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VOL.710 あらためて葉酸の重要性を考える

2017年01月22日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.710 2017/1/22
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・今月のトピックス:あらためて葉酸補充の重要性を考える
・当社製品&サービス
・編集後記

更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2017年1月2日 曇り時々雨、のち晴れますように
めでたいけれど
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20170119.html
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最新ニュース解説 Jan.2017___________________________________________

 あらためて葉酸補充の重要性を考える
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アメリカ予防医学専門委員会(USPSTF)は、妊娠を計画している、もしくは、妊娠の可能性のある全ての女性は、出生児の神経管閉鎖障害の予防のために、1日400〜800μgの葉酸のサプリメントを摂取するべきであるという勧告を、最も権威のある医学ジャーナルの一つであるJAMAの2017年1月10日に掲載しました。

もしかしたら、なぜ、あらためて、葉酸補充についての勧告なの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

実は、USPSTFは、2009年に同じ内容の勧告を出しています。また、アメリカでは1998年から主食の小麦粉などに葉酸を添加するように義務づけています。

ところが、最近の研究で、妊娠の可能な年齢の女性の葉酸の血中濃度が神経管閉鎖障害の予防に必要なレベルに達していないこと、また、葉酸のサプリメントを、毎日、摂取している女性は全体の3分の1未満であることが判明したというのです。

つまり、小麦粉などに葉酸を添加しているものの、出生児の神経管閉鎖障害の予防のためには、やはり、葉酸のサプリメントを摂取する必要があることがわかったので、あらためて、勧告を出して、葉酸補充を呼びかけたというわけです。

■日本では出生児の二分脊椎症は増加傾向にある

食品への葉酸添加を義務づけていない日本では、神経管閉鎖障害の一つである二分脊椎症の出生頻度は増加傾向にあります。

日本産婦人科医会と横浜市立大学国際先天異常モニターリングセンターの統計をみてみると、1970年は1万人に1人未満だったのが、70年代の終わりから2人、そして、80年から90年代にかけて3人を超え、さらには、90年の終わりから急増し、2000年初めには6人以上になり、その後は5人前後で推移しているという、先進国では最も多いレベルです。

もちろん、先天異常の原因は葉酸不足だけでなく、葉酸補充だけで完全に予防できるわけではありませんが、日本では妊娠前からの葉酸サプリメント摂取を、もっと、徹底して普及する必要があるというわけです。

そこで、あらためて、葉酸補充の重要性を整理してみたいと思います。

■妊娠前から葉酸の必要量が急増するのは?

葉酸はビタミンB群の一種で、細胞が分裂増殖する際にDNAの合成に必須です。

そのため、細胞が最も活発に分裂増殖する妊娠時には、母体でも胎児でも、必要とされる量が急増します。

■妊娠のために必要な葉酸を食事だけで摂取するのは困難なのは?

◎食品中の葉酸は吸収されにくいから

葉酸には天然の食品中の葉酸(ポリグルタミン酸)とサプリメントの原料に使われる合成の葉酸(モノグルタミン酸)があり、食品中の葉酸は分子量が大きいため吸収効率が低く、それに比べて、合成の葉酸は吸収されやすく、食品中の葉酸の1.7倍と言われています。

◎水溶性で熱に弱いから

葉酸は野菜などに含まれますが、水溶性で熱に弱いため、調理中に大きく損失してしまいます。

◎葉酸の代謝能力が低い遺伝子型をもつ人がいるから

葉酸が体内で活性型の葉酸に代謝(変換)される際の酵素の能力は遺伝子型によって決まります。日本人では、代謝能力が低い遺伝子ペアを持つ人が10-15%、片方だけ持つ人が40-60%いると言われています。

■葉酸のサプリメント補充が必要なわけ

女子栄養大学による「妊娠女性・若年女性における葉酸栄養状況とその効果に関する研究」で、100名の女性の食事からの葉酸摂取量と血液中の葉酸濃度の関係を調べたところ、食事からの葉酸の摂取量が増えても、血液中の葉酸濃度はそれほど変化がないことが確かめられています。

その一方で、サプリメントで葉酸を摂取すると血液中の葉酸濃度が上昇したと言います。

また、同じ研究で葉酸の代謝能力が低い遺伝子型をもつ人でも、1日400μgの葉酸サプリメントの4週間の摂取で血液中の葉酸濃度が正常な代謝能力の人と同じレベルに達することを確かめています。

これらのことから、妊娠、出産に際しては、食事だけでなく、サプリメントによる葉酸摂取が必要であることがわかります。

■葉酸補充によるホモシステイン低減効果

妊娠を計画している女性にとって、葉酸のサプリメント補充は出生児の二分脊椎症などの先天異常の予防だけではありません。

葉酸はDNAの合成だけでなく、アミノ酸の代謝にも関わっていて、葉酸濃度が低下すると悪玉アミノ酸と呼ばれている「ホモシステイン」の濃度が高まってしまいます。

ホモシステイン濃度の上昇は胚の生育障害や早産、流産のリスクが上昇することが知られています。
要するに葉酸レベルが低下し、ホモシステイン濃度が上昇すると胚の正常な発育が阻害されるリスクが高くなるというわけです。

■葉酸サプリメント摂取は妊娠してからでは遅いのは?

葉酸濃度の低下は、胚の発育障害や出生児の神経管閉鎖障害などの先天異常のリスクが高くなってしまいます。

胚の発育は、もちろん、妊娠の前段階であり、神経管が形成されるのは妊娠の初期です。

そのため、妊娠を意識しだしたら、すぐに葉酸のサプリメントを摂取し、血中の葉酸濃度のレベルを上昇させておくことが必要になります。

■葉酸サプリメントは妊娠3ヶ月以降も摂取するのがベターなのは?

厚労省は葉酸のサプリメントは妊娠前から始めて妊娠3ヶ月まで摂取するように推奨しています。

それは出生児の先天異常の予防を目的とした場合、妊娠3ヶ月までに神経管の形成が完了するからです。

ところが、その後も母子ともに活発な細胞の分裂増殖は出産直前まで続き、非妊娠時に比べて大量の葉酸が必要であることに変わりありません。

そのため胎児の正常な成育のために出産直前まで継続するに越したことはありません。

イギリスの研究で、妊婦119名をランダムに2つのグループにわけて、一方には妊娠3か月以降も1日400μgの葉酸のサプリメントを飲んでもらい、もう一方には偽薬を飲んでもらい、妊娠14週と妊娠36週の血中の葉酸やホモシステイン濃度と分娩時のさい帯血中の葉酸濃度を測定しました。

その結果、偽薬を飲んだ女性の血中葉酸濃度は平均で45.7から19.5nmol/Lに低下し、反対に、血中のホモシステイン濃度は平均で6.6から7.6μmol/Lに増加しました。葉酸摂取を継続した女性では赤血球中の葉酸濃度は平均1203から1746nmol/Lに増え、さい帯血の赤血球中の葉酸濃度もサプリメントを継続じた女性のほうが高かったとのこと。

葉酸サプリメントを継続することで妊娠中期から後期のホモシステイン濃度が低下しました。

2007年に国立保健医科学院の研究グループが実施した試験で、妊娠後期の血中のホモシステイン濃度と出生児の体重は関連していて、ホモシステイン濃度が1.0mmol/L上昇するごとに出生児の体重が151g軽くなることを確かめています。

つまり、ホモシステインは胎児の成育阻害に働くというわけです。

このことから葉酸サプリメントは妊娠前から出産直前まで継続することがベターであると言えます。
■葉酸だけは食事だけでは摂りきれない

栄養素は食事から摂取するもので、栄養素の不足は、まずは、食事を改善することで予防することが正しい順番です。

ところが、妊娠、出産に重要な役割を担う葉酸だけは食事だけでは必要量の増加に対処しきれないことがわかっています。

そのため、妊娠を望む女性は、なにはともあれ、葉酸のサプリメントだけは摂取しておくことが大切です。

■葉酸のサプリメントの選択について

最後に製品選択について。たくさんの葉酸のサプリメントがありますが、健康な赤ちゃんを迎えるために利用することを考慮に入れて、どんな製品がよいのでしょうか。

まずは、葉酸は、天然や食品中の葉酸(ポリグルタミン酸)ではなく、合成された葉酸(モノグルタミン酸)が適切で、原料名には、葉酸、もしくは、葉酸含有酵母と記載されているものです。

1日の摂取量は400-800μgですが、水溶性という性質を考えると1回で摂取するよりも2回程度にわけるのが望ましいでしょう。

また、配合内容はホモシステインの低減効果がより期待できる葉酸とビタミンB6、ビタミンB12のブレンドがベターです。

最後に大切な時期に利用することを考えると添加物はできるだけ少なく、かつ、安全性が担保されていて、国内のGMP工場で製造されたもの選択するのが安心です。

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編集室からのお知らせ______________________________________________
 
 『東京都女性活躍推進大賞』優秀賞受賞記念セミナー開催のご案内
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・セミナーの詳細
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・NPO法人Fine
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当社製品&サービス________________________________________________

・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
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・翻訳書:妊娠しやすい食生活
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・妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
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編集後記____________________________________________________________

葉酸補充について考えてみれば、予期せぬ妊娠の場合、妊娠前からサプリメントを摂取することは少なく、補充するにしても妊娠が判明してからになるでしょう。

母子手帳には葉酸補充推奨の記載がありますからね。

ところが、不妊治療を受けている女性の場合は、予め葉酸のサプリメントを摂取することができるわけですから、そういう意味では有利と言えます。

葉酸以外の微量栄養素も、妊娠、出産には大切な役割を担っていますので、食事やサプリメントでしっかり摂取することは、健康な赤ちゃんの出産にはとてもよいことになります。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]    VOL.710
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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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