妊娠中の母親の食事の質と出生児の青年期(14歳時)の食事の質の関係

生活習慣・食事・サプリメント

2019年09月22日

PLoS Med. 2019 Sep 12;16(9):e1002911.

妊娠中の母親の食事の質が高いほど、出生児の青年期(14歳時点)の食事の質も高いことがデンマーク全国出生コホートのデータを用いた研究によって明らかになりました。

デンマーク国立血清学研究所(SSI:Statens Serum Institut)の研究チームは、妊娠中の母親の食事が出生児の青年期の食事に影響を及ぼすのか否かを調査すべく縦断研究を実施しました。

妊娠中の食事の質として、1996年〜2003年にデンマーク全国出生コホート研究で実施した妊娠中期の妊婦への食物摂取頻度調査票(FFQ)のデータから、また、出生児の食事の質は、2013年〜2018年に出生児の14歳時点で実施したFFQのデータから、それぞれのHEI(a Healty Eating Index)スコアを算出しました。

19,582組の母子のHEIスコアで4つのグループにわけ、妊娠中の母親の食事の質と出生児の14歳時点の食事の質の関連を解析した結果、母親の妊娠中のHEIスコアは出生児の14歳時点のHEIスコアと有意な正の相関関係にあり(Pearson r =0.22, p<0.001)、妊娠中の母親の食事の質が高いほど出生児の14歳時点の食事も高いことがわかりました。

また、妊娠中の食事のHEIスコアが最も高い母親のグループの出生児の14歳時点の食事のHEIスコアが最も高くなるのは最も低くなるのに比べて2.14倍でした(RR:2.14 95% CI:1.98, 2,30, p<0.001)。

この結果は妊娠中の母親の食事の質は出生児の14歳時点での食事の質に関連することを示しています。このことは、たとえば、肥満やアレルギーなど、疾患の食事因子の研究においては、出生後の食事の質だけでなく、母親の妊娠中の食事の質も考慮に入れることが重要であるとしています。

コメント

妊娠前や妊娠中の母親の食事が妊娠しやすさや胎児の成育だけでなく、母子も妊娠、出産リスク、さらには、出生児の長期に渡る健康状態にまで影響を及ぼすことが、これまでの研究で次々と明らかになってきています。

これらのことから妊娠前や妊娠中の食事(胎内の栄養状態)が胎児の成育や体質の形成に深く関わっていると考えられていますが、そのような、直接的な影響だけでなく、出生児の食事の質にという、間接的影響も関わっていることが、今回の研究結果によって示唆されたことになります。

妊娠を希望する女性にとって、食事の質は妊娠しやすさだけでなく、あらゆる面で新しい命に影響を及ぼすことがわかります。