殺虫剤は男性ホルモンレベルを低下させる

男性の妊娠させる力に影響を及ぼすもの

2006年01月15日

Epidemioligy January 2006.

不妊症は、さまざまな要因が複合的に影響するものですが、殺虫剤が男性不妊に影響しているのではないかとする新しい研究結果が発表されました。

生活環境中のクロルピリホスとその代謝物は、成人男性のテストステロン(男性ホルモン)レベルの低下に関係しているかもしれないとし、テストステロンの低下は、生殖能力への影響が懸念されると指摘されています。

クロルピリホスは、家庭で使用される最も一般的な殺虫剤の一つですが、2,000年には、アメリカの環境保護庁は、クロルピリホスが中枢神経系に悪影響を及ぼすことが明らかにされてからは、子供への影響を排除するために住居用での使用を禁じました。
ただし、その前年までに、アメリカでは、1,900万ポンドのクロルピリホスが使用されており、最近の調査では、環境保護庁の禁止にもかかわらず、クロルピリホスの影響を受けていることは明らかにされました。

第2回 人間の環境化学物質への曝露に関する報告書によると、90%以上の男性の尿からクロルピリホスの代謝物(TCPY)が検出されると報じています。

それまでの報告では、1-naphthol(1N)とよばれる、芝生や庭に使う殺虫剤、Sevinとして知られている、カルバリルが分解してできる物質が尿に検出される男性は、精子の数が少なかったり、運動率が低く、精子のDNAの損傷も大きいことが明らかになっていました。

そこで、2000年から2003年の間に不妊クリニックに通院していた268人の男性不妊患者を対象に、TCPYと1Nと生殖ホルモンレベルの関係を調査しました。
その結果、尿から検出されるTCPYや1Nのレベルが高い男性ほど、生殖ホルモンである男性ホルモンのレベルが低いことがわかりました。

コメント

クロルピリホスというのは有機リン系殺虫剤でです。農薬や建物へのシロアリ被害の予防のため住宅の木材にも塗布されていますが、シックハウス症候群の原因物質の1つとされ、2000年には室内濃度の指針値が設定されました。
さらに、2003年には、建築基準法が改正され、クロルホリピスを使った建材の使用が禁止されました。

また、2002年には中国製冷凍ほうれん草に、このクロルホリピスが残留農薬として、検出され、問題になりました。

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