精巣ガンの治療後の生殖能力について

妊孕性に影響する因子

2005年11月02日

Journal of the National Cancer Institute 11/2 , 2005 97;1580-1588

ノルウェイで実施された調査によりますと、精巣ガンの治療後であっても、約71%の男性が、子供を持つことが出来ていることが明らかになりました。ただし、どのような治療を受けたかによって、子供をもてるようになる確率が変わってくるようです。

調査研究は精巣ガンの治療後に子づくりに励んだ554名の男性を対象としたもので、専門誌「Journal of the National Cancer Institute」の11月号に掲載されました。

調査は、554名の対象者を、治療方針を決定するための手術の後、治療方法によって5つのグループに分けて実施されました。5つの治療方法とは、経過観察、リンパ腺切除、放射線治療、低用量化学療法、高用量化学療法です。

それによりますと、、治療15年後の子供を持つことが出来た割合は71%でした。
治療グループ別では、経過観察組が92%と最も高く、反対に、高用量の化学療法組が48%と最も低い割合でした。そして、精巣ガンと診断されてから最初の子供を持つまで、平均で6.6年かかっています。ただし、ここでも治療方法による違いが顕著でした。

また、22%のカップルが生殖補助医療を受けており、研究者は、最近の生殖医療の進歩によって、精巣ガンの治療後でも子供を持つことが出来る割合を高まったと指摘しています。

精巣ガンと診断され、治療に臨む男性にとっては、生殖能力が維持できるかどうかが、大きな関心事になりますが、今回の調査報告はそんな男性には参考になるデータであると言えます。

ただし、治療後の生殖能力の程度は予測できないことから、治療前に精子の凍結保存を患者には提案するべきであるとしています。

コメント

精巣ガンは、20歳から50歳の男性に多く発症することから、治療後に子供をもうけることが出来るのかが大きな関心事となります。

今回の報告では治療内容にもよりますが、高い割合で治療後に子供をもうけることが出来たとのデータが示されてはいますが、必ずしも、十分に予測が出来ないことから、治療前に精子の凍結保存を勧めています。

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