早産児の脳への影響

不妊治療のリスク

2004年08月11日

The New York Times 2004/08/10

早産児は、8歳になっても脳の一部がきわめて小さく、その影響は長期間に渡ることが判明しました。また、少女よりも少年にその影響が顕著であると、アメリカのスタンフォード、エール、ブラウン大学医学部の研究チームが発表しました。

研究チームは早産と正常な妊娠期間で生まれた8歳児の脳の大きさを比べたところ、早産児の大脳新皮質、特に言語や感情を司る部分がきわめて小さいことを突き止めました。さらに、同じ早産児でも少女よりも少年のほうが言葉をしゃべりだすのが遅かったり、学校や社会でも苦労することが判明しました。
これまでは女性よりも男性にあらわれることは知られていませんでした。

研究ではMRI(磁気共鳴画像装置)を使い、28週で生まれた65名の早産児と正常な妊娠期間で生まれた31名の健康児の脳を調べました。
その結果、信号処理や思考に関わる灰白質や脳細胞につながる神経細胞の一部を含む白質に著しい違いが見られたと小児科学の専門誌「The Journal of Psdiatrics」の8月号に発表しています。

ところが、研究者は彼らの研究にはいくつかの限界があることに言及しています。
この研究テーマは、新生児ケアを大きく改善させた早産児保育器やその他の技術が未だなかった30年前に 生まれたものです。
これまで研究者達は文献よりも子供の親の話しに頼らざるをえませんでした。そして、これまでの研究は脳のダメージを早産と関連づけていましたが、彼らは、主に出生時の体重を調べていると指摘しています。

レイス博士は、「早産児たちの脳の灰白質や白質が減少していることを発見しました。
さらに、早産児を男女別に調べてみたところ、女性は正常な白質であったのに対して、男性のそれは、正常な妊娠期間で生まれた子供に比べて減少しているのです。」と語っています。
おそらく、損傷は早産児の肺が形成途上であったため、十分な酸素が取り込めなかったためではないかとレイス博士は指摘しています。
少女は、ホルモンか、遺伝子のエックス染色体によって守られたと考えられています。それは遺伝的に有利なところで、男性と異なり、女性は2つのエックス染色体をもっているためです。
男性はワイ染色体とエックス染色体をひとつずつもっています。

コメント

早産とは妊娠22週から36週までのお産のことで、未熟児で生まれてしまうことになり、妊娠30週以前では、赤ちゃんの脳の発達に障害を与えるであろうことは、以前から知られているところです。
今回発表された研究結果では、具体的に脳の灰白質と白質が著しく減少していること、それは特に早産の男児であることが分かりました。

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