勤務形態や肉体的にきつい仕事と月経の関係

妊孕性に影響する因子

2015年03月16日

Scandinavian Journal of Work, Environment & Health

夜勤や長時間の勤務、そして、仕事で頻繁に重いものを持ち上げたり、運んだりすることは月経不順に関連することが明らかになりました。

ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、勤務形態や仕事の肉体的な負荷など女性の職場環境と月経との関係を調べるために、看護師を対象にした大規模の疫学調査「Nurese's Health Study3(看護師健康調査3)」のデータを解析しました。

21〜45歳の女性看護師6,309名に勤務形態や仕事現場での肉体的な負荷、そして、月経や月経周期についてアンケートを行いました。

その結果、長時間勤務や夜勤は月経不順になりやすいことがわかりました。

過去一年に週平均40時間以上の長時間勤務に携わった女性は週平均が21-40時間の勤務の女性に比べて月経サイクルが乱れるリスクが16%高かったとのこと。

そして、夜勤と月経不順の関係はより密接で、夜勤のみの女性やシフト勤務で夜勤のある女性は、日勤のみの女性に比べて、月経が乱れるリスクが、ぞれぞれ、32%、27%高いことがわかりました。 また、夜勤の回数が多いほど月経サイクルが乱れやすいことがわかりました。

一方、仕事で重い物を動かしたり、持ったりすることも月経不順のリスクを高めることがわかりました。

1日に重いものを16回以上動かしたり、持ち上げたりする女性は重いものを動かしたり、持ち上げたりすることが全くない女性に比べて月経が乱れるリスクが34%高かったという結果が出ています。

コメント

このような調査結果に対して、実際に夜勤のある職場に勤務されていらっしゃる方にとっては、「そんなことくらい言われなくてもわかっている」と思われているかもしれません。

確かに、仕事や職場を変えることは現実的な対策にはなり得ませんが、それでも、出来るだけ生殖機能への影響を回避するような対策はあります。

まず、勤務時間が長くなるほど、夜勤の回数が多くなるほど、そして、重いものを持つ回数が多くなるほど、月経不順になりやすくなります。そのため、勤務時間や夜勤の回数を可能な範囲で調整することです。

また、それぞれの影響についての論文の筆者の見解は以下の通りです。

・「夜勤」は体内時計の乱れを引き起こし、生殖ホルモンやメラトニンの分泌に影響を及ぼすのではないか。
・「長時間勤務」の影響は不明。ただ、ストレスが関与しているのかもしれない。
・「頻繁な肉体的な負荷」は男性ホルモンの分泌が増えるのではないか。

そのため、勤務形態に限らず、できるだけ同じ時刻に太陽光を浴び、同じ時刻に食事を取ることは体内時計のメンテナンスになり、有効な対策になり得ますし、夜勤では仮眠を取ることも推奨されています。

最後に、これらは決して「不妊原因」ではなく、あくまで、「リスク因子」です。

つまり、確率の問題であり、妊娠の確率には、その他もさまざまなリスク因子は複合的に関係してくるということです。

ですから、職場環境はどうにもしようがなくても、自分で解決できるリスク因子を対処するという考え方が大切です。

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