ICSI女性患者の卵胞液中の微量ミネラル

生活習慣・食事・サプリメント

2018年11月21日

Ann Agric Environ Med. 2018;25(2):213–218

ICSI女性患者の採卵時の卵胞液中のセレン濃度は妊娠に至らなかった女性に比べて妊娠に至った女性のほうが有意に高いことがポーランドで実施された研究で明らかになりました。

ポーランドのルブリン医科大学の研究チームは、25-35歳のICSI女性患者221名を対象に採卵時の卵胞液中の微量ミネラル(カドミウムや銅、鉄、鉛、セレン、亜鉛)濃度を測定し、その後の胚発育スピードや妊娠に至ったかどうかとの関係を調べました。

その結果、セレンや亜鉛、銅の平均濃度が高いほどタイムラプスで観察した胚の各過程の発育の速度が速く、カドミウムや鉛の濃度は遅かったものの、鉄の濃度は関連しませんでした。

また、妊娠に至った女性と至らなかった女性の各ミネラル濃度を比較した結果、セレンのみ関連があり、妊娠に至った女性のほうが至らなかった女性よりも卵胞液中のセレン濃度が有意に高かったことがわかりました。

これらの結果からICSI女性患者の卵胞液中の微量ミネラル濃度は胚発育や妊娠成立に関与している可能性が示唆されました。

コメント

微量ミネラルとは、身体の中に含まれる量が鉄よりも少ない元素で、鉄、亜鉛、銅、セレン、ヨウ素、マンガン、クロム、モリブデン、コバルト、バナジウム、フッ素、ニッケルがあります。生きていく上で必要不可欠な微量ミネラルは必須微量元素とされています。

今回の研究はICSI女性患者の卵胞液中のカドミウムや銅、鉄、鉛、セレン、亜鉛の濃度が胚の発育や妊娠成立への影響を検討しています。

これまでカドミウムや鉛は有害な金属として生殖機能にマイナスの影響を及ぼすことが知られていましたが、今回の研究でも卵胞液中のカドミウムや鉛の濃度が高い女性ほど胚発育のスピードが遅いことがわかりました。

セレンは抗酸化作用を有していますが、最新の厚労省の調査では30代、40代の女性では銅以外のミネラルの平均摂取量は推奨量に達していないことがわかっています。

全ての必須ミネラルが適正な範囲になるように摂取しておくことが大切です。

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