入眠時間や睡眠時間のばらつきと妊娠しやすさの関係

妊孕性に影響する因子

2025年02月04日

Fertil Steril Articles in Press 2025, doi: https:// doi.org/10.1016/j.fertnstert.2025.01.019.

入眠時間と睡眠時間のばらつきが大きい女性ほど、妊娠までの期間が長くなることがアメリカで実施された研究で明らかになりました。

近年、睡眠時間やその質が妊娠しやすさに関連しているという研究報告が多くなされています。

これは体内時計に関係していると考えられていることから、ワシントン大学の研究グループは、体内時計の乱れと妊娠しやすさの関連について研究を行いました。

2015年2月1日から2017年11月30日まで実施されたこの研究では、妊娠を希望する女性にアクチグラフウォッチ(腕時計型の加速度センサー)を2週間装着してもらい、入眠時間、起床(覚醒)時間、就寝から起床の中間の時刻、睡眠時間とそれらの変動を記録しました。そしてその後1年間で妊娠までに要した期間を調査し、関連を調べました。

その結果、被験者183人のうち、82人が追跡期間中の中央値2.8ヶ月で妊娠しました。

年齢、BMI、人種、教育、収入、喫煙状況の影響を統計学的に調整した結果、入眠時間や睡眠時間の日々のばらつきが大きい女性ほど、妊娠までの期間が長くなることがわかりました。

具体的には、入眠時間のばらつきが1.8時間未満の女性に比べて、1.8時間以上の女性は妊娠しやすさが40%低下、睡眠時間のばらつきが2.3時間未満の女性に比べて2.3時間以上の女性は42%低下しました。

その一方で、入眠時間や起床時間、中途覚醒時間、睡眠時間の平均や、起床時間のばらつき、中途覚醒時間のばらつきについては統計的に意味のある差はありませんでした。

以上のことから、体内時計の2つの指標である「入眠時間」と「睡眠時間」の日々のばらつきが大きいほど、その後1年間の妊娠までにかかる期間が長くなることがわかりました。

コメント

これまでの研究により、睡眠障害や睡眠不足は女性不妊のリスクを高めることが知られており、多くの報告がなされています。

私たちの体は、外から栄養素をはじめさまざまな物質を取り込んで、体内で分解、そして合成し、体を維持しています。

そして、体内で分解するプロセスは主に目覚めているときに、合成するのは眠っているときに活発になります。

そのため、免疫や骨、筋肉の成長、再生は睡眠の質によってよくなったり悪くなったりすることがわかっています。

卵子や精子、受精卵、胚、胎児の成育のベースに睡眠があり、それらの質をよくするために本気で取り組むべきは、睡眠の質をよくすることになるのかもしれません。

以下に、より良い睡眠のために効果的な方法をご紹介します。
1)早く寝る:どんなに遅くとも23時迄には寝る。
2)早く起きる:起床後14~16時間後にメラトニンの分泌が始まります。
3)起床後太陽光を浴びる:出来れば45分以上散歩する。
4)朝食は必ず食べる。:起床後2時間以内に。
5)朝食はバランスよくしっかり食べる:体内時計のリセット効果が高まります。
6)以上のことを毎日同じ時間に行う:週末も同じリズムを維持します。