メルマガ

VOL.738 妊活情報のドーナツ化現象を考える

2017年08月06日

____________________________________________________________________

 妊娠しやすいカラダづくり No.738 2017/8/6
____________________________________________________________________


今週の内容__________________________________________________________

・今週の必読記事:射精しない期間(禁欲期間)は精子の質に影響しますか?
・編集長コラム: 妊活情報のドーナツ化現象を考える
・今週のおすすめ本:ママになるための「みおごはん」
・当社製品&サービス
・編集後記


今週の必読記事______________________________________________________

 射精しない期間(禁欲期間)は精子の質に影響しますか?
-------------------------------------------------------------------
精子の質と禁欲日数に関する研究は、最近少しずつデータが出てきています。

これまでにも、人工受精に用いる精子に関しては、2日以下の禁欲日数の方が3日以上の場合と比較して、妊娠率が高いことが報告されています。

また、禁欲期間を1日・2日・5日・7日・9日・11日にして、一般精液検査と精子の質の検査として、精子DNA断片化率(低い方が良い)と精子の活性酸素産生量(低い方が良い)を測定した結果、精液量、精子濃度、総精子数は禁欲期間が長くなるにつれて、増加した一方で、精子DNA断片化率は、禁欲日数につれて増加(悪化)することが明らかになりました。

WHOは、精液検査を行う上で、推奨している禁欲日数は2-7日であるために、この禁欲期間を、治療に用いる際の精液採取にも採用している施設が多いのですが、これより短い禁欲1日の方が、有意に(p<0.05)精子DNA断片化率が低いことが示されました。

▼記事はこちらから。
http://maleinfertility.jp/blog/?p=2036


編集長コラム Aug.2017______________________________________________

 妊活情報のドーナツ化現象を考える
--------------------------------------------------------------------
この数年で、「妊活」という言葉が、またたくまに、広がりました。それに伴い、ネット上の「妊活」情報も、溢れんばかりになりました。

因みに、グーグルで「妊活」で検索してみると、なんと!約 9,930,000 件のサイトが表示されます。

そんなふうに「妊活情報」が増えれば増えるほど、お子さんを望まれるカップルの関心事が、どんどん、細かいというか、サブ的というか、誤解を恐れずに言えば、些細なこと、すなわち、どちらかと言えば、あまり、重要でない事、どちらでもよいような事になってきているように思えてなりません。

私たちが、このメルマガの配信を始めて14年ほどになりますが、お寄せいただくご質問やご相談の内容をみていて、感じることです。

最初は、情報が多くなると関心事が「高度化」するので、その結果なのかもしれないと思っていました。

ところが、最近、これは「妊活情報のドーナツ化」現象によるものかもしれないという仮説を思いつくに至りました。

それはこういうことです。

「妊活」で検索し、表示されたサイトをみてみると、ほとんどは、妊活関連商品やサービスのサイトであることがわかります。

つまり、妊活に役立つサプリやグッズ、代替医療の施設の宣伝が目的の情報が多いということです。

そして、宣伝が目的であれば、当然、「差別化」が大切になってきます。

「差別化」とは他の商品やサービスとの「違い」をつくることであるため、情報の内容は、「細かい」こと、「サブ的」なことになるのも、当然のことです。

要するに、商品やサービスを「売る」ための情報であるからです。

たとえば、妊活のための「食」や「栄養」について言えば、「バランスよく摂取する」ということが基本であり、メインの情報です。

ところが、商品を売るためには、「無添加」とか、「天然」であるとか、「◯◯制限」であるとか、「◯◯◯ティック」であるとか、「大勢の人が使っている」とか、「◯◯先生監修」とか、「賞をとっている」とかとか、そんな情報をメインに押し出すことになります。

つまり、健康なお子さんを授かるための「食」や「栄養」ということを考えるうえで、それほど重要でない、サブ的、かつ、細かい、もっと言えば、どうでもいい情報です。

その結果、メインの領域が空洞化し、その周辺、周縁部分の情報が、どんどん、増えているという現象が進行しているというわけです。

このような現象を、私たちは「妊活情報のドーナツ化」と呼んでいます。

さて、情報のドーナツ化は、決して、喜ばしいことではありません。

もちろん、経済活動的に言えば、全く、当然のことなのですが、受け取る側の関心事もサブ的、かつ、細かいこと、どうでもいいことが中心になってしまうとどうでしょうか?

無添加で、天然にこだわって、バランスよく食べていないとか、◯◯を制限したり、妊活食材ばかり食べることで、偏った食べ方になってしまうと、「本末転倒」と言っても決して過言ではないからです。

情報は接し方、使い方次第で、益にも、害にもなってしまいます。

接し方、使い方を養いたいものです。

--------------------------------------------------------------------
↓編集長コラムバックナンバー
http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/
--------------------------------------------------------------------
記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


今週のおすすめ本____________________________________________________

 ママになるための「みおごはん」
--------------------------------------------------------------------
「みおごはん」とは、この本の監修者である鳥取県米子市の「ミオ・ファティリティ・クリニック(MFC)」の院内食のことで、タイトルにある通り「ママになるため」のごはん、すなわち、お子さんを望まれる女性、そして、まだ見ぬ赤ちゃんの心と身体の健康によい食事のことです。

MFCの院長の見尾先生は、今や最先端の生殖医療の臨床や研究になくてはならない「タイムラプスシネマトグラフィー」という受精卵の発育過程を連続的に観察できる装置の開発に多大な貢献をした世界的にも有名な先生です。

「みおごはん」そのものは、「ごはんと一汁三菜」を基本とした和食なのですが、この本の最大の特長と価値は、見尾先生のこれまでの診療や研究の経験を基に、赤ちゃんを望む女性の食事やライフスタイルについて、本当に大切なことを教えてくれていることだと思います。

・妊娠しやすいカラダづくりBOOK GUIDE(ママになるための「みおごはん」)
http://www.akanbou.com/bookguide/isbn10-4905323118.html
--------------------------------------------------------------------
記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


当社製品&サービス________________________________________________

・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
 http://babyandme.jp/

・翻訳書:妊娠しやすい食生活
 http://www.akanbou.com/shoku/

・妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
http://www.akanbou.com/bookguide/


編集後記____________________________________________________________

それにしても暑いですね。

前々号の編集後記に書いた通り、夏は比較的涼しい早朝のウォーキングがお勧めなのですが、朝食前に運動することのメリットは涼しいことだけではありません。

それは、朝食前の空腹時に運動することで、運動中だけでなく、その後、1日中、燃焼効果が持続することが研究で確かめられたというのです。

そして、そのような効果が得られるのは朝食前の空腹時というタイミングの運動だけなのだそうです。

同じ運動をするのであれば、最も効果の大きいタイミングでやるのがいいというわけですが、私の経験から言っても、朝のウォーキングが一番気持ちよく、すっきりするように思います。

朝食前の早朝ウォーキング、お勧めです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]    VOL.738
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします。
--------------------------------------------------------------------
不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
--------------------------------------------------------------------
発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎発行部数
・自社配信: 2,014部
・まぐまぐ: 3,221部
・合計部数: 5,235部(8月6日現在)
--------------------------------------------------------------------
◎免責事項について
当メールマガジンの提供する情報は医師の治療の代わりになるものでは決してありません。プログラムの実行は各人の責任の元で行って下さい。プログラムの実行に伴う結果に関しては、当社の責任の範囲外とさせて頂きます。
--------------------------------------------------------------------
◎注意事項
読者の皆さんから寄せられたメールは、事前の告知なく掲載させていただく場合がございます。匿名などのご希望があれば、明記してください。また、掲載を望まれない場合も、その旨、明記願います。メールに記載された内容の掲載によって生じる、いかる事態、また何人に対しても一切責任を負いませんのでご了承ください。
--------------------------------------------------------------------
◎著作権について
当メールマガジンの内容に関する著作権は株式会社パートナーズに帰属します。一切の無断転載はご遠慮下さい。