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VOL.946 高温は卵巣予備能にマイナスの影響を及ぼすかもしれない

2021年08月08日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.946            2021/8/8
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:高温は卵巣予備能にマイナスの影響を及ぼすかもしれない
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

  サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2021年8月2日 編集長コラム
スマホを制限して妊娠力を守る
https://www.akanbou.com/column/henshuuchou/20210802.html
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最新ニュース解説 Aug.2021___________________________________________

 高温は卵巣予備能にマイナスの影響を及ぼすかもしれない
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高温は卵巣予備能にマイナスの影響を及ぼす可能性があることがアメリカで実施された前向きコホート研究で明らかになりました。

卵巣予備能とは卵巣に残っている卵子の数の目安のことで、ここでは、月経3日前に超音波検査で測定した初期発育卵胞(胞状卵胞)の数としています。卵巣予備能は胞状卵胞数の他にAMH(アンチミューラリアンホルモン)が用いられています。

これまで「熱」は男性の精子をつくる働きにマイナスの影響を及ぼすことが、よく知られていましたが、女性の生殖機能への影響についてはよくわかっていませんでした。

◎どんな研究だったのか?
マサチューセッツ総合病院で不妊治療を受けているカップルを対象に治療成績に影響する要因について調べている現在進行中の研究、EARTH研究に参加している631名の女性患者に月経3日目に超音波検査を行い、胞状卵胞数を測定しました。

また、測定の3ヶ月前の気温を行政機関の気候データセットを用いて推定し、3ヶ月前、1ヶ月前、2週間前の平均気温と胞状卵胞数との関連性を調べました。その際に年齢などの胞状卵胞数に影響を及ぼすと考えられる因子を統計的に排除しました。

◎どんな結果だったのか?
測定前3ヶ月間の平均最高気温が高いほど胞状卵胞数が少ないことがわかりました。その程度は、平均1℃高くなるごとに胞状卵胞数は1.8%少なくなりました。

また、その程度は平均最高気温の測定までの期間が短くなるほど弱くなることもわかり、平均最高気温が1℃高くなるほどに少なくなる胞状卵胞数は3ヶ月まで1.8%だったのが1ヶ月前で-0.9%、2週間前で-0.8%になりました。

さらに、年間を通してみてみると夏よりも、11月から6月までのほうがその程度が強いこともわかりました。

◎熱と女性の生殖機能への影響は?
今回の研究は世界的な気候変動に伴う気温の上昇が女性の生殖機能に及ぼす影響を調査するための予備的な研究として実施されました。

この結果だけで、なんらかの結論を導くことは早計ですが、卵胞が成熟するまでの3ヶ月間の高温が胞状卵胞数の減少に関連していたことから「熱」がなんらかのメカニズムで卵胞発育にマイナスの影響を及ぼしているのかもしれません。

そのため、意識して卵巣がある骨盤内を温め過ぎるのは避けたほうがよいかもしれません。

◎熱と精子をつくる働きの関係
熱が男性の生殖機能に及ぼす影響についてはよく知られています。

高温下で精子形成に関与する遺伝子発現レベルが落ち、精子をつくるのに障害が起こってしまうからで、男性の精巣の温度は体温に比べて、1-2℃低い、32から35℃の間が適しているとされています。

そのため、サウナや長風呂、身体にフィットする下着、膝上でPCを操作することは精子の質の低下を招くおそれがあることが、これまでの研究で明らかにされています。

また、長時間同じ姿勢でいるデスクワークも股間に熱がこもり、精巣の温度が上昇し、精子の質の低下を招くリスクファクターになることもわかっています。

男性は夏場の精巣温度の上昇には注意すべきです。

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・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
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編集後記____________________________________________________________

身体を冷やすのもよくありませんが、温め過ぎるのもよくないのかもしれません。過ぎたるは及ばざるがごとし、です。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.946
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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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