伝授していただきました。

また、事前に参加された方、参加できなかった方から寄せられた質問に、
お答えいただきながら、
後半は、参加された方からの質問に直接答えていただきました。

内輪の勉強会とあって、
具体的なクリニック名も飛び交い、
また、池上さんでないと聞けないクリニックの裏話まで聞かせていただき、
参加された方々にとって、
直接、間接にお役に立てたのではないかと思います。

今後もより実用的な勉強会の場を設けていく予定です。

参加いただいた皆さん、
そして、お忙しい中、講師として熱心に語っていただいた池上さんには、
深く感謝申し上げます。

ありがとうございました。

FL主催者 細川

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上記の記事についてのご質問等は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
news-master@akanbou.com

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         妊カラ運営会社からのお知らせ
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 サプリメントも正しく選び、正しく使わなければ意味がありません!
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私たちは、安心して選んでいただける製品の提供に努めています。

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私たちが考えるサプリメントを選ぶ際の優先順位と品質とは?
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▼妊娠の可能性を最大にするために補充すべき栄養成分に優先順位
http://www.nature-g.com/notice/contents_001.html
▼妊娠の可能性のある時期に選ぶべき品質
http://www.nature-g.com/notice/contents_002.html

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妊娠を望まれるご夫婦にお勧めします
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▼女性用基本サプリメント(マルチビタミンミネラルフォーベイビー&ミー)
http://www.nature-g.com/shohin/naturesgift/multi_v_m.html
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http://www.akanbou.com/fertilelesson/top.html

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 編 集 後 記
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「ヨーロッパ生殖医学会から」は、
当初は2回で終わる予定だったのですが、
どうしてもみなさんにご紹介したい研究報告が出てきて、
結局、あと1回の3回になります。

今年のヨーロッパ生殖医学会の学術集会で最も注目を集めたのは、
実際には、PGD、PGSと称される、
着床前診断についての研究だと思います。

着床前診断とは、体外受精の際に、
胚移植する前に、胚に染色体異常がないかどうかを確認して、
染色体異常のない胚だけを子宮に戻すことで、
親の遺伝病の遺伝を防いだり、
習慣性流産を予防する目的で実施される治療法のことです。

日本では、これまで、
重度の遺伝病や習慣性流産の予防だけに認められていて、
一般的な治療法ではありませんが、
アメリカやヨーロッパの一部の国では、
単に、体外受精の治療成績を高める目的で実施されつつあります。

ただし、この着床前診断の有効性については、
まだまだ、論争のあるところで、
エビデンス(証拠)のある治療法として、
確立されているわけではありません。

そのため、より安全で、確実な、
生命力のある健全な胚を選ぶ技術の確立を目指して、
研究が続けられているということです。

同じ体外受精の治療成績の向上を目指す目的でも、
日本と欧米先進国では背景が大きく異なります。

なぜなら、欧米、特にアメリカでは、
年齢による卵子の質の低下に対しては、
着床前診断や卵子提供が、
一般的的な選択肢として存在するからです。

対して、日本では、自分の卵子で、
妊娠、出産を目指さざる得ない(目指そうとする)わけです。

そんな観点から考えると、高度な技術を用いつつも、
自分に備わった妊娠する力を高める、
妊娠しやすいカラダづくりという発想や実践が、
とても大切になってくることを痛感します。

もう一つ。

高度な生殖医療技術や安全性が高まり、
体外受精や顕微授精が一般的な治療方法になってくればくるほど、
自分たちに必要で、ふさわしい治療を選択するための、
情報環境が大切になってくるものと思います。

なぜなら、治療法の技術や安全性のレベルが高いことと、
その治療法が必要かどうかは全く別のことだからです。

いずれにしても、正解は外にありません。

二人で、選択眼を養いつつ、導き出すものです。

そのためのお役に立ちたいと切に願うものです。


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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.321
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◎発行部数
・自社配信: 286部
・まぐまぐ:5,365部
・合計部数:5,651部(7月26日現在)
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http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000116311
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【編 集】 細川忠宏(不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
【監 修】 西川 浩(医師・心斎橋中央クリニック院長)  
【サイト】 http://www.akanbou.com
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