職場の化学溶媒(グリコールエーテル)が精子の運動率に及ぼす影響

男性の妊娠させる力に影響を及ぼすもの

2008年05月28日

British Medical Journal Occupational Environmental Medicine

ペンキなどに使用されている溶剤であるグリコールエーテルを職場で使う男性は、精子無力症にかかるリスクが2.5倍高くなることが、イギリスの大学の試験で明らかになりました。

マンチェスター大学とシェフィールド大学の研究チームは、イギリスの11の地域の14の不妊治療の病院の2118名の男性を対象に、職場で扱う化学物質と精液の状態との関連を調査したところ、グリコールエーテルを職場で使う男性は、精子の運動率が低下するリスクが2.5倍高いことが分かりました。

グリコールエーテルは水溶性のペンキに広く使用されている化学溶媒です。

また、試験では化学物質以外で、男性の妊娠させる力に影響を及ぼす生活習慣についても調査しています。

その結果、過去にこう丸を手術したことがある男性、肉体労働に従事する男性は、精子の運動率が低下するリスクが高いこと、また、それに反して、飲酒習慣のある男性やボクサータイプの下着を着用する男性は、精液の質がよいことなどが分かりました。

コメント

今回の試験はイギリスの政府系機関の資金援助で実施されたとのこと。

男性不妊との関連が疑われたのはグリコールエーテルだけだったようです。

このことから、研究チームは、男性不妊の患者は職場での化学物質への暴露を心配しがちではあるけれども、今回の試験で明らかになった精液の質に影響のある化学物質は1つしかなかったことから、職場で扱う化学物質の影響については、それほど心配する必要はないと指摘しています。

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