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VOL.912 ビタミンD濃度と腸内細菌叢

2020年12月13日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.912                       2020/12/13
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:ビタミンD濃度と腸内細菌叢
・お知らせ
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

 サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2020年12月13日 曇り時々雨、のち晴れますように
12月21日冬至にかけて気が滅入やすいかも、です
https://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20201213.html
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最新ニュース解説 Dec.2020__________________________________________

 ビタミンD濃度と腸内細菌叢の関係
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ビタミンD(VD)濃度は腸内細菌叢に影響を受けるという、アメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者らによる研究結果(1)が公開されました。

腸内細菌叢の菌種の多様性の高いほど、活性型VD濃度が高く、VDレベルが高い人では12種類の酪酸酸性菌が多いことが明らかになったというのです。

◎どんな研究だったのか?
ヒトの胃や腸にはVD受容体が多く存在していて、カルシウムの吸収を調節していると考えられていますが、これまで乳酸菌のサプリメント摂取によってVDレベルが上昇したという研究報告(2)がなされていることからVDの代謝に腸内細菌が関与しているのではないかと考えられてきました。


そこで、567名の高齢男性から便と血液を提供してもらい、腸内細菌叢と体内のビタミンD過不足の指標として用いられている25(OH)Dや活性型VDである1,25(OH)D濃度の関係を調査すべく、横断研究が実施されました。

◎どんな結果だったのか?
被験者男性はアメリカのサンディエゴ、バーミンガム、ミネアポリス、パロアルト、ピッツバーグ、ポートランド在住で、血中の25(OH)Dは住まいの日照時間を関連し、日照時間が長い地域の男性ほど25(OH)D濃度が高いことがわかりました。

これはVDは紫外線を浴びることで体内でつくられることによるものと考えられます。

ところが、活性型VDである1,25(OH)D濃度は25(OH)Dの濃度にも、住まいの地域にも関連しませんでした。

そのため、25(OH)Dから活性型VDへの変換効率に影響を及ぼす因子が存在することが示唆されました。

そして、腸内細菌の構成との関係を解析したところ、25(OH)Dは腸内細菌とは関連しませんでしたが、活性型VDは腸内細菌叢の多様性と関連し、活性型VD濃度は高い男性は腸内細菌叢の多様性が高く、12種類の酪酸産生菌が多いことがわかりました。

このことから活性型VDへの変換には腸内細菌、特に、酪酸産生菌が関与していることが示唆されました。

◎VDを補充するだけでなく腸内環境を整えることが大切
VDはカルシウムの吸収を調整し、骨の健康の維持に関与しているだけでなく、妊娠や出産に深く関与しているにもかかわらず、前述の通り、必要とされる量のほとんどは紫外線を浴びて体内でつくられることから、ほとんどの女性で不足していることがわかっています。

そのため、VDのサプリメントを利用している方が多いと思いますが、今回の研究結果はサプリメントで補充するだけでなく、腸内環境を整えることも大切なことを教えてくれています。

いくら、サプリメントで補充しても腸内環境が悪く、酪酸産生菌が少なければ活性型VDに変換する効率が低くなるかもしれないからです。

◎酪酸産生菌を増やすには
腸内環境を整えるには、バランスよく食べ、特に善玉菌のエサになる水溶性食物繊維を果物や海藻類、キノコ類、大麦などから積極的に食べること、また、善玉菌そのものを味噌やヨーグルト、漬物、キムチ、納豆などの発酵食品も積極的に食べることがポイントになります。

このように水溶性食物繊維や発酵食品を食べることが基本ですが、それに加えて、運動習慣も必須で、食事と運動で酪酸産生菌を増やします。

そして、ラクトフェリンのサプリメントも腸内環境を整えるのに寄与します。

◎子宮内細菌叢や免疫にも
腸内環境を整えることでビタミンDだけでなく、多くの栄養素の吸収や代謝がスムースになったり、子宮内の着床環境に関与する可能性が指摘されている子宮内細菌叢にもよい影響を及ぼしてくれるかもしれません。

また、腸内環境を整えることで免疫システムも整います。

このように腸内環境は健康の基礎であることがよくわかります。

そして、それぞれが、密接につながっているのですね。

文献)
1)Nat Commun 2020; 11: 5997
2)J Clin Endocrinol Metab 2013; 98: 2944

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お知らせ____________________________________________________________

日本生殖医学会学術講演会/市民公開講座
「働く女性の不妊治療 ― withコロナと保険導入の時代を見据えて ― 」

今年の日本生殖医学会はコロナ禍でウェブ開催となり、現在、オンデマンド配信がなされています。そこで一般向けに市民公開講座も配信されていて、誰でも無料で視聴可能です。テーマは「働く女性の不妊治療 withコロナと保険導入の時代を見据えて」で、タイムリーで興味深い内容です。

名称:第65 回日本生殖医学会学術講演会・総会 市民公開講座
演題:「働く女性の不妊治療 ― withコロナと保険導入の時代を見据えて ― 」
日程:2020 年12 月3 日(木)~23 日(水)
形式:オンデマンド配信(事前登録不要・参加費無料)

以下からご覧になれます。
http://www.congre.co.jp/jsrm65/shimin/


当社製品&サービス________________________________________________

・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
 https://babyandme.jp/

・翻訳書:妊娠しやすい食生活
 http://www.akanbou.com/shoku/

・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
 http://www.akanbou.com/bookguide/


編集後記____________________________________________________________

腸内環境は、私たちは「どんなふうに生活しているか」と密接で、鏡のように反映しているのですね。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]             VOL.912
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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