体外受精時の胚移植後に大豆イソフラボン摂取で成功率が向上

生活習慣・食事・サプリメント

2005年01月04日

Fertility and Sterility 12月号

大豆由来の植物性エストロゲンの大量摂取が、体外受精による胚移植を受けた女性の妊娠率を高めることが、イタリアの研究者によって明らかにされました。プロゲステロン投与とともに、1日に1,500mgの大豆イソフラボンを摂取した女性は、プラセボ(偽薬)摂取グループに比べて、妊娠の継続および出産率が高くなるというもの。

元来、 胚移植後のプロゲステロンの投与は体外受精では一般的ですが、エストロゲンを補充することについては意見の分かれるところでした。
そこで、イタリアの研究グループは、これまで、更年期の女性にエストロゲンの補充効果が確認されていた植物性エストロゲンを胚移植後に大量摂取した場合の効果を確認するべく実験を実施しました。

213名の女性に大豆イソフラボンもしくは、偽薬を胚移植後から結果が判明するまで摂取してもらいました。
その結果、大豆イソフラボンの摂取グループの着床率(移植した胚の数に対して)が25%、偽薬の摂取グループは、20%でした。
そして、大豆イソフラボン摂取グループの妊娠率は39%、偽薬摂取グループは、21%でした。
さらに、出産までいたったのは、大豆イソフラボン摂取グループは30%で、偽薬摂取グループは16%というものでした。

体外受精時の胚移植後に大豆イソフラボンの摂取を治療のガイドラインとするためには、さらなる大規模な調査研究が必要であるとしながらも、今回の研究結果は、今後の不妊治療に対して何らかの影響を及ぼすものであろうとしています。

コメント

イソフラボンとは、大豆の発芽する部分である「胚芽」に含まれる植物性ポリフェノールの一つ。
化学構造が女性ホルモンのエストロゲンとよく似ているため「植物性エストロゲン」と呼ばれています。
そのため、体内でエストロゲンと同じような働きをするものの、作用は大変穏やかで、その効き目はエストロゲンの1000分の1から1万分の1程度であるとされています。

さらに、注目すべきは、エストロゲンが過剰な状態にあるときは、エストロゲンの受容体にイソフラボンが結合し、エストロゲンの働きを抑える抗エストロゲン作用もあることで、エストロゲンが不足している時には補充し、過剰であるときには、抑えることから、ホルモンのバランスを整えてくれることです。

今回の調査では、1日に1,500mgという大量摂取です。
通常、イソフラボンの摂取の目安は、1日に約40㎎とされており、1,500mgの摂取は、その37.5倍であることから、慎重を期す必要があるように思われます。

ただ、日本食では一般的な豆腐や納豆、豆乳等の大豆食品を積極的に食べることは心掛けるべきでしょう。