体外受精の卵割速度と胚のグレードや妊娠率の関係

不妊改善・生殖医療関連

2009年11月17日

Journal of Assisted Reproductionand Genetics

体外受精で媒精(卵子と精子を一緒にする)後の卵割速度が早い胚のほうが遅い胚よりも、グレードの高い胚に生育し、その後の妊娠率も良好なことが、中国で実施された試験で確かめられました。

スウェーデンと中国の研究チームは、2006年1月から2008年12月までの間に、40歳以下で初めて体外受精、もしくは、顕微授精を受けた患者の1095治療周期を対象に、媒精後の卵割速度とその後の胚のグレードや治療成績の関係を調べました。

その結果、媒精、もしくは、顕微授精後、17~19時間後に前核期胚、25~27時間後に2細胞期胚となった胚を早期分割胚とし、それ以外を遅い分割胚としたところ、良好なグレードの胚に生育した割合は、早期分割胚では52.5%、遅い分割胚では28.9%、その後の周期あたりの妊娠率は早期分割胚では38.7%、遅い分割胚では26.3%でした。

このことから卵割の早さは良好な胚を選別する際の尺度となり得ると結論づけています。

コメント

体外受精や顕微授精の際に、妊娠に至る可能性が高い胚を選別して移植することが、治療の成功のためにはとても重要な作業となっています。

多胎妊娠を避けるために、妊娠率を低下させることなく、移植する胚を少なく(1つ)することが求められている昨今では尚更のことです。

妊娠に至る可能性の高い胚かどうかを選別するために、それぞれの分割期の形態を評価する方法が主になされていますが、今回の報告にあった胚の生育するスピードも重要な評価法のようです。

ただし、必ずしも卵割のスピードが早い胚しか妊娠できないというわけではありません。
そうでない胚でも妊娠に至る可能性はあります。

あくまで、確率的にみれば、卵割速度が早い胚のほうが妊娠に至ることが多いということに過ぎません。

胚のグレード同様、それほど神経質になる必要はありません。