体外受精で授かったものの・・・(双子や三つ子で感じるストレス)

不妊治療のリスク

2005年06月01日

Fertility and Sterility May 2005 Vol.83 P.1422-1428

体外受精などの高度な生殖補助医療によって、双子や三つ子を産んだ母親はうつになるリスクが高いことが、このほど発表されたアメリカの調査によって明らかになりました。

不妊治療によって、双子や三つ子が生まれる確率が高まり、多胎妊娠による母子への健康リスクもよく知られていますが、双子や三つ子を産んだ母親の精神状態については、これまで、きちんと調査されたことはありませんでした。

調査は、高度な不妊治療を受けて子供を産んだ249人の母親を対象に実施され、その内訳は、1人子が128人で、双子が111人、三つ子が10人でした。

生まれた子供が双子、三つ子になるほど、経済的な問題に直面したり、生活の質に低下を感じ、不妊治療で子供を産んだことへの世間の詮索を疎ましく感じ、うつ傾向を示す 母親が多くなることが分かりました。

精神面も含めた多胎妊娠のリスクを医師は事前に患者に告知する必要があるとして、調査に 携った研究者は、不妊治療に臨む患者は、多胎妊娠の大変さを低く見積もる傾向があり、三つ子になるとそのリスクを理解するものの、双子にたいしてはそれほどでもないと指摘しています。

コメント

体外受精や顕微授精は、それまで、妊娠が不可能とされた不妊のカップルでも、妊娠の可能性をもたらせてくれる反面、それなりのリスクを伴うことも、しっかりと認識する必要があります。

そうは言うものの、やはり、妊娠することに最も目がいって、それに伴ういろいろな問題については、ついつい、後回しに考え勝ちであるのも人情かもしれません。

ですから、正しい情報を発信することがとても大切なように思います。

そんなリスクの一つに多胎妊娠が増えるというものがあります。
移植する胚の数にもよりますが、だいたい、20%が多胎妊娠といわれています。

今回の調査研究は、健康リスクに比べて見過ごされがちな、精神面への影響を取り上げています。

経済的な負担が大きくなることはもちろんのこと、1人でも感じる育児ストレスも、双子や三つ子となると当然大きくなることはとてもよく分かります。

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