
図:Nutrients 2025; 17: 2066 Figure 6を改変
地中海食に多く含まれる多価不飽和脂肪酸やミネラルは、精細管内のさまざまな細胞に直接的な良い影響を与える可能性があり、さらに精巣の卵胞刺激ホルモン(FSH)に対する感受性を高めたり、ホルモンにブレーキをかける信号をやわらげ、視床下部―下垂体―性腺軸にも良い影響を及ぼすと考えられます。一方、超加工食品は精巣を守る栄養素が少ないため、精巣機能に悪影響を与えます。緑の矢印は良い影響を、赤の矢印は悪い影響を示します。
男性不妊にはさまざまな要因があり、その中でも生活習慣や食習慣は、精子だけではなく男性の全身の健康に関与しています。
健康的な食事として知られる地中海食についてはこれまで多くの研究がなされていますが、超加工食品と精子に関する研究は限られていることから、イタリアの研究者らは地中海食と超加工食品の摂取が精液検査の結果にどのような影響を及ぼすかを調査しました。
2022年9月から2024年4月まで、イタリア・パドヴァ大学病院で精液検査を受けた18-60歳の男性358名が対象となりました。3-7日間の禁欲期間後に参加者の精液サンプルを採取し、精液量や総精子数、精子濃度、細胞生存率と正常精子形態率が測定されました。
また、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)、テストステロンについても測定が行われました。
一方、食物摂取頻度調査を用いた食事調査を実施し、地中海食スコアを算出し、また、24時間思い出し法を用いて超加工食品の摂取量を調査し、地中海食スコアや超加工食品摂取量と精子パラメーター、生殖関連ホルモンとの関連が解析されました。
調査の結果、地中海食スコアが高い男性ほどは精液検査結果が良好だったことがわかりました。
反対に超加工食品のカロリー割合や血清LH、FSHレベルが高い男性ほど精液検査結果が不良でした。中でも超加工食品のカロリー割合は、すべての精液検査の結果に負の相関を示しました。
また、地中海食スコアや超加工食品と精液検査結果との相関性はBMIと年齢に関係なかったことから食と精液検査結果の関係はBMIや年齢の影響を受けないこともわかりました。
コメント
超加工食品とは、食品の加工度が非常に高い食品で、ファストフードやソーセージなどの加工肉、菓子パン、清涼飲料水などが代表的です。
食品をその加工度によって分類する「NOVA分類」によって、一番加工度の高いグループに属しているものが、超加工食品と呼ばれます。
NOVA分類は、栄養学や公衆衛生学の分野で広く利用されており、この分類法による食品の分類は、以下の4つです。
【グループ1:食品をまったくまたはほとんど加工していないもの】
・果物、野菜、穀物(新鮮なもの/絞ったもの/冷凍/乾燥させたもの)
・豆類
・いも類
・きのこ(生/乾燥させたもの)
・肉(かたまり/切り身)
・魚介類
・卵
・牛乳(新鮮なもの/低温殺菌/粉末)
・果物または野菜ジュース(新鮮なもの/砂糖や香料を添加していないもの)
・ナッツ類、種子(塩分や糖分を添加していないもの)
・ハーブやスパイス
・プレーンヨーグルト
・緑茶、紅茶、コーヒー、飲料水
【グループ2:加工食品の原料】
・植物油
・バター、ラード
・砂糖、糖蜜(サトウキビやビート由来)
・はちみつ、メープルシロップ
・塩
【グループ3:加工食品】
・塩漬けまたは瓶詰めの野菜や豆類
・塩漬けまたは砂糖漬けのナッツや種子
・乾燥・熟
・燻製の肉や魚
・魚の缶詰め
・シロップ漬けの果物
・包装されていない作りたてのパンとチーズ ..
【グループ4:超加工食品】
・スナック菓子
・クッキー
・チョコレート
・ケーキ
・アイスクリーム
・大量生産されたパン
・マーガリン
・朝食用シリアル
・炭酸飲料
・エナジー飲料
・乳飲料
・フルーツヨーグルト
・パイ、パスタ、ピザ
・肉や魚のナゲット
・ソーセージ、ハム
・ハンバーガーやホットドッグ
・インスタント食品
※FAO(国連食糧農業機関)「Ultra-processed foods, diet quality, and health using the NOVA classification system」より引用・改変
超加工食品を多く摂ることで、脂質や塩分炭水化物の摂取が多くなり、加工度の低い食品に含まれるたんぱく質や食物繊維、ビタミン・ミネラル類の摂取が少なくなってしまいます。
精子の健康のためには、精製度の低い食品を意識して摂ることが大切です。












