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VOL.910 食事パターンと男性の性機能の関係

2020年11月29日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.910                       2020/11/29
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:食事パターンと男性の性機能の関係
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

 サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2020年11月24日 曇り時々雨、のち晴れますように
他人の不幸は蜜の味?
https://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20201124.html
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2020年11月29日 最新ニュース
食事と勃起不全(ED)の関係
https://www.akanbou.com/news/news.2020112901.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


最新ニュース解説 Nov.2020__________________________________________

 食事パターンと男性の性機能の関係
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日頃から健康的な食事パターンの男性は勃起不全(ED)にかかるリスクが低く、食事内容は男性の性機能に影響を及ぼすことがアメリカの大規模な前向きコホート研究で明らかになりました(1)。

また、男性の年齢が若いほど、性機能への食事の影響が大きいこともわかりました。

◎どんな研究だったのか?
ハーバード大学による大規模前向きコホート研究である医療従事者フォローアップ研究(Health Professionals Follow-up Study)に登録する男性を対象に実施されました。

今回は、この研究に登録している男性(40-75歳)を1998年から2014年までフォローしました。

具体的には4年毎に食事調査を行い、食事内容がどれだけ地中海食パターンや新健康食(AHEI2010)パターンに近いかをスコアを算出しました。それぞれのスコアが高いほど健康的な食べ方をしていることになります。

また、調査時には同時にEDにかかったかどうかも調べました。

そして、追跡終了後、年齢層別に健康的な食事パターンスコアとEDにかかるリスクとの関係を解析しました。

◎どんな結果だったのか?
最終的にフォローした男性は21,469名、平均年齢(追跡開始時)は62歳、平均追跡期間は10.8年でした。

解析の結果は、どの年齢層でも、地中海食スコアや新健康食スコアが高いグループの男性は、低いグループの男性に比べてEDにかかる割合が低いことがわかりました。また、60歳未満の男性で最も低くなることがわかりました。

詳細は以下の通りです。

追跡期間中にEDになった男性は60歳未満では968名、60以上70歳未満では3703名、70歳以上では4793名。

60歳未満では地中海スコアが高いグループは低いグループの男性に比べて、EDにかかる割合が22%低く、60以上70歳未満では18%、70歳以上が7%で、若い男性ほど食事の影響が大きいことがわわかりました。

◎食事パターンの特徴は?
地中海食パターンや新健康食パターンの特徴は以下の通りです。

地中海食とは、地中海沿岸地域の伝統的な食事パターンで世界的に有名な健康食で、さまざまな生活習慣の発症リスク低減に関連するという膨大な研究報告がなされています。

具体的には、野菜、じゃがいも、豆類、果物、全粒穀物、魚、オリーブオイルを多く、高脂肪乳製品、赤肉、鶏肉、アルコールが少ない食べ方です。

また、新健康食(AHEI-2010)とは、米国大規模疫学調査から導かれた生活習慣発症リスクの低い食べ方のことを言います。

具体的には、野菜(じゃがいもを除く)、果物、全粒穀物、ナッツ類、豆類、オメガ3脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、アルコールを多く、砂糖入り清涼飲料水、果物ジュース、赤身肉、加工肉、トランス脂肪酸、ナトリウム(塩)は少ない食べ方です。

いずれも、全粒穀物、野菜、果物、豆・ナッツ類を中心に、タンパク質源は主に魚や植物性で、獣肉は少ないというのが特徴です。

◎健康的な食事パターンは精子にもよい
食事パターンと男性の性機能の関係を大規模な前向き研究で調査されたのは、この研究が初めてですが、食事パターンが精子数や精子運動率などの精液検査結果に影響を及ぼすことを調べた研究はこれまで数多く行われています。

ほとんどは、海外の研究ですが、アジアで実施された唯一の研究として台湾の輔仁大学による研究があります(2)。

それは、18〜75歳の台湾人男性7282名を対象に食事パターンと精子の質との関係を調べたものです。

食事パターンは以下の5つのパターンを採用しています。

・健康的食事:色の濃い野菜と色の薄い野菜、果物の総量
・西洋式食事:ミルク、チーズ、ヨーグルト、肉、魚、サラダ、揚げ物
・高炭水化物食:穀物(精製、無精製)、根菜
・高スイーツ、スナック、清涼飲料水:ケーキ、クッキー、砂糖入り清涼飲料水
・高ナトリウム食:加工缶詰、インスタントラーメン、薬味・調味料

結果は、西洋式食事度が高いほど精子濃度や正常精子形態率が低く、スイーツやスナック菓子、砂糖入り清涼飲料水を摂取が多いほど精子濃度が低下、そして、高炭水化物食度が高いほど精子運動率の低下傾向がみられました。

特に、炭水化物の摂取量が最も多いグループの男性は最も低い男性に比べて精子運動率が低く、精子無力症(40%未満)のリスクが1.6倍、また、前進精子運動率が32%未満のリスクが1.3倍でした。

さらに、スイーツやスナック菓子、砂糖入り清涼飲料水の摂取量や頻度が最も多いグループの男性は最も低い男性に比べて精子濃度が低く、乏精子症(1500万/ml未満)のリスクが1.4倍でした。

特に、炭水化物やスイーツ、スナック菓子、砂糖入り清涼飲料水の摂り過ぎは精子の質の低下と関連することがわかりました。

◎特定の食品や栄養素ではなく、全体の食べ方
最近の食と生殖機能の関係を調べた研究では、食事パターンが主流になってきています。私たちは、毎日、単体の食品や栄養素を摂取しているわけではなく、さまざまな食品の組み合わせを食べているからです。

つまり、なにを食べるのがよいのかっではなく、どのように食べるのがよいのかが大切だということです。

コロナ禍で自宅で食事をする機会が増えていますが、食べ方を見直すのによい機会かもしれません。

文献)
1)JAMA Netw Open 2020; 11; e2021701
2)PLoS ONE 2015;10: e0134224.

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・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
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・翻訳書:妊娠しやすい食生活
 http://www.akanbou.com/shoku/

・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
 http://www.akanbou.com/bookguide/


編集後記____________________________________________________________

来週から日本生殖医学会がウェブ上で開催されます。そこで一般向けに市民公開講座が行われます。

テーマは「働く女性の不妊治療 withコロナと保険導入の時代を見据えて」で、タイムリーで興味深い内容です。

以下のページからどなたでも視聴できます。
http://www.congre.co.jp/jsrm65/shimin/index.html

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]             VOL.910
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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