外見上正常な形態の精子でもある割合でDNA損傷がある

2008年07月19日

the European Society of Human Reproduction and Embryology conference in Balcelona

顕微授精の際にセレクトした外見上正常な形態の精子でもDNAに損傷があることがあり、そのことが妊娠率を低下させたり、流産率を高くしている可能性のあることが、アメリカの研究で明らかになりました。

ヴァージニア州のノーフォークにあるジューンズ生殖医療研究所の研究チームは、10名の男性不妊患者から提供を受けた精子と正常な男性グループの精子と比較しました。

蛍光を使用して、DNA損傷レベルを調べたところ、正常男性グループからの正常形態の精子にはDNA損傷は認められませんでしたが、男性不妊患者グループからの正常形態の精子の20~66%にDNA損傷がみられました。

DNA損傷の原因は複数考えられ、最も研究報告されているのは酸化ストレスによるものですが、たとえば、年齢や喫煙習慣、精巣を高温にさらすことなども、DNA損傷の原因として増加しているのではないかと考えられるとしています。

コメント

顕微授精の際には、エンブリオロジストは顕微鏡で外見上正常な形態の精子をセレクトします。

ところが、そのような正常にみえる精子でも、ある割合で受精能力の低い精子があるということは、顕微授精を繰り返しても妊娠しない、あるいは、流産の原因になりえます。

たとえ、問題がなくても、ある程度、治療を繰り返さなければ妊娠に至らないケースがあるのは、このような理由によるものもあるということかもしれません。

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