超加工食品の精子への影響

男性の妊娠させる力に影響を及ぼすもの

2024年04月26日

Hum Reprod Open Volume 2024, Issue 1 2024 (In Progress)

超加工食品を多く食べることは、精子の数や濃度、精子の運動率にマイナスの影響を及ぼすことがスペインの研究で示されました。

これまで食習慣と精子の質の関連について調査された多くの研究では、地中海食に代表されるような健康的な食事パターン(精製度の低い穀物、野菜、果物、豆類、ナッツを豊富に、赤身肉、加工肉、砂糖入り清涼飲料水を少なく)が精子の質によい影響を与え、反対に西洋型食事パターン(肉、加工肉、乳製品、砂糖入り清涼飲料水、高GI食品を多く食べる)は、マイナスの影響を与えるとしています。

今回スペインで行われた研究では、超加工食品と精子の質の関連について調査が行われました。

超加工食品とは、「砂糖や塩、油脂を多く含み、保存料などが添加されており、きっちり包装されて日持ちも良い食品」のことです。

この研究では、18歳から40歳(平均年齢28.4歳)の、200名の健康な男性を対象とし、アンケートを使って普段の食事内容についての調査を実施し、超加工食品の摂取量と、精液検査の結果との関連を比較しました。

その結果、超加工食品の摂取量が多い男性ほど精子の濃度や運動率が低く、精子の数についても少なくなっていることが分かりました。

精子の数については、超加工食品のエネルギー比(食事で摂取したエネルギー量のうち超加工食品から摂取したエネルギーの割合)が10%増えるごとに、精子数が150万少なくなっていました。

またこの場合、多く摂りすぎてしまった10%の超加工食品を精製度の低い食品に置き換えたと仮定すると、精子の数や濃度、運動率、正常形態精子の増加につながることが分析によって示されたということです。

コメント

超加工食品とは、その名前の通り、加工の程度が非常に高い食品で、ファストフードをはじめ、ソーセージや菓子パン、清涼飲料水などが代表的なものです。

食品をその加工度によって分類する「NOVA分類」によって、一番加工度の高いグループに属しているものが、超加工食品と呼ばれます。

NOVA分類は、栄養学や公衆衛生学の分野で広く利用されており、この分類法による食品の分類は、以下の4つです。

【グループ1:食品をまったくまたはほとんど加工していないもの】
・果物、野菜、穀物(新鮮なもの/絞ったもの/冷凍/乾燥させたもの)
・豆類
・いも類
・きのこ(生/乾燥させたmの)
・肉(かたまり/切り身)
・魚介類
・卵
・牛乳(新鮮なもの/低温殺菌/粉末)
・果物または野菜ジュース(新鮮なもの/砂糖や香料を添加していないもの)
・ナッツ類、種子(塩分や糖分を添加していないもの)
・ハーブやスパイス
・プレーンヨーグルト
・緑茶、紅茶、コーヒー、飲料水 ...など

【グループ2:加工食品の原料】
・植物油
・バター、ラード
・砂糖、糖蜜(サトウキビやビート由来)
・はちみつ、メープルシロップ
・塩 ...など

【グループ3:加工食品】
・塩漬けまたは瓶詰めの野菜や豆類
・塩漬けまたは砂糖漬けのナッツや種子
・乾燥・熟成・燻製の肉や魚
・魚の缶詰め
・シロップ漬けの果物
・包装されていない作りたてのパンとチーズ ...など

【グループ4:超加工食品】
・スナック菓子
・クッキー
・チョコレート
・ケーキ
・アイスクリーム
・大量生産されたパン
・マーガリン
・朝食用シリアル
・炭酸飲料
・エナジー飲料
・乳飲料
・フルーツヨーグルト
・パイ、パスタ、ピザ
・肉や魚のナゲット
・ソーセージ、ハム
・ハンバーガーやホットドッグ
・インスタント食品 ...など

※FAO(国連食糧農業機関)「Ultra-processed foods, diet quality, and health using the NOVA classification system」より引用・改変

超加工食品を多く摂ることで、脂質や塩分炭水化物の摂取が多くなり、加工度の低い食品に含まれるたんぱく質や食物繊維、ビタミン・ミネラル類の摂取が少なくなってしまいます。
精子の健康のためには、精製度の低い食品を意識して摂ると良いかもしれません。