超低出生体重児は成長するにしたがい、出生時のハンディーを克服する

不妊治療のリスク

2006年02月08日

JAMA(the Journal of the American Medical Association) Vol.295 No.6 February 8 , 2006

超低出生体重児は、成長するにしたがって、出生時のハンディを克服し、学業や就業、自立度、結婚、人間関係において、標準体重児と比べても遜色ないことが判明しました。

超低出生体重児は、 4分の1は障害を持つにもかかわらず、思春期には十分に社会に適応しているようだと、調査に携わった研究者は指摘しています。

ただし、それは、先進国で、普遍的な医療を受けられる家庭に生まれた子供の話で、発展途上国の貧困層に生まれた低体重児は、そうとは言えないと指摘する専門家もいるようです。

そして、最適な環境で育てられた低体重児は、ほぼ、ハンディを克服していると言えますが、知能指数の低さゆえに、学業の習熟度について苦労するかもしれないとしています。

今回、JAMA(the Journal of the American Medical Association)に掲載された調査は、1977年から1982年の間に生まれた501g以上、1000g未満の超低出生体重児、149名を対象に実施されました。8歳以降、定期的にインタビューし、同姓の標準体重児と比較しました。

その結果、超低出生体重児の72%は、
脳性小児麻痺や自閉症、弱視、認知症のような神経感覚に損傷を持っていました。
因みに、標準体重児では2%でした。

ところが、教育レベルの到達度はほぼ同じで、
高校を卒業したのは、超低出生体重児では82%、、標準体重児では87%でした。
また、大学に進学したのは超低出生体重児では32%、標準体重児では33%でした。

正社員として就業しているのは、超低出生体重児では48%、標準体重児では57%でした。
そして、自立して生活しているのは、超低出生体重児では42%、標準体重児では53%でした。
さらに、結婚しているのは、超低出生体重児では23%、標準体重児では25%で、
子供をもうけているのは、超低出生体重児では11%、標準体重児では14%でした。

このように、いずれの指標でも顕著な違いは認められませんでした。

コメント

低出生体重児は、日本でも年々、増加傾向にあると報告されています。

そして、出生時の赤ちゃんの体重は、その後の発育状況や健康に大きな影響を与えると言われています。

今回の発表は、出生時に障害をもって板としても、適切なケアが施されれば、成長後の生活面では、決して標準体重児に劣るようなことはないことが明らかにされました。

大変勇気づけられる調査の結果でした。

因みに、1995年以降国際的に統一した基準が設けられ、出生体重が2500グラム未満の赤ちゃんを「低出生体重児」とし、1500グラム未満は「極低出生体重児」、1000グラム未満は「超低出生体重児」と呼ぶようになりました。

今回の調査の対象となったのは、最も出生時の体重が軽い、超出生体重児でした。

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