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VOL.897 スマホやタブレットの夜間使用と精子の質

2020年08月30日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.897 2020/8/30
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:スマホやタブレットの夜間使用と精子の質
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

  サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2020年8月26日 曇り時々雨、のち晴れますように
卵子提供、代理母についてどう思いますか?
https://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20200826.html
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最新ニュース解説 Aug.2020__________________________________________

 スマホやタブレットの夜間使用と精子の質
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スマートフォンやタブレットの夜間やベッドでの使用は精子の質の低下を招く可能性があることがイスラエルの研究で明らかされ、第34回睡眠研究協会で発表されました(1)。

◎どんな研究だったのか?
不妊検査を受けている21〜59歳の男性116名を対象に質問票でスマートフォンやタブレットなどの習慣的な使用と睡眠について調査し、精液検査結果との関係を解析しました。

◎なにがわかったのか?
夜間やベッドに入ってからのスマートフォンやタブレットの使用は精子運動率や前進精子運動率、精子濃度の低下と関連する一方で、不動精子率の上昇と関連しました。

また、睡眠時間が長いほど精子運動率や前進精子運動率が良好で、反対に精子phが低いことがわかりました。

さらに、自覚的な眠気がある男性ほど精子運動率が低く、総運動精子数が少ないことが明らかになりました。

このことから夜間やベッドに入ってからスマートフォンやタブレットの画面から発せられる光をあびることは精子の質を低下させることは示唆されました。

◎光と睡眠
よく眠れるということは、妊娠力を維持するのに必須の要件と言っても過言ではないかもしれません。

ただ、いろいろな理由で、たまに、寝付けないことがあるとか、ついつい、夜更かししてしまうことがあるとか、そんなことは、さほど大きな問題ではないように思います。

それよりも、毎日、知らず知らずのうちに、少しずつ睡眠の質を低下させ、そのことが体内時計の働きに影響を及ぼし、そこから妊娠や出産に関与するホルモンの分泌に問題が生じ、卵の発育や成熟の障害になり、妊娠する力が低下してしまうかもしれない、こっちが問題だと思います。

妊娠力の低下を招いてしまうドミノ倒しの起点は「スマホ」です。

厳密に言えば、スマホから放たれる「ブルーライト」です。

今回の研究は夜間やベッドでのスマホやタブレットの光と精子の質との関係を初めて明らかにしました。

◎スマホの光とメラトニン
夜にスマホやタブレットをみることで、睡眠にどんな影響があるのかを調べたハーバード大学による研究があります(2)。

12名の健康な男女を無作為に2組にわけ、一方のグループにはタブレット端末で、もう一方のグループには紙の本で、就寝前に読書をしてもらい、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌や睡眠の状況を比較しています。

その結果、タブレット端末で読書したグループでは紙の本で読書したグループに比べて、メラトニンの分泌量が少なく、分泌のタイミングも遅かったそうです。

また、寝付くまでかかった時間はタブレット端末グループは紙の本グループに比べて平均10分余計にかかっています。

さらに、タブレット端末グループは紙の本グループに比べて、夜は眠くなりにくく、朝の眠気がとれなかったそうです。

夜間のタブレットはメラトニンの分泌を抑制し、睡眠の質を低下させるというわけです。

それはタブレットからの人工的な光である「ブルーライト」が原因であると考えられています。

◎ブルーライトとは?
ブルーライトとは、ヒトの目で見ることのできる光の中でも、もっとも波長が短い青色光のことで、強いエネルギーを持っており、角膜や水晶体で吸収されずに網膜まで到達するのだそうです。

そして、スマホやタブレットなどのディジタルディスプレイからこのブルーライトが発せられています。

ヒトの目の網膜には、光の色や明暗を感知する視細胞の他にサーカディアンリズムをコントロールする役割を果たしている「第3の視細胞」が存在していて、この視細胞はブルーライトのような強いエネルギーを持つ光にのみ反応することがわかっています。

つまり、ブルーライトこそ、体内リズムを整え、健康を維持する上で重要な役割を果たしている光だというわけです。

◎就寝前はブルーライトをシャットアウトする

就寝前はスマホやタブレットをみないようにするだけで、睡眠の質が改善されます。

夜にスマホやタブレットを「当たり前」に使った生活をしていると、本人の自覚がないまま、ブルーライトの強いエネルギーによって視細胞が刺激され、メラトニンの分泌が抑制されています。

そして、それが続くことで生殖能力が低下してしまうおそれがあるということになります。

妊娠のためのカラダづくりに取り組み、コストと労力をかけて不妊治療を受けていても、スマホやタブレットでブルーライト攻撃を受け、妊娠する力を低下させていては、元も子もありません!

夜だけでも、スマホやタブレットを遠ざけることは、なんの費用も労力もかかりませんし、リスクはゼロです。

今晩からはじめましょう!


文献)
1)J Sleep 2020; 43: supple P.12
2)Proc Natl Acad Sci U S A. 2015; 112: 1232

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・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
 http://www.akanbou.com/bookguide/


編集後記____________________________________________________________

夜間のスマホやタブレットの使用は、知らず知らずの内に私たちの睡眠の質を損ない、その蓄積が、将来、さまざまな健康の問題を引き起こす可能性があります。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.897
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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