顕微授精出生児と自然妊娠出生児の心の健康状態に大きな差はない

不妊治療のリスク

2007年10月05日

HUMAN REPRODUCTION

顕微受精による出生児と体外受精による出生児、そして、 自然妊娠による出生児の5~8歳時点での心身の健康状態を比べたところ、さほど大きな差はみられないことが、オランダのLeiden 大学のM.Knoesterらの研究で確かめられました。

1996年1月から1999年12月の間に、Leiden大学の病院で、顕微授精によって生まれた子ども(89名)と、比較対照群として、体外受精(92名)や自然妊娠(85名)で出生した同年の子どもの心身の健康状態を比べました。

子どもは5~8歳で、全員、多胎妊娠でなく、一人子でした。

その結果、親から報告された子どもの行動障害※については、差はみられませんでした。そして、顕微授精出生児に3名の自閉症、または、自閉症スペクトラム障害※の子どもがいました。また、問題行動※については、顕微授精と自然妊娠では違いはありませんでした。さらに、親の育児ストレスについても大きな差はみられませんでした。

自閉症については、さらに大規模な試験で確認する必要があるとしています。

研究チームは、5~8歳時点での顕微授精出生児は、心理社会学的には健全な生活をおこっていると結論づけています。

コメント

行動障害とは、他人の基本的な権利を侵害するような行動パターンを繰り返すことをいいます。
(メルクマニュアル 行動障害から)

自閉症スペクトラム障害とは、先天的な脳の障害で、社会性、コミュニケーション能力、想像力の領域で障害があることです。

問題行動とは、反社会的な行動のこととされています。

顕微授精の出生児への影響については、これまでは、身体の健康状態についての追跡調査が主だったようですが、この研究では、上記のような日常の行動について調べています。

大きな差はみられないということです。