"気にしなくなったとき"に、子供がやってきました

06.09.19

お名前  かほひめさん 性別  女性 年齢  35歳 結婚歴  1年7ヶ月
不妊期間 1年6ヶ月 不妊治療期間

妊娠に至った治療内容

卵管造影、通気

妊娠に至った経緯

結婚して2年くらいしたとき、子宮内膜症と診断されました。
それまで時折激痛に苛まれており、どの病院へ行っても「異常はない」と診断されていました。
3~4カ所行ってやっとそのように言われたのですが、そこで「内膜症だから不妊症」と言われました。

卵管造影や通気をして、あとは排卵日を見てもらいました。
1人目は通気をしてから2ヶ月後、2人目は半年後(ただし、流産してしまいました)、
3人目は2ヶ月後にそれぞれ妊娠し、今妊娠6ヶ月です。

妊娠しやすいカラダづくりのために実行したこと

とにかくからだを冷やさないこと(真夏でも冷たいものをとりすぎない)。
血行を良くすること。
自分を「不妊」だと思わないこと。

不妊改善中の方へひと言

「不妊」て嫌な言葉です。
何の問題もないとされる夫婦でも、欲しいときに子どもが授かるわけではありません。人間は他の動物とは違って、生殖率が低いのです。私たちのからだは機械じゃありません。
毎月決まったように、健康な卵子が生まれてこなくったってある意味当たり前なのです。だから私は、「必ず子どもはやってくる。」 と信じるようにしました。
そのために、からだを冷やさない等、からだのためにできることはがんばりました。
でもなにより、夫婦が仲がいい、ということが一番大事なのだと思っています。赤ちゃんが「ここのうちに生まれたい!」と思ってくれるような、そんな親になりたいと思って、夫と仲良く、自分の気持ちを明るくするようにつとめました。

一度「不妊」なんて言われると、そのことが頭から離れなくなります。
毎月排卵日を気にし、生理が来ることにおびえ、生理がくれば悲しいけれどほっとする(次の排卵日までは何も気にしなくてすむから)。
私もそんなことの繰り返しだった時期があります。

でもこれじゃあ、どんな高度な医療をもってしても、子どもはやってこないんじゃないかと思うのです。こんな精神状態では、からだにどんどんストレスを溜め込むだけです。だから逆に、子どものことは忘れてみよう!と思うことにしました。
気を楽に、夫婦で楽しむことを考えよう、(二人目を待っているときは)一人授かったこの子を大事に大事にしていれば、きっといつか弟か妹がやってくるから、今は目の前にいるこのことことだけを考えよう、そんな風に意識を切り替えることにしました。
ちなみに、基礎体温を測るのはやめました。
生理間近に体温が下がり始めると、それ自体が大きなストレスになるので、医師に相談し、全く測りませんでした。

そうすると不思議なもので、生理の時期も気にならなくなり、気がつくと「あれ、遅れてる?」という感じでした。

年齢などもあって、私には時間がないと思ってらっしゃる方もいるかもしれませんが、だからこそ、子どものことからいったん離れて、「気を楽に」してみることもいいかもしれません。私の場合は「気にしなくなったとき」に子どもがやってきました。
つらいときは「すべてのことにはわけがある」と思うようにしました。
今子どもができないのは何か理由があるのかもしれない。
今仮にできても、出産に至らないとか、 自分のからだが準備できていないとか。
だから、時がくれば必ずできる。そう信じて、 毎日を「楽しく」過ごすよう心がけました。

その他、ご自由に

全国のお医者さんに、「不妊」ではなく「未妊」という言葉を使ってほしいと思います。
不妊と言われると、「できない」という烙印を押されたようで、まさにそれは 「女性としての能力に欠ける」という意味合いに感じられるものだからです。
その言葉が女性にどれほどの精神的ダメージを与えるか、男性の医師、もしくは女医であっても妊娠に苦労しなかった方にはわからないでしょう。

「不妊」だから「治療」する、のではなく、ちょっと人よりできにくいだけ、だからできやすいように「手助け」をする、とこちら側に思わせてほしいと思います。

編集室より

おめでとうございます!

全く、おっしゃる通りだと思います。

あまりにも、言葉の使い方に対して、無頓着ですね。
本当に、私たちも、そう思います。
そして、このサイトやメルマガを運営しようと思った動機でもあります。

いかに、誤解や思いこみが多いか、そして、それによって、不必要な心配や悩みが多いか、情報環境の貧弱さを痛感するものです。

そもそも、ある一定の期間、授からなかった場合という、「不妊」という言葉の定義にも問題があるようですね。

なぜなら、たとえ、1年間、授からなかったとしても、何らかの原因があって授からなかったかもしれませんが、たまたま、確率的に授からなかったかもしれませんからね。

ただ、本当に難しいなと思うのは、後者のケースです。

例えば、無排卵であるとか、両側の卵管が閉塞しているとか、或いは、ご主人の精液中に全く精子がいないような、まずは、自然妊娠が、ほぼ困難であるようなケースは、やはり、不妊と言わざるを得ず、妊娠するためには、それ相応の治療が必要になるわけですね。

ところが、そのような、明らかに、妊娠の障害になるものはないのだけれども、妊娠しないとなった場合は、たまたま、妊娠しなかったのかもしれませんし、排卵障害といわれるような、排卵のタイミングがあやふやだったり、周期によっては、排卵しなかったり、周期が長く、排卵の回数が少なかったり、また、ご主人の精液中の精子の数や運動率が平均を下回っていたり、はたまた、内膜症や筋腫等、妊娠の妨げになる可能性がなきにしもあらず、といったものがあったり、要するに、十分に自然妊娠の可能性があるのだけれども、思ったタイミングで妊娠できないことから、妊娠しづらい状態になっていることを疑われるような状態、このような状態は、厳密に言いますと、決して、不妊とは言えないわけですね。

正確に言いますと、「お子さんを授からなかった期間から考えると、たまたま、妊娠しなかったかもしれないのだけれども、もしかしたら、周期によっては、妊娠を妨げていることがあって、相対的に、妊娠しづらい状態になっている可能性が考えられる。そして、もしも、早く妊娠を希望されるのであれば、妊娠の確率を高めたり、妊娠を妨げている可能性のある病変に対しての治療を受けるという選択肢もある」
こんな感じになりますでしょうか?

本当のところは、誰にも分かりません。

子宮内膜症といっても、私たちの感覚では、よほどの重症でかければ、普通に、自然妊娠して、出産されているように思います。

決して、マニュアル的に、「○○だったら、こうなる」、なんて断定できるほど、人間の体や生殖システムは単純なものではないということですね。
 
ですから、まずは、このような「あいまい」で「あやふや」なものであるということを、正しく認識することから始めることがとても大切ですね。

そして、心の状態は、生殖活動に及ぼす影響は、私たちが考えている以上に大きいことも、これまでのさまざまな研究や実例、そして、私たちの経験からも、明らかです。

ですから、安易で、間違った言葉の使い方は、ともすれば、「不妊」でない夫婦を、「不妊」にさせる危険性をいつも孕んでいることを、もっと、心しなければなりませんね。

実際のところ、例えば、最近、日本不妊学会は、日本生殖医療学会に、学会の名称を変更し、不妊という言葉の使用を止めてしまいました。
おそらく、そのような問題意識があったのではないでしょうか。

そして、このような複雑で、分かりづらい、人間の生殖活動を、正しく理解、認識してもらうために、適切な言葉で、丁寧に、患者さんに説明される努力を惜しまない、そんな不妊治療医が、大勢おられることを、私たちは、知っています。

ただ、最も大切なことは、妊娠を希望される夫婦が、マスコミや一部の医師、そして、周囲の人々の安易で、間違った言葉使いに影響されないように、自分たちの状態について、正しく認識し、自分たちの価値観にあった、自分たちらしい判断が出来るように、自分たちで努力することだと、私たちは思っています。

そんな方々に、少しでも、お役に立てればと思う次第です。

貴重な体験談とご意見を投稿頂きありがとうございました!

深く感謝申し上げます。