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VOL.878 自宅で調理しない食事頻度と妊娠しやすさの関係

2020年04月19日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.878                     2020/4/19
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:自宅で調理しない食事頻度と妊娠しやすさの関係
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2020年4月19日 曇り時々雨、のち晴れますように
今できること(2)片付け
https://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20200419.html
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2020年4月16日 曇り時々雨、のち晴れますように
今できること(1)体重管理
https://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20200416.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
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トピックス Apr.2020_________________________________________________

 自宅で調理しない食事頻度と妊娠しやすさの関係
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コロナウイルス感染拡大防止のために「STAY HOME」の時間がかつてないほど増えているはずです。

この機会に家で調理して、食事をする頻度を増やすことをお勧めします。自宅で調理しない食事の頻度が多い人ほど妊娠を試みてから1年以上要する割合が高くなるという研究報告(1)がなされているからです。

どんな研究だったのかと言いますと、2013-2014年、2015-2016年実施の米国国民健康栄養調査(NHNES)のデータを用いて自宅で調理しない食事の頻度と不妊症リスクとの関係を調べたというものです。

日本でも厚労省が国民健康・栄養調査を毎年実施し、発表しています(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08789.html)。これのアメリカ版のデータを使って、30-49歳の健康な女性2143名に自宅で調理しない食事の頻度と不妊症(妊娠を試みてから1年以上かかる)の割合との関係を調べています。

自宅で調理しない食事については以下のような質問をしています。

・過去7日間の自宅で調理しない(レストランやファストフード店、フードスタンド、食料品店、自販機など)食事の頻度は?
・上記の食事にうち、ファストフード店やピザ店での食事の頻度は?
・過去30日間で食料品店での中食(惣菜、デリ等)を利用した食事の頻度は?(なし/1日1食以下/1日1食より多い)
・過去30日間で冷凍食品を利用した食事の頻度は?(なし/1日1食以下/1日1食より多い)

全体の不妊症の割合は13.5%(286名)だったとのこと。

その結果は、いずれの自宅で調理しない食事の頻度は高いほど不妊症の割合が高かったというものですが統計学的に意味のある差があったのは、全体(自宅で調理しない食事の頻度)とファストフードだけでした。

どれくらいかと言いますと、自宅で調理しない食事を全くしない人に比べて日に1回以上食べる人は不妊症の割合が2.82倍、ファストフードを全く食べない人に比べて日に1回以上食べる人は2.73倍だったとのこと。

ファストフードの摂取頻度と妊娠しやすさの関係はこれまでも大規模な研究がなされています(2)。

妊婦コホート研究「Screening for Pregnancy Endpoints (SCOPE)研究」という研究に参加した初妊婦5,628名に初検診時(妊娠14-16週)に、妊娠前1ヶ月間の果物やファストフード、野菜、魚の摂取頻度を思い出して回答してもらい、妊娠するまでにかかった期間との関係を調査したというものです。

その結果はとても興味深いもので、果物の食べる頻度が少ない女性ほど、また、ファーストフードを食べる頻度が多い女性ほど、妊娠迄の期間が長くなり、妊娠迄に1年以上かかることが多かったというのです。

どれくらいかと言いますと、1日に果物を3回以上食べる女性と比べて、1日に1、2回食べる女性は妊娠迄の期間が6%、週に1-6回食べる女性は11%、月に2、3回食べる女性は19%、ぞれぞれ、妊娠する迄に長くかかったとのこと。

反対に、ファーストフードを週に4回以上食べた女性に比べ、週に2、3回食べた女性は妊娠迄の期間が11%、週に1回の女性は21%、そして、食べなかった女性は24%、それぞれ、短かったとのこと。

ファストフードなど、自宅で調理しない食事をする頻度が多くなると妊娠する力にはマイナスになるようです。

その原因までは調べられていませんが、ファストフードをよく食べる人は、もちろん、栄養バランスが偏るということが考えられますが、そんな直接的な影響だけでなく、炎症体質になりやすかったり、体内のフタル酸エステルという化学物質の濃度が高い(3)ことも研究で知られています。

フタル酸エステルはプラスチック製品を柔らかくしたり、加工をしやすくしたりする可塑剤として幅広く使用されている化学化合物で内分泌撹乱作用による生殖機能へのマイナスの影響があることが懸念されています。

ハーバード大学のEARTH研究では尿中からフタル酸エステルが検出される女性は検出されない女性に比べて採卵数が少なかったり、妊娠率が低かったりするという報告がなされています(4)。

家にいる時間が長くなるこの機会に家で調理して、食事をする頻度を増やしてみてはいかがでしょうか。


■文献
1)J Prev Med Public Health 2020; 53: 73.
2)Hum Reprod 2018; 33: 1063
3)Environ Health Prospect 2016; 124: 1521.
4)Environ Health Prspect 2016; 124: 831

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・翻訳書:妊娠しやすい食生活
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・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
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編集後記____________________________________________________________

自宅にステイして感染拡大を抑制することは全く難しいことでもなんでもありませんが、そう思えば思うほど、最前線で闘っておられる医療従事者の方々には本当に感謝の言葉しかありません。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]      VOL.878
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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