抗酸化物質の摂取と精子の質との関係

生活習慣・食事・サプリメント

2013年10月05日

Fertility and Sterility

ニンジンやカボチャ、ほうれん草などの色の濃い野菜に多く含まれる抗酸化物質であるβカロテンやルテインを多く摂る男性ほど精子の運動率が高く、トマトなどに豊富なリコペンを多く摂る男性ほど正常精子形態率が高いことが、アメリカのハーバード公衆衛生大学院の研究でわかりました。

食事やサプリメントからの抗酸化物質の摂取状況と精子の質の関係を調べるために、2009年から2010年にかけて実施された18から22才の健康な男性のライフスタイルと精液検査の結果との関係を調べた「ロチェスターヤングメンズスタディー」の参加者を対象に、食物摂取頻度調査から得られたビタミンAやビタミンC、ビタミンE、カロテノイド類などの抗酸化物質の摂取状況と精子濃度や総精子数、運動率、形態率との関係を調べました。

それぞれの抗酸化物質の摂取量別に4つのグループに分けたところ、βカロテンの摂取量が最も多かった男性は最も少なかった男性に比べて、平均の精子運動率が6.5%高いことがわかりました。

そして、同じカロテノイド類のルテインも同じ傾向がみられました。

また、リコペンの摂取量が多い男性ほど正常精子形態率が高いことも明らかになりました。

このことからカロテノイドの摂取は精子の質に良好な影響を及ぼすと考えられるとしています。

コメント

精子は酸化ストレスに脆く、活性酸素のダメージが精子の質を低下させ、男性の妊娠させる力を低下させる原因の一つであると考えられています。

これまで体外受精や顕微授精を受けているカップルの男性パートナーが抗酸化サプリメントを摂取しているほうが、摂取していないカップルよりも、妊娠率や出産率が高いとの研究報告がなされているのですが、それでは、どんな抗酸化物質がいいのか、単体なのか、ブレンドなのか、まだよくわかっていません。

今回の試験は主に普段の食事からの抗酸化物質の摂取量を調べています。

今回と同じように食物摂取頻度調査から得られた抗酸化物質の摂取量と精子の質との関係を調べた研究が、昨年、スペインでも実施されていますが、その試験結果と共通するのは、βカロテンやリコペンの摂取量と運動精子の関係です。

食物摂取頻度から、それぞれの栄養素の摂取量を導いていますので、βカロテンやリコペン、そのものが、直接、精子の質をよくするのに働いているかもしれませんが、βカロテンやリコペンが豊富な食物に含まれる"なんらかの成分"、もしくは、"なんらかの成分の相乗作用"が、精子の質を高めているもかもしれないと、試験に携わった研究者が指摘しています。

βカロテンやルテインが豊富なのはニンジン、レタス、ホウレン草、リコペンはトマトです。

つまり、これらの緑黄色野菜を、毎日、しっかり食べることで、男性の妊娠させる力の維持や低下の予防になると考えられるわけです。

男性にとっても新鮮な食材をバランスよく食べることはとても大切だというわけですね。

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